IN/OUT (2017.3.5)

Windows Phoneの希望の星かと思われていたNuAns NEOの新商品が、Androidに鞍替え。一般携帯電話市場におけるWindowsは、これで、ほぼ死に体となったというのが、客観的な見方になる今日この頃。Windows Phone愛用者としては、実に悔しいのですが、Microsoft自身が、どう見ても、熱意を持って取り組んでいるとは思えないところが、さらに悔しい。実際の所、ちょっとしたアップデートは積み上がっていて、地図にせよ、Cortana(AppleのSiri、GoogleのGoogle Nowみたいな音声アシスタント)にせよ、初期バージョンからは飛躍的に使いやすくなっているのだけれど、その辺のアピールもしていないしなぁ。


in最近のIN

"La La Land"17.3.3

今年のアカデミー賞の話題を(いろんな意味で)さらったミュージカル映画を観てきた。

映画の冒頭から、この作品が、古き良きミュージカルの世界にオマージュを捧げる物だと宣言するようなスタイル。そして展開される超王道のミュージカル・シーンに圧倒される。音楽もダンスもカメラワークも完璧。単に古典的なだけで無く、ちゃんと現代風のストリート系ダンスも取り入れているところも巧みだ。まさに、映画の魔法が詰まったオープニングである。

しかし、そこから始まるストーリーは陳腐。それぞれの夢を追いかける男女が出会い、恋に落ち、そして…、という他愛の無いものだ。音楽や踊り、そして画面を彩る色彩感覚は素晴らしいのだが、肝心の物語が平々凡々。悪くは無いんだけどなぁ…。あと、Emma Stone演じる主人公の女性に、いまいち感情移入ができない(彼女の演技も、歌も、ダンスも素晴らしいのだが、性格設定が…

ちょっとした不満の数々は、しかし、ラスト近くの演出で、一気に解消。退屈な中盤は吹き飛んでしまう。「思い出の音楽」に揺り動かされる感情、あふれ出す懐かしさ、愛おしさ、ほろ苦い後悔を、これほど見事に映像化したシーンは観たことが無い。そして、音楽が終われば、そこには現実が続いている。流行の言葉で言えば"Altanative Facts"を見せつける演出手腕は、見事だ。

Damien Chazelle監督の前作、"Whiplash"(邦題は「セッション」)での演技が印象深いJ.K. Simmonsの使い方に見られる遊び心や、エンディング・クレジットの最後に流れるEmma Stoneのハミングなど、隅々まで楽しさに溢れた作品で、アカデミー賞での高評価も納得である。


"The Nice Guys"17.3.3

Russell CroweとRyan Gosling主演の映画を観てきた。金曜夜に映画館をハシゴ。「La La Land」終映の15分後から鑑賞開始。これはもう、Ryan Gosling祭りである。

Russel Croweは、腕っ節を頼りに、私讐を晴らしたい人から金を受け取り、その相手をぶちのめすことを生業にする中年男。Ryan Goslingは、妻と死別したシングル・ファーザーの冴えない私立探偵。この二人が、ひょんなことから巨悪に巻き込まれるというストーリー。最初は、Russell Croweが肉体派・武闘派担当で、Ryan Goslingの方が知性派という役どころかと思っていたのだが、中年親父臭全開のRussell Croweが実は頭脳の方も優秀で、Ryan Goslingの方は、徹底して情けない駄目人間。「La La Land」で、歌・踊り・ピアノ演奏を吹き替え無しで決めた伊達男と同じ役者とは信じられない振り幅だ(この幅広さが、彼を売れっ子にしているのだろう)。

この二人に加わるのが、Ryan Goslingの中学生の娘。私は、小生意気な子供が活躍する映画って、イライラさせられる事が多く、あまり好きじゃないのだが、この映画では、彼女が絶妙の立ち位置になっている。無茶はするけど、生意気過ぎず、駄目人間の父親を、それでも信頼し愛している。実に、チャーミングな娘さんなのだ。おじさん二人の掛け合いだけでも十分に笑える作品に、彼女が加わることで、さらに奥行きが拡がっていて、単なるバディ・ムービー以上の楽しさになっている。

舞台は、1977年のロサンゼルス。犯罪捜査に携帯やネットを使わない泥臭さを出すために必然の時代設定だと思うが、同時に、あの時代の猥雑な雰囲気が、まさに作品世界にぴったり。音楽も、Earth Wind & Fire、Bee Gees、Captain & Tennille、The Band、America、Al Greenなど、まさに時代を感じさせる曲ばかりで、個人的にも盛り上がる。

とても良い作品だと思うのだが、あまりに役柄が違うせいか、超話題作「La La Land」と同じ俳優が主演しているというのに公開館が少ないのが残念。客観的に言えば、映画としての「格」は見劣りするのだと思うが、主観的には、Ryan Gosling祭りのメインは、こっちの作品だ。



どうも、私が好む物や店は、市場競争に負ける宿命である場合が多いような気がしてきました。よく言えば、滅びの美学? まあ、厳しい競争市場で、永遠に勝ち続ける物など、滅多に無いわけで、旗色が悪くなったときにさっさと乗り換える割り切りが必要なんでしょうけどねぇ…。今のところ、AndroidにもiOSにも乗り換える気は、さらさら無し。