IN/OUT (2017.8.13)

日頃、アウトドアとは無縁の生活を送っているため、先週の夏フェス参戦による日焼けダメージは、予想以上。というか、その回復ぶりに、子供時分に比べ確実に新陳代謝が低下している事を再認識する、今日この頃です。


in最近のIN

"Popstar: Never Stop Never Stopping"17.8.7

米国の老舗コメディ番組"Saturday Night Live"でブレイクしたコメディ・トリオ、The Lonely Islandが、脚本、監督、主演を務めた映画を観てきた。邦題は「俺たちポップスター」。

その振り付けと共に大ヒットした"The Donkey Roll"でお馴染み、伝説的ヒップホップ・グループ、The Style Boyzと、そこからソロ・シンガーに転身したConner4Realを描く、ドキュメンタリー映画である。彼らのファンを公言する Ringo Starr、Mariah Carey、RZA、Pharrell Williams、Simon Cowellら、超有名人達のインタビュー映像も満載。彼らの栄光と挫折を描き、米国音楽業界の裏側を抉る。

…という仕立ての、疑似ドキュメンタリーである。ただ、続々と登場する有名人は、皆、ご本人。あまり、私としては好きになれないMariah Careyも、これだけ堂々と自虐ネタを披露する姿を見ると、ちょっと見直してしまった。さらに、Sealが本人役で、Justin Timberlakeがツアーに同行するシェフ役で、それぞれ、振り切ったお馬鹿演技を披露し、強烈な印象を残す。よくぞ、こんな間抜けなキャラを引き受けたものだ。それだけ、The Lonely Islandと、この映画の製作者 Judd Apatowに人望が有るということか。

また、業界を舞台にした疑似ドキュメンタリーに説得力を持たせるには、それらしい音楽が重要になる訳だが、The Lonely Islandは、元々、音楽ネタでブレイクしたコメディ・グループということで、劇中で流れる楽曲のクオリティが驚くほど高い(あくまでもサウンドのクオリティであって、歌詞の方は、驚くほど下品だが…)。ミュージック・ビデオやライヴのシーンでは、Adam Levine、Pink、Michael Boltonらが共演し、本気のパフォーマンスを見せる他、若きオスカー女優 Emma Stoneがド派手な歌手 Claudia Cantrellに扮し、衝撃のヴィジュアルと歌唱を披露(最初観たときは、あまりにもメイクがぶっ飛んでいて、彼女に全く気づかず。情報を仕入れた後、映画館で再見し、確認した)。

演出が、映画的というよりは、TV的であるようにも思うが、これだけ笑った映画は久々だ。テンポも良いし、ラストのまとめ方も上手い。洋楽ファンには、大いにお勧めの作品だ。ただし、音楽業界あるあるネタのオン・パレードなので、元ネタが分からない人には面白さが伝わりづらいだろう。例えば、主人公達が、グループの活動とソロ活動のバランスを議論する際、引き合いに出すのが、Wu-Tang Clanというくだり。さらに、Wu-Tang Clanじゃ、ヒップホップが苦手な中高年に伝わらないと思ったのか、続けて、Tom Petty and The Heartbreakersを持ち出すという台詞が続き( この、Tom Pettyを使った比喩が滅茶苦茶なのだが…)、さらに笑わせるというシーン、私は大好物だが、日本じゃ一般受けはしないかな。


"Spider-Man: Homecoming"17.8.11

スパイダーマンの新作を観てきた。もう、このキャラクターの映画は、何度もリブートされているし、いまや、年中、何かしらのアメコミ映画が上映されている訳で、全く新鮮味も無く、期待していなかったのだが、予想を遙かに超える快作だった。

昨年公開されたCaptain America: Civil War"で、Tony Starkが登用したルーキーだったSpider-Man。その時の活躍で、まだ高校生のPeter ParkerはAvengersの正式メンバーになれると期待したのだが、Tony=Iron Manからは、ご近所ヒーローとして地に足の付いた活動をするように言われる。Peterは、何とか、憧れのTonyに認めてもらおうと奮闘するという筋立て。

Marvel Cinematic Universeの中で、Spider-Manの特徴である「お隣のヒーロー感」を際立たせつつ、Iron Manとも違和感なく共演させるという、実はかなり難しそうな課題を見事にクリアした脚本が巧い。今作でのPeter Parkerは、これまでのSpider-Manで描かれた悩める若者というよりは、もっと快活で、誰からも好感を持たれるタイプ。まさに、"boy next door" という雰囲気で、学園物としても、楽しめる展開になっている。一方、Michael Keatonが演じる敵役も、地球征服のような野望を持っている超人的存在では無い。Avngers達の戦闘跡地で拾ってきた超技術が詰まった物質から、武器を製造して売りさばいているのだが、その動機は、家族と従業員を養うため。警察やAvengersに見つからないよう、地味に密売業を続けているという設定で、泣かせる。

もちろん、シリーズ映画として押さえるべき所をきちんと押さえているのも、楽しい。ヒロインを助けたSpider-Manが、逆さづりの状態で彼女と向き合うシーンは、2002年のSam Raimi版の名シーンを、上手く活かしていると感心するし、"MJ"の名前のヒロインは、今作には出てこないんだなと思っていたら、実は! という、次回作以降に期待を持たせるシーンには、驚いた。昔からのSpider-Man好きには、堪えられないと思う。

もう一つ、Marvel Cinematic Universeでお馴染みとなった、原作者Stan Leeのカメオ出演。今作では、さらに台詞の量が増えているようで、御大もノリノリである。

この夏のブロックバスター映画群の中では、今のところ、ベストの一本だ(間もなく、公開される"Wonder Woman"には、さらに期待しているのだが)。



そして、日焼け痕の皮むきは、梱包材のプチプチを潰す以上の中毒性があるということも、実感しております。