IN/OUT (2019.4.7) |
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取りたかったチケットの争奪戦に、立て続けに負ける今日この頃です。色々、悔しい。 最近のIN"Beside Bowie: The Mick Ronson Story" (19.3.31)1970年代前半のDavid Bowieのバンド The Spiders from Marsのギタリスト、Mick Ronsonの足跡を描いたドキュメンタリー映画を観てきた。 Mick Ronsonは、イングランドの地方都市 Hull出身。10代の時、ロンドンでバンド活動を行うも挫折。地元に戻り、庭師の仕事に就いていたが、かつてのバンド仲間がDavid Bowieのバンドに参加したことがきっかけで、1971年の"The Man Who Sold the World"に参加。その後、"Hunky Dory"、"The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars"、"Aladdin Sane"、そして1973年の"Pin Ups"までのBowieのアルバムに参加すると同時に、この時期のライヴでも存在感を示したギタリストだ。その後、Mott the Hoopleに参加したり、Bob Dylanのツアー・サポートに参加したり、Morrisseyのアルバム"Your Arsenal"のプロデュースを務めるなど活躍していたが、1993年4月29日、46歳の若さで肝臓癌のために亡くなった。彼が亡くなる直前の4月5日に発売されたDavid Bowieのアルバム"Black Tie White Noise"は、彼が20年ぶりに参加したBowie作品だった。 映画には、Mick RonsonとDavid Bowieはもちろんのこと、Tony Visconti、Rick Wakeman、Joe Elliott(Def Leppard)、Ian Hunter(Mott the Hoople)、Lou Reed(The Velvet Underground)、Glen Matlock(Sex Pistols / Rich Kids)、Lulu、Roger Taylor(Queen)等々、錚々たるミュージシャンの他、妻のSuzi Ronson、妹のMaggi Ronson、David Bowieの元妻 Angie Bowieらが出演。彼らのインタビュー映像をスピーディーな編集でつなぎ、この手のドキュメンタリーに有りがちな退屈さを感じさせない出来になっている。 David Bowie自身のナレーションからも、Mick Ronsonが1970年代のBowieの音楽性確立にいかに重要に関わっていたかが伝わってくる。個人的には、Rick Wakemanが"Life on Mars?"のピアノ・アレンジについて実演付きで解説するというシーンに痺れた。私が最も好きなロック・キーボーディストの、最も好きなプレイなのだ。また、John Cougar(現 John Mellencamp)の"Jack and Diane"にもMick Ronsonが参加していたという発見もあった。さらに、Angie Bowieの女傑っぷりが楽しく、1992年のFreddie Mercury Tribute Concertで David Bowie、Roger Taylor、John Deacon、Brian Mayと共演した"Heroes"のライヴ映像には落涙。見所満載のドキュメンタリーだ。 一方で、お金の事についても、わりに赤裸々に語られているのも印象的だ。奥様の苦労が忍ばれる。 ギタリストとしては勿論のこと、アレンジャーとしても豊かな才能に恵まれながらも、フロントマンにはなれなかったミュージシャン。この人柄であれば、もっともっと、プロデュース業などで功績を残せたはずだと思う。早逝されたことがつくづく惜しい。 RINGO STARR And His All Starr Band @ 昭和女子大学人見記念講堂 (19.4.3)Ringo Starrが、豪華ミュージシャンと共に行う公演を観に、昭和女子大学人見記念講堂に行ってきた。このAll Starr Bandは、メンバーを替えながら、過去何回か来日公演をしているのだが、私は、今回が初めての参戦だ。 メンバーは、TOTOのSteve Lukather(ギター)、元Santana / JourneyのGreg Rolie(キーボード)、元Men at WorkのColin Hay(ギター)、元Average White BandのHamish Stuart(ベース)、元AD / BLOODROCKで、3月にはTOTOのサポートメンバーとして来日公演に参加していたWarren Ham(サックス、パーカッション)、David Lee RothのバックバンドにいたGregg Bissonette(ドラムス)、という強者揃い。