IN/OUT (2020.11.1)

大学祭など秋の恒例イベントの多くが中止になり、ハロウィーンの馬鹿騒ぎも多少は控え目になった一方で、Go to XXでそれなりに街の賑わいも戻ってきた今日この頃。これぐらいの賑やかさで丁度かもしれないな、という気もしてきました。


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「寺井尚子コンサートツアー2020 ”フローリッシュ”」@日本橋三井ホール20.10.30

ジャズ・ヴァイオリニスト 寺井尚子の公演を観に、日本橋三井ホールに行ってきた。今年1月にリリースされたアルバム「フローリッシュ」の発売記念ツアーがコロナ禍で延期となり、その振替公演である。

場所柄か、かなり年配の観客が目立つ。座席は一つ飛ばし。入場時の列も間隔を空け、退場時も規制退場と、時節柄、かなり気を遣った運営だ。

出演は、レコーディング・メンバーと同じく、ピアノの北島直樹、ベースの古野光昭、ドラムスの荒山諒を迎えたクァルテット編成。「フローリッシュ」収録の「ピーター・ガン」(Henry Mancini)から演奏スタート。その後も、「シテ島」、「エモーション」、「ジェイムス」(Lyle Mays / Pat Metheny)、「 トゥーランドット~誰も寝てはならぬ」、「セルタオ」、「シンドラーのリストのテーマ」とアルバム収録曲中心の演奏が続く。7月のブルーノート東京公演で聴いた曲が多い。相変わらず、演奏後のどや顔の寺井尚子がカッコ良し。バックの三人の演奏は、私の好みからするとド正統派のジャズ過ぎるという感じもあるのだが、実力派揃いだけに、安定の演奏力である。

今のライヴで必須となっている中盤での換気タイムは、ホールのドアを開放した状態で「魅惑のワルツ」を軽めに演奏。進行を止めないスマートなやり方だと思う。そして、本編ラストは寺井尚子カルテットの鉄板曲「過ぎ去りし日々(Those Foolish Days)」。アンコールは2回。一回目は「星に願いを」で割にあっさり終わり、二回目できっちり「枯葉」で盛り上げる。ブルーノート東京でのクラブ公演とは違う、ホール仕様の公演として見事に構成していることに感心した。


"Bad Reputation"20.10.31

Joan Jettを描いたドキュメンタリー映画を観てきた。

The Runawaysを結成したのが1975年。解散後、1979年からはJoan Jett & The Blackheartsとして活動。女性ロッカーの第一人者としてシーンを牽引し、2015年にはロックの殿堂(Rock and Roll Hall of Fame)入りした、私も大好きな姐御系ミュージシャンだ。

映画は、現在の彼女へのインタビュー、過去のライヴ映像、関係者へのインタビューなどをシンプルかつ要領良くつなぐ。相変わらず格好良いJoan Jett姐さん。インタビューに登場するThe RunawaysのリードヴォーカルだったCherie Currie、映画で共演したMichael J. Fox、BlondieのDebbie HarryとChris Stein、Iggy Pop等々豪華な顔ぶれが、皆、彼女の音楽性だけでなく人間性も評価しているのが、単純に嬉しい。当然ながら、バックに流れる音楽もご機嫌だ。彼女の音楽が好きな人だけでなく、広く、ロック好きには楽しめるドキュメンタリーになっていると思う。

ただ、Cherie CurrieのRunaways 脱退と、その後の解散に至る原因が、篠山紀信の激写(バンドには無断で、当時のマネジャーKim Fowleyが勝手に手配したらしい)だったという事実は日本人として恥ずかしい。GORO(「激写」が掲載されていた男性誌) のような雑誌媒体こそ今では当時の勢いは無いが、あの手の扇情的な芸能ネタというのは全く変わっていないのが情けない。Runawaysは、もっと音楽性を評価されるべきバンドだったと今更ながら思う。

Joan Jett姐さんの戦いはまだまだ続いているなと感じる、良いドキュメンタリーだ。



ただ、ヨーロッパの状況を見る限り、まだまだ予断を許さないのでしょう。欧米がもう少し好転してくれないと、洋画の公開スケジュールが遅れたままというのが、痛い。