IN/OUT (2022.11.27)

サッカーのワールドカップが始まりました。平均的にわかなので、あまり熱くもならず、どうせ無理だろうとドイツ戦も生放送は見ないままでしたが…


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"CANDY DULFER with special guest HANS DULFER" @ ブルーノート東京22.11.22

ブルーノート東京オランダ出身のサックス奏者、Candy Dulferの公演を観に、ブルーノート東京へ行ってきた。

バックは7人。ドラムス、ベース、ギター。キーボードは2人。さらに、男性ヴォーカルが2人という布陣。そして、黒と銀のミニスカ&ブーツで決めたCandy姐さん。

まずは、今年発売された新アルバム「We Never Stop」から「Yeahyeahyeah」と「Say Something」でスタート。どちらも、姐さんはヴォーカルをメインにしながら、その合間に、まったく自然にサックスを挟んでくる。素晴らしい熱量の演奏に、いきなり圧倒される。そして、3曲目、抒情的にギターと絡む「Lily Was Here」で、サックスをたっぷりと聴かせる。

次も新アルバムから「Perspective」。再び、ヴォーカルとサックスを自在に行き来しながらの、ノリノリの演奏。一旦、終わったと思いきや、すかさず再起動。さらに、”Faster!” の掛け声と共に、高速ヴァージョンで演奏し、会場を盛り上げまくる。楽しいったら、ありゃしない。

アルバム・タイトル曲「We Never Stop」では、ベースのXander Buvelotのソロも、たっぷりと聴かせる。今回のバンド、特にリズム隊がカッコ良いのだ。極めてシンプルなドラム・セッティングで、超硬質の音を叩き出すKick Woudstraのドラム・プレイも印象的だ。

やはり、新アルバムの収録曲「The Climb」は、『三歩進んで、二歩下がる』的な歌詞(正確には、ハシゴを三段上って、二段落ちる、だったが)の、やや静かな曲調。因みに、Candy Dulferは親日家らしく、日本人にとても聞き取りやすい英語を喋ってくれるのも有り難い。

そして、ここでスペシャル・ゲストのHans Dulferが、サックスを吹きながら登場。Candyの父親にして、オランダ・ジャズ界のレジェンド級ミュージシャン。前回、2019年の公演では、出演が予定されながら、体調を崩して来日出来なかっただけに、姿が見えた時点で、観客も総立ちで出迎える。御年 82歳。静かな曲を演るのかと思いきや、代表曲 ”Micky Mouth”などアップ・テンポなナンバーを、メドレーでガンガンに吹きまくる。カッコ良すぎである。当然ながら、Candyとの親子共演、息もピッタリだ。

Hansの退場後も、場内総立ちのまま、終盤に突入、「Pick Up the Pieces」を、恒例の、観客席を練り歩きながらの演奏だ。会場のほぼ全員が、超至近距離で彼女の演奏を観ることができる大サービス。歩きながらも、全く息を乱すこともなくサックスを吹き続けるCandy姐さん。素晴らしいエンターテイナーである。

アンコールは「What U Do」。これまた、彼女のライブでは鉄板で盛り上がる曲だ。Hansも再登場し、実に楽しそうに娘と共演している。

ということで、私も、頭を空っぽにして盛り上がり続け、腕に付けたPixel Watchは、1万歩ほど歩いたと記録するほどだ。いやはや、徹頭徹尾、楽しく、ファンキーなライヴだった。


「展覧会 岡本太郎」 @ 東京都美術館22.11.20

東京都美術館岡本太郎の大規模な回顧展を観に、東京都美術館に行ってきた。

東京都美術館どの展示室にも、岡本太郎らしい作品が溢れかえっている。

力強い色彩がみなぎる抽象画。

東京都美術館縄文土器にインスパイアーされたような立体作品。

東京都美術館ちょっと異質に感じたのが、1930年代にパリで暮らしていた時に描かれたシュルレアリスムっぽい作品。

自身の作品を売却することをほとんどせず、パブリック・アートを多数手掛けた岡本太郎だけに、展示の殆どが撮影可能。

東京都美術館それ以外にも、「芸術は爆発だ」のTV CMや、「グラスの底に顔があったって良いじゃないか」のウィスキー会社のノベルティ・グラスも並ぶ充実ぶり。当時、テレビにも積極的に出演する彼に対しては、奇人変人の芸術家という印象を抱いていたが、芸術を一般に伝えるために戦略的にやっていたのだろうなと、今は思う。

東京都美術館1968年にメキシコのホテルのために製作され(そのホテルは、開業前に倒産)、その後、所在不明となっていたのが2003年に発見され、2008年に渋谷駅に設置された「明日の神話」の下絵も展示。本物は幅30mの巨大壁画だが、下絵も幅11mの迫力。

なお、音声ガイドは、阿部サダヲ。内容は悪く無いが、岡本太郎の物まね口調は、要らないと思う。途中で、学芸員の方が説明する箇所があったが、こういうストレートの解説で十分だ。

東京都美術館質・量ともに圧倒的な展示だが、その分、見て回るには体力を消耗する。最後の方、展示室の隅のデッド・スペースに可愛い立体作品「午後の日」が設置されているのは、疲れた観客への労いか?

東京都美術館と思っていたら、出口付近で、太陽の塔にきっちりご挨拶していただいた。満腹感たっぷりの展覧会だ。



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"Silent Night"22.11.23

Keira Knightley主演の映画を観てきた。

イギリスの田舎にあるお屋敷で、クリスマス・パーティーが開かれる。ホステス役がKeira Knightley。学生時代からの友人とその家族が集まる和気藹々とした雰囲気の中にも、トラブルメイカーっぽい人も混じっていたりして、出だしはシニカルなホームドラマといった雰囲気だ。

しかし、途中から、不安なムードが漂いだす。恐るべき毒ガスが地球全体を覆い、この日が人類最後の日なのだ。ガスによる猛烈な苦痛を伴う死を回避するため、政府は安楽死できる錠剤を国民に配布している。登場人物達も、最後の日に親しい人達との旧交を温めた後、家族とともに自死する覚悟なのである。

地球規模の災害を前にして、舞台を田舎の一軒家だけにするという着想は、面白いと思う。ただ、嘘の付き方が下手というか、あまりにも説得力がなさ過ぎる。

特に、登場人物達が、何故、政府の発表を鵜呑みにし、疑問を持たずに自死を選ぼうとするのか、釈然としない。セリフの中に、「政府を信じるのか?」、「いや。だって、ダイアナを殺した奴らだぜ」というイギリスらしい皮肉もあるのに…。

この作品が企画されたのはコロナ禍の前ということだから仕方ないとは思うが、コロナ・ウイルスとそのワクチンが、陰の権力者達による人口削減のための企てだと主張する陰謀論者が跋扈する今、公開する作品としては、底が浅い(下手したら、陰謀論者に与しかねない)と思う。



この手の大規模スポーツ・イベントの度に気になるのが、TV局による公式テーマ曲。商業主義と結びついているからだとは分かっていても、毎回、変える必要があるのか、疑問です。特に、NHKのサッカー関連は、最近は覚えづらい曲が多い気がします。オリンピックはゆずの「栄光への架け橋」で、サッカーはSuperflyの「タマシイレボリューション」で固定すれば良いのに、と思うのは、懐古趣味が過ぎますかねぇ(いっそ、古関裕而の「スポーツショー行進曲」で統一しちゃうのでも構わない気もする…)。