IN/OUT (2020.8.9)

外出から戻ってみると、手洗いの床が水浸しに…。調べたところ、温水洗浄便座の水抜栓からポタポタと漏水しているらしい。15年間使ってきたので、修理よりは買い換えかと思いヨドバシに出かけましたが、思わぬ出費になりました。


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”Red Joan”20.8.8

Judi Dench主演の映画を観てきた。タイトルの"Red"は共産主義を示す。つまり、ソ連のスパイだったJoanの物語なのだが、邦題は「ジョーンの秘密」。もうちょっと気の利いた題名にならなかったのか?

2000年に、MI5(英国保安局。007が所属するMI6が国際的な秘密情報部なのに対し、こちらは国内治安維持のための情報機関だ)によって摘発された80代の女性 Melita Norwood。彼女は1930年代から1970年代にかけてスパイ活動を行い、英国の核兵器開発の機密をソ連に漏洩していたのだ。一見、普通のお婆ちゃんが、かつてはソ連の女スパイだった(実際、西側に遅れを取っていたソ連の核兵器開発は、彼女のスパイ活動により、一気に追いついた)という意外性は、当時、英国で大ニュースになったという。その実話を元にした作品である。登場人物の名前などは変えられているが、かなりの部分、史実に基づいているようだ。

逮捕され、尋問される現在のJoan = Judi Denchと、彼女の回想シーン(演じるのは Sophie Cookson)が交互に描かれる。Judi Denchはもちろんのこと、Sophie Cooksonの演技、特に、シーン毎に変わる表情が素晴らしく、ストーリーに説得力と深みを与えている。

現実のMelita Norwoodは筋金入りの共産主義者だったようだが、今作のJoanは、必ずしも共産主義に賛同していない。もっと別の動機が語られてはいるが、状況に無責任に流されているだけのようにも感じられる。一方、彼女を利用するKGBの人間の汚さがひどい。彼らが邪悪であれば単純な悪役となるのだが、共産主義という(彼らにとっての)理想に身を捧げているだけに余計に面倒だ。そして、ラスト。詰めかけた記者に向かって自らの信念を語るJudi Denchの姿に、それが自己弁護から出た言葉だったとしても、「核抑止力」を巡る議論の難しさに思いを馳せてしまう。8月の日本で上映するのにピッタリの映画だと私は感じたが、「ソ連」という国を知らず、「冷戦」という言葉に実感を持たない今の若い人に響くかは、微妙かもしれない。



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"The Death of Dick Long"20.8.7

奇作 ”Swiss Army Man”の監督、Daniel Scheinertの新作を観てきた。タイトル自体が、ややネタバレ気味の下ネタという気もするが、邦題は「ディック・ロングはなぜ死んだのか?」。ミステリー映画である。

アラバマ州の田舎町で、素人バンド("Pink Freud"というバンド名のダサさが絶妙)を組むおっさん三人。ガレージでのバンド練習の後、羽目を外して酔っ払っていたが、メンバーの一人、Dick Longが突然死んでしまう。死体を病院の前に放置して逃げ出した二人は、知らぬ存ぜぬを貫こうとする。果たして、Dickの死の真相とは?というミステリーである。

色々と小ネタを挟んだブラック・コメディが展開するのだが、とにかく主人公の行動が支離滅裂でイライラする。もちろん、真相が明らかになると、彼がなぜDickの死に関わったことをあそこまでひた隠しにしようとしたのか理解は出来るのだが…。とにかく、人として駄目駄目だ。

そして、その真相=Dickの死因というのが、下らなさすぎる。この手のミステリー映画にありがちな、真相を再現するシーンが無いのが物足りないような気もするが、あったらあったで、ドン引きしただろう。ここまで突き抜けて馬鹿馬鹿しく下品なネタで100分間の映画を成立させた豪腕には感心するが、共感はできないなぁ。



しかも間の悪いことにお盆前。交換は再来週の土曜日になってしまう。水漏れ防止のためには、止水栓を閉めておく必要があるため、当面、水洗はバケツに汲んだ水を使うという原始的生活。我ながらツイてない。