IN/OUT (2022.4.17)

4月に入って、すっかり暖かくなったので、冬物をまとめてクリーニングに出した途端に、ちょっとばかり寒さが逆戻り。着る物に、いささか困ってしまった今日この頃です。


in最近のIN

"Hitman's Wife's Bodyguard"22.4.16

Ryan Reynolds、Samuel L. Jackson、Salma Hayekの三人が主演するアクション・コメディ映画を観てきた。

Ryan Reynoldsが演じるのは一流のボディガード。しかし、以前の仕事で受けたダメージで神経を病み、セラピストの勧めで休暇に出かけるが、そこに、ダメージの元凶、Samuel L. Jackson演じる殺し屋とその妻 Salma Hayekが現れ、さらに大きなトラブルに巻き込まれるというお話。

イケメン俳優なのに、何故か自虐的な三枚目キャラを演じることが多いRyan Reynoldsが本領発揮。この作品でも、常識外の行動を繰り返す殺し屋夫婦に振り回され、車にはねられ、ショットガンで撃たれ、麻酔銃にも撃たれの満身創痍。それを嬉々として演じている(ように見える)Ryan Reynolds。ドMである。

それでも、彼は一応は常識的な行動原理を持っている。一方、殺し屋夫婦の暴走が激しい。まあ、Samuel L. Jacksonのハイテンションぶりは予想の範囲内だが、Salma Hayekの弾けっぷりがヤバい。下品を通り越した怪演。悪い薬をやっているのかと疑いたくなるほどだ。

脇役陣も豪華。敵のボスキャラは Antonio Banderas。さらに、人格者を演じることが多いMorgan Freemanが意外な役で登場。

この映画、ストーリーや映像に見るべき所は無い。全くの馬鹿映画だ。しかし、一流俳優達の露悪合戦を眺めている分には楽しめる。

なお、劇中、大量に人が殺されるのだが、無茶苦茶なコメディなので、深刻になる事は無い。ただ、本当にかわいそうな扱いで死んでしまう二人がいて、そこだけは後味が悪いと思っていた。しかし、エンドクレジットの最後で、それに関しては製作者もやり過ぎだと自覚しているのが分かる仕掛けがある。この映画で一番笑えるのは、ここだったな。


モルゴーア・クァルテット@かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール22.4.17

かつしかシンフォニーヒルズ荒井英治、戸澤哲夫、小野富士、藤森亮一による弦楽四重奏楽団、モルゴーア・クァルテットの公演を観に、かつしかシンフォニーヒルズに行ってきた。超一流どころのクラシック奏者が集まっているが、プログレッシヴ・ロックの作品もレパートリーに取り入れている楽団である。

彼らのライヴを観るのは、昨年のヨコスカ・ベイサイド・ポケットに次いで二回目だ。前回は、ショスタコーヴィチとグレツキのクラシック曲に続いて、EL&Pの「Jerusalem」、「Still...You Turn Me On」、「Tarkus」、「Take A Pebble」という構成。果たして今回は…

クラシックの公演なので、パンフレットに予定曲目が掲載されているのが親切だ。しかも、各曲の解説付き。それが妙に充実していて、特に、後半のプログレ三曲の解説文は、読み物としても素晴らしい出来だ。

ということで、本日の演奏曲は
・ ハイドン:弦楽四重奏曲 ト短調Op.74-3 『騎士』
・ ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第6番 Op.101
そして、休憩を挟んで、
・ Genesis:「Dancing with the Moonlit Knight (月影の騎士)」
・ YES:「And You and I(同士)」
・ Emerson, Lake & Palmer:「Trilogy(トリロジー)」

前半のクラシック曲は、どちらも軽やかで、彼らのテクニックも十分に堪能できる佳曲だと思う。が、やはり私にとっては守備範囲外ではある。

お目当ての後半、まずは、Genesisの1973年のアルバム「Selling England by the Pound」の冒頭の曲「Dancing with the Moonlit Knight」だ。Peter Gabriel在籍時の作品らしい演劇的な展開を見事に再現。続いて、我が魂の名盤、YESの1972年のアルバム「Close to the Edge」のB面1曲目「And You and I」。これが実に素晴らしい。YESの重層的なサウンドを巧みに弦楽四重奏に落とし込んでいる。大興奮である。そして、最後はEL&Pの1972年のアルバムのタイトル曲「Trilogy」。何故かEL&P自身は、ライヴではほとんど演奏したことが無い作品だが、メロディアスな前半から、テンポを4拍子 → 5拍子 → 6拍子と変えながらスピードアップして盛り上がるKeith Emersonらしい曲は、モルゴーア・クァルテットとの相性ぴったりである。

そして、アンコールは、EL&Pの「Jerusalem(聖地エルサレム)」。もう、どっぷりと70年代プログレに浸れて(曲の間の荒井英治のプログレ愛がみなぎるMCも楽しいのだ)、至福である。

来年は、モルゴーア・クァルテットの結成30周年。1月にはショスタコーヴィチ尽くしのライヴ、そして、6月にはロックだけのライヴを予定しているという。今から楽しみである。



この時期の寒さの戻りは、花粉飛散時期が長期化することにつながりそうで、それも嫌ですね。