IN/OUT (2022.4.10)

日比谷公園汗ばむほどの陽気になった週末。日比谷公園も花満開でした。



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"The Sparks Brothers"22.4.9

Edgar Wright監督の音楽ドキュメンタリー映画を観てきた。

採り上げられているのは、監督が大ファンだと言う Sparks。Ron MaelとRussell Maelの兄弟が中心となった、1970年結成のバンドである。今も現役で、先週鑑賞した”Annett”の原案と音楽を手掛けている。浮き沈みはあったにせよ、ずっと活動を継続してきたバンドだが、不覚にも私は守備範囲外、ノーマークのバンドだった。

映画自体は、オーソドックスな音楽ドキュメンタリーの構成だ。すなわち、関係者のインタビュー映像と、記録映像が交互に並ぶ。しかし、そこは、Edgar Wright監督。編集のテンポが素晴らしい。捻った字幕の付け方や、時折挿入されるアニメーション。2時間20分の長尺映画だが、全く飽きさせない。

驚くのは、インタビューに登場するメンツだ。Beck、Mike Myers、Giorgio Moroder、Tony Visconti、Weird Al' Yankovic、Björk、Red Hot Chili PeppersのFlea、ErasureのVince Clarke、VisageのRusty Egan、Duran DuranのNick RhodesとJohn Taylor 、The Go-Go'sのJane Wiedlin、Haircut 100のNick Heyward、 Human League and Heaven 17のMartyn Wareなどなど(さらに、Edgar Wrightの盟友、Simon PeggとNick Frostが声優として登場)。つまり、私の好みの人達が、皆、揃って賞賛するバンドなのだ。それを今まで押さえていなかったとは。我ながら情けない。

言い訳するなら、ヒトラーのようなチョビ髭のRonが醸し出す雰囲気と、その捻くれた歌詞のせいで、日本では色モノ扱いされていたのだと思う。しかし、この映画を観ると、彼らがポップ・ミュージックの世界に多大な功績を残してきたことが良く分かる。特に、1979年にGiorgio Moroderをプロデューサーに迎えた時に生み出した、ヴォーカルとシンセサイザーの二人組=エレクトロポップ・デュオの形態は、多くのフォロワーを生んでいる。

ただし、Sparksは、1977年の映画「Rollercoaster(邦題:ジェットローラーコースター)」に、遊園地内で演奏するバンドという役回りで出演していて、それは私も観ているはずだ。映画好きのMael兄弟は、この映画出演は後悔しているそうだが。彼らは、Jacques TatiやTim Burtonと共に映画製作を企画したが、いずれも頓挫。ようやく念願叶ったのが”Annett"ということだ。

Edgar Wright監督のSparksに対する愛情が溢れまくっていて、(私のように)Sparksについて予備知識が無い人でも引き込まれるドキュメンタリーだ。


「塩谷哲 Special Duo Live with 小沼ようすけ」@ブルーノート東京22.4.9

ブルーノート東京ピアニスト 塩谷哲と、ギタリスト 小沼ようすけのデュオ公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。

塩谷哲は、6年間続いたNHK Eテレの番組「コレナンデ商会」が終わり、これでライヴ活動に力を入れられるようになったとのこと。一方、小沼ようすけは、本来は昨年だったデビュー20周年が、コロナ禍で思うような活動が出来なかったため、今年、20周年記念活動を行うとのこと。満を持してのデュオ公演と言えるだろう。なお、この日用意されたスペシャル・ドリンクは「Salty Lake」。塩と湖だ(沼より、すこしスケールアップしたとのこと)。

お二人とも、とても器用なプレイヤーだが、テクニックをグイグイ押しつけてくるタイプではない。とにかく心地よい響きだ。かなり、即興も入っていたと思うが、息の合い方も素晴らしい。ただ、演奏中の塩谷哲の顔が、ムロツヨシに見えてしまうのは、ご愛敬(かなり似ていると思う)。

貯まったポイントによる招待券を使っての鑑賞だったが、春の夕刻、ゆったりと浸るには最高の響きだった。



冒頭の写真は、元画像には結構な数の人が写り込んでいるのですが、Pixel 6 Proの消しゴムツールをクリックするだけで、瞬時に、ほとんど違和感を感じさせないクオリティで人物だけを消すことが可能。この便利さは、本当に素晴らしいと思うものの、事実と異なる写真を簡単に作れてしまうのは怖いとも思う今日この頃です。