IN/OUT (2019.4.21)

区議会議員の選挙に行ってきました。が、盛り上がりには欠ける印象です。身近な自治体なのだから、もっと日々の暮らしに直結した争点があれば雰囲気も違ってくるのかもしれませんが、なんだかピリッとしない印象で、投票率が低いのも仕方ないかなという気がします。


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「KRAFTWERK 3-D Concert」@Bunkamuraオーチャードホール19.4.17

ドイツの「元祖」テクノポップ・バンド、Kraftwerkのライヴを観に、オーチャードホールに行ってきた。

1970年の結成以来、テクノロジーを駆使した電子音楽の先駆者として、世界のテクノ・シーンを牽引してきたユニットだ。何度ものメンバーチェンジを経て、現在のメンバーは4人。創設メンバーの Ralf Hütterは今も健在である。私は、彼らのライヴを観るのは初めてだ。

会場に入るとすぐに、3-D眼鏡を渡される。フレーム部分がボール紙で出来たちゃちな作りだが、果たしてどれぐらいの効果があるのだろうか? ステージ上には、4台のコンソールが一列に並んでいる。そこに、どのような機材が仕込まれているのか、観客席からは窺い知れない。場内の写真撮影は、かなり厳格に禁止されている。50年近く前から活動しているユニットだが、集まった観客層は、思ったほど年齢層は高くない。最近の彼らの音楽が、クラブ・ミュージック寄りになっているからか?

メンバーが登場し、無言のまま、「Numbers」(1981年のアルバム"Computer World"収録曲)からパフォーマンスが始まる。と言っても、4人がコンソールに向かって何やら操作しているだけで、果たして、どのような機材をどのように操作しているのかは、さっぱり分からない。しかし、奏でられる音楽は、低音のビートが効いた、まさにクラブ・サウンドだ。そして、3-D効果が、予想以上に凄い。ガンガン飛び出してくる。2曲目「Computer World」の演奏中に、あのジャケットのコンピュータの画像が、手で触れそうなぐらい目の前に飛び出してきたのには、度肝を抜かれた。

さらに驚くべきは、映像だけで無く、音響のクオリティの高さだ。低音を効かせながらも音色はクリア。そして、音の定位感が素晴らしい。ここまで定位に気を配ったPAは凄いと思う。まさに、映像だけで無く音響も3-D。

ということで、以降、圧倒的な映像と、彼ら独特の硬質な音色のシンセ・サウンドはそのままに、よりクラブ寄りにアレンジされた名曲の数々が続く。「Computer Love」、「The Man-Machine」、「The Model」、「Autobahn」、「Radioactivity」(フクシマに言及した日本語の歌詞付き)、「Electric Cafe」、「Tour de France」、「Trans Europe Express」、「The Robots」、「Aero Dynamik」、「電卓」(日本語の歌詞もバッチリ!)、「Planet of Visions」、「Boing Boom Tschak」~「Techno Pop」~「Music Non Stop」などなど。もう、聴きたいと思っていた曲は全部演ってくれたという感じだ。

最後まで一言も発せず、派手なアクションを見せることもなくライヴをやりきった4人だが、なんともカッコ良い佇まい。一方、観客は、全員3-D眼鏡を着用という、客観的に見たら異様だろうなと思える状況。そして、実にセンスの良いシンセ・サウンドと、圧倒的迫力の3-D映像。こんなライヴは経験したことが無い。とにかく、面白かった!


"Crooked House"19.4.20

ミステリの女王Agatha Christieのミステリを映画化した作品を観てきた。邦題は、書籍と同じく「ねじれた家」。

ギリシャからイギリスに渡り、一代で巨万の富を築いた大富豪が毒殺される。同居していた家族達、殺された大富豪とは年の離れた後妻。彼女の不倫相手と噂される家庭教師。遺産を巡って疑惑が渦巻く。果たして犯人は?

原作は、必ずしもChristieの小説の中では、有名作ではない。いわゆる「非シリーズ物」で、名探偵ポアロや、ミス・マープルは登場しない。また、そのメインの謎が、衝撃的ではあるのだが、Ellery Queenの有名作と同じ仕掛けということで、必ずしもミステリ・ファンの評価も高くないと思う(発表はQueenの方が先。ただし、小説としての出来映えは、私としては圧倒的にChristieの方を支持するが…)。まあ、今更、ポアロやマープルを映画化するよりも、この作品の方が新鮮味があるという製作陣の判断があったのかもしれない。

ベースとなる原作小説から、主人公の立ち位置が少し改変されている。原作では、大富豪の孫娘の婚約者だったのが、映画では、大富豪の孫娘の元カレの私立探偵。この方が、屋敷内での捜査活動に説得力が出ると考えたのだろう。それ以外にもいくつかの改変事項はあるが、概ね、原作に忠実な筋立てだ。ただし、ラストシーンは、小説よりも視覚的に盛り上がるアレンジが施されている。これは中々効果的。そして、全ての謎が解けたところで「The End」となるところは、まさに古き良き探偵小説という趣きだ。

映画としては平凡な出来映えだと思うが、Christie好きとしては、概ね満足のゆく映画化作品だ。


"Shazam!"19.4.20

DC Comicsが仕掛けるプロジェクト、DC Extended Universeの新作を観てきた。

元々、本作の主人公は、1940年の初登場時は「Captain Marvel」という名前のスーパーヒーローで、DC Comicsとは別の出版社から出版されたのだが、DC Comicsから、スーパーマンの盗作だと訴えられ、廃刊。1970年代にDC Comicsが版権を取得して復活したが、その時にはライバルMarvel Comicsが「Marvel」の商標を登録していたので、「Shazam!」に改題されたという曰く付きの作品だ。これが、Marvelの「Captain Marvel」と同時期に公開されているのも、興味深いところである。

映画の展開では、Marvelに圧倒的な差を付けられているDCだが、中々どうして、スーパーヒーロー自体は、良いキャラクターを多く抱えている。今回のShazam!も、14歳の少年が魔術師から後継者に選ばれ、スーパーヒーローに変身できるようになったのだが、見た目は大人のヒーローなのに中身は14歳の子供のまま、という設定が効いている。いきなりスーパーパワーを得た男子中学生が、とりあえず、そのパワーをアホらしいことに無駄遣いするくだりで笑わせる。演じるZachary Leviの表情が、中身が子供のままという設定に説得力を持たせているのは、彼の演技力か、あるいは、本当にそういう人なのか。

また、コミカルな要素だけで無く、孤児で、里親の元から脱走を繰り返していた主人公が、ついに「新たな家族」を見つけるという「ええ話し」的な部分は、なかなかグッと来るポイントだ。ただ、全体的に演出がもたついた感じがあって、弾けきらないという印象なのが惜しい。



ただし、選挙期間中の選挙カーの喧しさは、平成どころか、昭和の時代から、全く変わらず。とりあえず、大音量で名前を連呼するだけの候補者には投票しないぞ、と思ってしまうのは私だけでは無いはず。逆効果だと思うのだけどなぁ。