IN/OUT (2019.11.17)

決定直後は、大ブーイングが巻き起こった「高輪ゲートウェイ駅」。この週末には、ついに大規模な踏切切り替え工事の末、山手線と京浜東北線は新駅を走り抜けるようになりました。いまだに、アホなネーミング・センスだとは思うけど、このまま慣らされてしまうのだろうなと諦めの心境になる、今日この頃です。


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「清水ミチコ ライブ2019 ~音楽室~」 @ 昭和女子大学人見記念講堂19.11.15, 16

人見記念講堂清水ミチコのライヴを観に、人見記念講堂に行ってきた。この会場では二日間の公演だったが、ゲストが違うので、両日とも参戦。

まず、金曜日。オープニングの、「ドクターX」から「安倍首相」ネタで、つかみはバッチリ、と笑っていたら、登場したご本人は、足を怪我されたそうで、ギブス装着。膝から下は、あまり動かせないとのこと。それでも、音響の良さで名高い人見記念講堂でのライヴに、ご本人自身、相当盛り上がっているようだ。当然、観客も大盛り上がり。清水ミチコが観客に向かって「座ってくださいっ!」、「服を着てください!」、「川に飛び込まないでください!」と何度もなだめるほど(裏で聞いているはずの、人見記念講堂貸し出し担当者へのアピールで、盛り気味

いつも以上に毒気が多め。お馴染みネタも、旬のゴシップでバージョンアップ。そして、驚愕の新ネタが、実弟イチロー氏のギターと共演し、Chick Coreaの"Spain"に日本語詞を付けるという暴挙。これには、笑い転げつつ感心しきり。こんなネタを成立させられるのは、清水ミチコだけだ。

中盤のVTRコーナーの後に、本日のゲスト、マキタスポーツが登場。しっかり、ソロでネタを披露する。彼のパフォーマンスは2013年の清水ミチコ武道館公演でも観たが、音楽性の高さと笑いの両立ぶりは、清水ミチコに引けを取らない。尾崎豊の「15の夜」の音頭バージョンや、サザン×長渕の「いとしのエリーに乾杯」などのネタに大笑い。商業音楽を知り尽くしたテクニックを堪能すると同時に、商業音楽の底の浅さに対する皮肉が素晴らしい。

その後、再び清水ミチコが登場し、「作曲法」などで盛り上がる。ゲストとのコラボ・ネタがほとんど無かったことは残念だが、二人とも自分の世界を築いているので、コラボ・ネタを練るのも難しいのだろう。ゲストの持ち時間が長く、清水ミチコのネタ数には物足りない感じもあったが、その分、密度が濃く、毒気も濃い(瀬戸内寂聴ネタとか、ブラックの極み)、大満足のライヴだった。

そして、土曜日。本日のゲストは、タブラ奏者U-zhaan。矢野顕子と共演もしているミュージシャンなので、清水ミチコとの相性も良いのは想像がつくのだが、果たして、お笑いメインのライヴのゲストとしては、どうなのか、期待と不安で開演を待つ。

15時開演。前日とネタは共通しているが、順番が変わっていたりして、二回目でも(むしろ、二回目だからこそ)爆笑する前半。そして、VTRコーナーの後、特に紹介も無いままU-zhaanのタブラ演奏が始まる。お笑い目当てで来ている観客の前で、淡々と見事なテクニックを披露。そして、清水ミチコ登場。二人で、U-zhaanが撮影したインドの写真を映しながらのトーク。この人、芸人ではないし、饒舌という訳でもないのだが、良い感じに面白い(因みに、Twitterのセンスも抜群だ)。このセンスは、清水ミチコ・ファンと相性が良いと思う。

ここで、イチロー氏登場。彼のピアノと、U-zhaanのタブラをバックに、井上陽水の声で「コーヒールンバ」。さらに、偽細野さん(ギターを弾くイチロー氏)、偽矢野顕子(ピアノの前に戻った清水ミチコ)、U-zhaan(本物)の組み合わせで「相合傘」。タブラが効果的で、実物のトリオでも聴いてみたい演奏だ。さらに、今回はこの三人で、Chick Coreaの"Spain"に日本語詞を付ける大ネタ。前日も凄かったが、タブラが入った事で、さらにカッコ良い演奏だ。普通にブルーノート東京で演っていそうな、ガチのプロ・クオリティのプレイに、笑いを捻じ込む力業が素晴らしい。そして、ユザーンの起用、大正解だ。

その後、U-zhaanとイチロー氏が退場し、終盤の「作曲法」、そして、アンコール(3回!繰り返される)まで、しっかり堪能。お腹一杯。笑いだけでなく、最後の、ユーミンが降臨しての「ノーサイド」には、純粋に、ニューミュージックの名曲として聴き入り、軽く涙ぐんでしまう。ほんと、才人だなぁ。


”Andhadhun”19.11.16

盲目を装うピアニストが殺人事件を目撃、という捻った設定のインド映画を観てきた。英語タイトルは"The Blind Melody"。邦題は「盲目のメロディ~インド式殺人狂騒曲~」

主人公は、音楽性の向上を目指す実験として、盲目を装い、ピアノ練習に打ち込んでいたのだが、プライベート・コンサートに招かれた家で殺人現場を目撃してしまう。被害者は家の主人。犯人は、その家の女主人と、その愛人である警察署長。主人公は、悪意で騙すつもりは無かったとはいえ、盲目というポイントもあって仕事を得たり、恋人が出来たりした手前、目撃者として名乗り出ることが出来ない。しかし、女主人と警察署長は、本当に彼が盲目なのか疑問を抱く。もし、目が見えていることが分かれば、口封じに殺されてしまう。という設定。

面白い着想で、この題材なら、ハリウッドでは、気が利いたクライム・コメディになりそうだが、そこはインド映画。ごった煮的過剰感とご都合主義に溢れている。信用の置けない奴らばかり(盲目を装う主人公は、まだ、可愛い方だ)の登場人物が、どんでん返しに次ぐどんでん返しの展開を繰り広げるジェットコースター・ムービーだ。インド映画だけど、ダンスシーンは無し。しかし、音楽はたっぷり。殺された被害者が、かつての映画スターだったという設定で、古き良きインド歌謡成分が増量されているのも楽しい。

オチも見事に決まって、インド映画の枠を超えて、非常に良くできた映画だと思う。お薦め作である。



日曜では無く土曜の日中に、山手線と京浜東北線を止めて工事を行ったのは、万が一、トラブルが起きて月曜にずれ込むことを避けたのだと思いますが、それだけ週休二日制が当たり前になったということで、昭和は遠い昔のことになりました(「半ドン」は、もう死語か)。週末の移動が不便になるかと危惧したものの、上野東京ラインや地下鉄、さらには東海道新幹線まで、並行して走る列車がやたらと多いので、大きな問題にならないという事に、東京の凄さも感じた週末でした。