IN/OUT (2022.10.2) |
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10月最初の週末。抜けるような青空が広がり、まさに秋晴れ。日の傾きも、すっかり秋。それなのに昼間の暑さだけは、いまだに夏。季節感がバグりそうな感じです。 最近のIN”Lamb” (22.9.30)アイスランドを舞台にした、奇妙な、強いてジャンル分けすれば、ホラー映画を観てきた。 人里離れた牧場で、二人っきりで暮らす夫婦。羊の出産に立ち会うのだが、生まれてきたのは…。というところから、全く予想の付かない物語が始まる。登場する人間は、彼らに夫の弟を加えた三人だけ。全編に渡り、最小限のセリフしか無く、一体、何が起こっているのか? そして、主人公達は何故この奇妙な状況を受け容れているのか? 観ている側は手探りでストーリーについていくことを強いられる。ただし、手掛かりとなる映像はしっかり織り込まれていて、この語り口はとても上手いと思うし、異様な緊張感がずっと持続することになる。 物語の鍵となるのは、Adaと名付けられた「羊から生まれてきたもの」。10人の子役と4匹の子羊、それに特撮を組み合わせて撮影されたそうだ。ニュートラルな状況で見たら、ただただ可愛らしいに違いない造形だが、この映画の中では、善なのか悪なのかも分からず、不気味。でも、可愛い。この見せ方も絶妙だ。 寒々しいアイスランドの風景も相まって、雰囲気は最高。しかし、物語にどのような暗喩が込められているのか考え出すと難解。意外に、観たままに「気味が悪いのに可愛い!」とだけ受け取って正解という気もする。とにかく、見終わった後も、奇妙な味がずっと残る映画だ。羊映画ではあるが、村上春樹が描く羊男とは、全然違う(当たり前か…)。 「清水ミチコ トーク&ライブ」@ 軽井沢大賀ホール (22.10.1)11月からは、「清水ミチコリサイタル~カニカマの夕べ~」と銘打った全国ツアーが開催されるのだが、今回はそれとは別。軽井沢大賀ホール主催公演としてのトーク&ライブショーである。 キャパ784席のこのホールは、ソニー名誉会長だった大賀典雄氏が私財を投じて建設したホールで、2007年に矢野顕子のコンサートで訪れ、その素晴らしさがとても印象的だったのだ(八ヶ岳高原音楽堂に近い雰囲気もあるが、こちらの方が、より本格的なクラシック音楽用のホールだ)。いつか再訪したいと思っていたのだが、まさか清水ミチコのライヴで訪れることになるとは! やはり、とてもレベルの高い音楽ホールだ。ピアノの音色の豊潤さが、とにかく素晴らしい。もちろん、歌声も、観客の手拍子も、実に気持ち良く響く。そのため、清水ミチコの音楽魂に火が点いたのか、私の大好物のネタ、日本語訳詞付き「Spain」でのピアノ演奏など、ガチのミュージシャン並のクォリティーだ。私は、かなり前方の良席だったが、観客席の音の均質さを追求した五角形のこのホールなら、どのポジションでも良好な音響でパフォーマンスを堪能できると思う。 内容は、ベスト盤的セレクション。はずれのない鉄板ネタの合間に、ご当地向けトークが挟まる構成。さらに、ビデオ・ネタ「ドッコイ・ショッピング」もあれば、観客一名にグッズが当たる、恒例のゲーム企画もある(あと1問で、最終ジャンケンに勝ち残るところまで進んだのだが、残念)。また、最新の時事ネタを反映した替え歌や、作曲法の新ネタもあり、内容的には大満足。 公演時間が1時間30分強しかないのは、やや物足りなさもあるが、予定していたより一本早い新幹線で帰ることができたので、これも良い方に捉えよう。 昼間、周辺をぶらついたときには、軽井沢もそれなりの暑さでしたが、夕方、大賀ホールを後にする頃になると、すっかり秋の空気でした。 |