IN/OUT (2020.12.6) |
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美術館の事前予約制や、飲食店の早めの営業時間終了や、メニュー数の減少等々を、当たり前に受け取るようになってきた=「新常態」とやらに身体が馴染んできたという気がする、今日この頃です。 最近のIN「ピカソ コート・ダジュールの生活」@YOKU MOKU MUSEUM (20.12.5)定番お菓子「シガール」で有名なヨックモックが運営する美術館に行ってきた。 ヨックモックの会長 藤縄氏は、ピカソの陶器作品のコレクションで世界的に高名らしい。その収集作品を紹介するミュージアムが、10月に開館。その初回の展覧会である。 場所は、南青山のヨックモック本店から、歩いて5分ほど。住宅地の中にある目立たない建物。その地下一階が、特別展の会場だ。私は、ピカソに陶器作品の印象は無かったのだが、1946年に南フランスの陶器で有名な町、Vallaurisを訪れたピカソは、地元の陶芸家夫妻と親交を持ち、その翌年から本格的な陶器制作を行ったという。展示室では、陶工との共同作業の様子を収めたフィルムが投影されているが、地元の職人と、素人が見ても凄いと思えるインスピレーションを発揮するピカソとのコラボレーションは、両者ともとても楽しそうだ。 そうして出来上がった陶器作品は、ピカソの絵画を立体化したという感じだが、同時に、生活感に溢れた器、という印象もある。特に2階の展示室(こちらは常設展示)に並べられた「『魚』の食器セット」が素敵。 こぢんまりした美術館だが、隅々まで「ピカソ・セラミック」のイメージを重視したデザインになっていて、とても居心地が良い。1階には、ピカソが陶芸作品に取り組んだ町の名前を冠した「カフェ ヴァローリス」(美術館の入館料無しに利用可能)があり、ここも、心地よい空間だ。ヨックモック本店と言えば、青いタイルの外装。この美術館にも同じ色合いのタイルが使われている。会長のセラミックスへの愛着は、そこにも現れていたのか。 松居慶子グループ@ブルーノート東京 (20.12.5)ロサンゼルスを拠点に活動するコンテンポラリー・ジャズ・ピアニスト、松居慶子の公演を観に、ブルーノート東京に行ってきた。 彼女のライヴは、2002年にシンガポールで観たが、正直、その時の印象は悪かった。今回は、会員ポイントが貯まった招待チケットで参戦してみることにしたのだが、果たして? 今の状況では、普段一緒にやっているバンド・メンバーの入国が難しいため、日本人ミュージシャン、本間将人(サックス、キーボード)、山口周平(ギター)、笹井BJ克彦(ベース)、FUYU(ドラムス)がバックを務める。 2002年に感じた、ニューエイジ的な臭さは皆無。本間将人のサックスを前面にフィーチャーした曲が多いが、非常に明快なフュージョン・サウンドだ。正直、ジャズらしいプレイヤー間の丁々発止の掛け合いが感じられないのが不満ではあるが、クオリティは高いと思う。何よりも分かりやすい。 ということで、印象は一気に好転。長年、世界を舞台にライヴを重ねてきて、余分な装飾を削ぎ落として来たという感じだ。松居慶子、ぱっと見は柔らかい雰囲気だが、中々どうして、気骨ある人なのだろう。 とは言え、3~5月頃に比べると、世の中の緊迫感は確実に薄れているという気もします。うまく軟着陸するのか、コロナ疲れのしっぺ返しを食うことになるのか。本当は正念場なのですよね。 |