IN/OUT (2020.12.13) |
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今週は、丸一年ぶりの矢野顕子ライヴ。これだけの期間、彼女のライヴに行けなかったのは、30年ぶりぐらいかもしれない。改めて2020年は、当たり前と思っていたことが、実は当たり前なんかじゃないということに気づかされた年だったと思います。 最近のIN「PYRAMID - Pyramid Live Stream -」@ブルーノート東京 (20.12.10)フュージョン・グループ Pyramidのライヴを観に、ブルーノート東京に行ってきた。 Pyramidは、プロデューサー&アレンジャーとしても大活躍しているギタリスト 鳥山雄司、元カシオペアのドラマー 神保彰、元T-SQUAREのピアニスト 和泉宏隆のトリオ。三人は、慶應義塾高等学校在学中からのバンド仲間である。今回のライヴは、三人合わせて180歳オーバーのメンバーに、30代のサポートメンバー二人、ベースの須長和広とマニピュレーターの加藤裕一を加えた布陣である。 今回は、1枚目(2005年)から3枚目(2011年の)のアルバムの曲を中心に、爽やかなフュージョンを重視した選曲。どの曲も、実に心地よく聴けるのだが、そこは、元カシオペアと元スクエア、そして売れっ子ギタリストのトリオ。圧倒的に高い技術に裏付けされてこそのスムースさ、という感じである。特に、神保彰のドラムスは、本当に器用で正確で、凄いと思う。 オリジナル曲の合間に、Earl Klughの「Dance with Me」を、アレンジを弄ることなく敢えての完コピで披露(鳥山雄司=Earl Klugh、神保彰=Steve Gadd、和泉宏隆=Dave Grusinという趣向)。やっぱり巧い。ただし、その合間の和泉和宏のMCは親父ギャグの連続。コロナ禍で肥ったという話しから「黒鍵と黒鍵の間に指が挟まってしまう。こっけん(沽券)に関わる」。いや、ちょっと面白いけど。 客数とメニューの数を絞ったスタイルの営業がすっかり馴染んできた感のあるブルーノート東京。今回のステージは、インターネット配信も行われていたが、その辺りのノウハウも熟れてきたと思う。安定感の中、リラックスして楽しめるステージだった。 「AKIRA」 (20.12.12)1988年に公開されたアニメ映画「AKIRA」のドルビーシネマ上映を観てきた。 言うまでも無く、大友克洋による超絶傑作漫画&アニメ。今年、4Kデジタル・リマスター版のブルーレイが発売され、4月にはIMAXシアターで公開もされた。ただ、コロナ第一波の真っ只中で、私は観に行かなかったのだが、今回、4Kリマスター映像をさらにドルビービジョンHDR映像にリマスターしたものが全国7館のドルビーシネマ限定で公開された。大作洋画の公開スケジュールがボロボロになっている今、丸の内ピカデリーに出かけてきたのである。 30年以上前の作品だけに、最新のCGを駆使したアニメと、手触りが全く違う。執拗なまでにディテールを描き込んだ画面は、異様な迫力を持っている。それが、ドルビーシネマ独特の引き締まった黒の表現と相まって、凄い没入感だ。 さらに、ドルビーアトモスで鳴り響く、新たにリミックスされた5.1ch音響も極めて効果的。芸能山城組の音楽は、今でも最先端で通用すると思う。 場内は、意外にも若い観客が多かった。リアルタイム世代としては嬉しいし、今回のリマスターのクオリティなら、十分に彼らにも響いたと思う。 当たり前のことを維持し続けるには、実は沢山の人の努力と、気がつかずにいるラッキー要素が必要なんですよね。 |