IN/OUT (2002.11.10) |
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改めて書くのも大人気無いような気もしますが、このところ、ウィルスメールとスパム系広告メールが、さらに増えてきたようです。本当に必要なメールの10倍から20倍は届いているようなペース。 ウィルスについては、まあ、感染する人に悪気は無いのだろうけど、最近のものは、Fromヘッダを改竄するのが困ったところ。私のメールアドレスがFromにセットされたウィルスメールも出回っているようですが、私のPCは無実なので、ひとつ、そこのところよろしく。 最近のIN最近買った本のことなど (02.11.10)Orchardにある紀伊国屋と、Kinokuniya Book Webのおかげで、和書に不自由しない日々である。 最近、集中的に読んでいたのが、Dorothy L. SayersとP. D. Jamesのミステリ。ともに、イギリスの女流作家だが、古き良きミステリの暖かさ溢れる前者と、重厚な現代ミステリの後者、好対照である。Sayersの作品は、シリーズを通して読むと、作者自身が、主人公の探偵に恋してしまっているかのような展開になってきて、微笑ましい。一方、Jamesは、登場人物一人一人の内面を冷酷なまでに活写していく様が、なんとも重苦しい緊張感をはらんでいて、引きずり込まれる。好対照の二人ではあるが、Jamesは、ChristieよりもSayersの影響を受けているのでは、と思っている。 一番最近、通販で購入したのは、中島らもの新刊二冊といしいひさいちの新刊。いしいひさいち氏の天才ぶりは、もはや言うまでも無し。一方、中島らも氏の近況を読むと、前作「空のオルゴール」に対して感じた失望感も当然だったか、と思わせる体調だったようだ。最近は、回復の兆しがあるとのことで次作に期待である。角川春樹事務所の「ランティエ叢書」の一冊として刊行された「世界で一番美しい病気」は、過去に発表された「水気の多い文章」を集めた編集物で、中身は、ほとんどが既読の物だったが、巻末に付いた「中島らも略年譜」の充実ぶりが嬉しい。これだけで、十分に元は取れたと思う。ただ、個人的には、室井佑月氏の解説が鬱陶しい。さらに「ランティエ叢書」自体の存在が、スノッブ臭さぷんぷんで気持ち悪い。発刊の辞を読むと虫酸が走る。「ランティエとはフランス語で高等遊民の意味です」の一文だけでも、十分に辟易。 話題の村上春樹の新作は、日本での発売とほぼ同時に紀伊国屋の店頭に平積みになっていた。当然、即日ゲットしたのだが、いまだに手を付けず。どうも、気力・体力の充実を待つうちに時間ばかり経ってしまう。読むべき時が来たら自然に手が伸びるだろうと思いつつ、まずは予習代わりに、夏目漱石の「坑夫」を読み始めたところである。 不思議なもので、日本にいたときよりも、確実に読書量は増えている。 最近のOUT"Keiko Matsui Sequel to CHIJAZZ" (02.11.4)「ジャズ、あるいはニューエイジ系の音楽に興味がある集団」をピックアップしてインタビューすれば、恐らく米国で最も高い知名度を誇る日本人、松居慶子の公演を観に、Kallang Theatreへ行って来た。 松居慶子氏は、エレクトリック・ピアノとシンセサイザー、グランドピアノを演奏。他に、ドラムス、ベース、ギター、サックスのバックバンド。ラスト近くには、夫の松居和氏が、尺八プレイヤーとして登場。演奏される曲は、ジャズやフュージョンというより、ニューエイジ色が強く、万人受けするラインを狙っているという感じ。あざといほど日本的と言うわけでは無いが、やはり、どこか日本人作品、という雰囲気がある。いかにも米国で受けそう、というのは意地悪かなぁ。松居和氏が、その辺、かなりコントロールしているような気がした。 演奏は上手いのだけど、予定調和的に進んでいき、期待していた緊迫感をはらんだプレイヤー同士の駆け引きのようなものが見られないのが残念。特に、シーケンサーを使った曲では、プレイヤー各々が、あくまでも自分の持ち分をきちんと演奏しています、という雰囲気になってしまっている。これでは、ジャズではなく、単なるインストゥルメンタルだ。また、松居慶子氏は、かなり鍵盤に対して前屈みになる姿勢で演奏するので、観客へのアピールが弱いのも、もったいない。さらに、ホールの備え付けと思われるグランド・ピアノの音色に艶気が無いのも魅力を削いでいる。もっと、自由奔放でアドリブ重視の曲目などこなせるようになれば、素晴らしいライヴになるのに、と、少々歯がゆい。 夫と二人、渡米して、自主制作アルバムをスタートにキャリアを積んでいき、今のポジションを得た、という経歴を考えると、是非とも頑張っていただきたいとは思うものの、いささかガッカリ感の強いパフォーマンスだった。 スパム系広告メールは、日本発のものは減ったと思うのだけど、英語のものは増える一方。Subjectや書き出しの文章に工夫が見られると、ちょっと面白いと思うこともあるのだけど、ほとんどが似たり寄ったり。 |