そして、Ringo Starrは、自身の曲では主にセンターで歌い、メンバーの持ち歌ではGregg Bissonetteとツイン・ドラムというスタイルだ。 会場は、音響の良さで高名な人見記念講堂。詰めかけた観客の年齢層は、相当に高い。自分のことを棚に上げて言えば、加齢臭のキツい場内である。意外なことに、サイリウムを持ってきている人、多数。実のところ、熱心なThe Beatlesファンでは無く、主にSteve LukatherとColin Hayを目当てに来た私は、ちょっと、アウェイ感を覚えてしまう。 Carl Perkinsの曲をThe Beatlesがカバーした「Matchbox」から演奏が始まる。Ringo Starrは78歳とは思えない若々しさだ。会場からも「Ringo!」の大声援。ただ、私は、この系統の明朗ポップスには、あまりのめり込めない…。Ringoのソロ曲も、「Yellow Submarine」のような突き抜けた曲は大好きなのだが…。しかし、TOTOの「Rosanna」、「Africa」(Lukatherだけでなく、Warren Hamもいたので、3月に観に行けなかったTOTOの公演のリベンジを果たした気分だ)、Men at Workの「Down Under」(懐かしい!)、Santanaの「Black Magic Woman」(LukatherがCarlos Santanaの代わりにギター弾きまくり)、Average White Bandの「Pick up the Pieces」、「Cut the Cake」など、バンド・メンバーが前面に出たカッコ良いナンバーが目白押し。 そして、個人的ハイライトは、終盤の「Who Can It Be Now?」・「Hold the Line」という、Men at WorkとTOTOの大好きな曲、連べ打ち。もう、これだけで来た甲斐があるというものだ。なんだか、周囲のRingoファンには申し訳ないが… ラストは「With a Little Help from My Friends」(Lennon-McCartneyの作品だが、リードヴォーカルはRingoだった)に「Give Peace a Chance」。これで締めるのが、彼のコンサートの定番らしく、アンコールは無し。それにしても、凄腕ミュージシャンに囲まれながら歌って、ドラムを叩いて、飛び跳ねて、良い感じのMCも決めて、つくづく元気な78歳だ。ゴッタ煮のヒット曲集という感じのライヴではあったが、このステージが成立するのは、Ringo Starrの人柄なのだろうなと感じた。 "The Place" (19.4.6)2011年の米国TVドラマ"The Booth at the End"を原作にしたイタリア映画を観てきた。邦題は「ザ・プレイス 運命の交差点」 ローマの街角にあるカフェ「The Place」。その奥に座る男の元に、様々な人が訪れてくる。彼らには、叶えたい希望があり、男に訴える。男は、それを叶える代わりに、依頼者にミッションを与える。しかし、このミッションというのがエグい。ガンの息子を治したい父親に少女の殺害を指示したり、神の存在を再び感じたいという修道女に妊娠することを指示したり。依頼者達は、そのミッションの進捗状況の詳細を逐次、報告することも求められている。という、不条理ドラマ風の設定だ。 さらに、舞台となるのは、このカフェのみ。依頼者達がミッションを遂行する様子は、彼らの口から語られるだけで、映像で見ることは無い。この構成が、映画に独特のリズム感と緊張感をもたらしている。 物語では、9人の男女に、それぞれミッションが与えられる。一見、バラバラのようで、徐々に、それらが関連し合うことが分かってくる。交錯する運命。ミッションの達成により叶えらる希望もあれば、皮肉な結果を招くミッション/希望もある。他人の運命を自在に操っているように見える男は何者なのか? その回答(と思われるもの)は、最後の最後に示される。これがまた、深い余韻をもたらす。 限定された舞台で、観客の想像力に訴えるというのは"Den skyldige (The Guilty)"と同様。脚本が巧みだと、非常に効果的な手法だと思う。本作も、とてもスリリングな映画だった。 どうも、自宅のインターネット回線(J:COM系)がよろしく無いような気もしています。ぴあなどのサイトで応答が無い時も、スマートフォンからの接続だと先に進めるケースがあるような。いまだに、PC操作の方が圧倒的に楽で、スマートフォンに苦手意識を持っていると、色々損をするのかしらん。 |