IN/OUT (2016.7.17)

明けそうで明けない梅雨。しかも、この時期は、例年、暇な訳じゃ無い。ということで、「海の日」は、梅雨が完全に明けた頃に設定すれば良いのに(ついでに「海・山の日」に一本化も)と思う今日この頃です。っていうか、国民の祝日は、正月以外は、偶数月(もしくは奇数月)の第一月曜日、とかに削減&固定してもらいたいと割に真剣に考えてしまいます。


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"The Man Who Fell to Earth"16.7.17

David Bowieが映画初主演を果たした1976年の作品が、渋谷のユーロスペースでリバイバル上映されているのを観てきた。監督はNicolas Roeg。邦題は「地球に落ちてきた男」。因みに、Bowieのアルバムで言うと、1975年の"Young Americans"と、1976年の"Station to Station"の間に撮影された映画である(この情報だけで、Bowie好きには映画の雰囲気が伝わりそうだ)。

ニュー・メキシコの湖に落下した宇宙船で地球にやってきた異星人がDavid Bowie。彼は、異星人ならではのスーパー・テクノロジーの幾つかを特許にし(そのうちの一つは、現在のデジタルカメラを想起させるアイディアだ)、起業。瞬く間に大富豪になるのだが、そのプライベートは謎に包まれたまま、という役どころ。

40年前の作品だけに、異星人の衣装など、造形的な面での古くささは否めないが、SF的なアイディアという点では、今でも十分に通用する面白い設定だと思う。ただし、英国出身のNicolas Roeg監督は、やはり英国出身のロックスター David Bowieを起用して、アメリカを舞台に当時の社会を皮肉る(むしろ、かなりブラックな批判と言うべきか)内容を、いかにも70年代アート映画っぽい手法で描くことに集中していて、SF色は薄い。

というか、この作品は結局の所、David Bowieの存在感をフィルムに残しとどめるために作られた、と言い切って良いと思う。それほど、この映画でのBowieの美しさは際立っている。左右の目の色が異なる(先天的な物では無く、事故のためだそうだ)ことも、異星人っぽさを引き立ている。実際には、この映画の撮影中は、かなりのドラッグ漬けだったそうで、本人も撮影の記憶はあまり無いと、後のインタビューで語っているが、その倦怠感漂う雰囲気もまた、この映画にマッチしている。

40年前の「前衛」っぽいアート作品は、今観ると、そのテンポに乗れないところもあるのだが、この映画のビジュアル・イメージは、その後のDavid Bowieの作品に多大な影響を与えているだけに、未見のBowieファンは観ておくべき作品だろう。


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コンサート不戦敗 - サンナナニ -16.7.13

平日のライヴ・チケットをゲットしていたのだが、結局、その日は仕事の終わりが見えず、参戦を断念。行けなかったのは、サンナナニ、初のワンマン・ライヴ「はじめての微熱。」@TSUTAYA O-nest。後から、そのレビューをネットで見るにつけ、行けなかったことが本当に残念だ。

サンナナニは、AZUMA HITOMI、ひぐちけい、Uによる、スリーピース・ロックバンド。私は、矢野顕子のアルバムに参加したAZUMA HITOMIに対する興味から知ったのだが、その評判は極めて高い。流行に乗ったようなガールズ・バンドではなく、演奏技能と音楽センスが、若手バンドの中でも図抜けているという評判なのだ。

ネットで見たレビュー記事によれば、登場時に流れたBGMが、The Policeの"Synchronicity I"。オリジナル曲以外で披露したカバー曲が、BECKの"Devils Haircut"、XTCの"Generals and Majors"、New Orderの"Krafty"だったという。何とも素晴らしい選曲だ。しかも、オリジナル曲の中には『プログレッシヴ・ロックばりの展開が用意(ガジェット通信。OTOTOY氏の記事から)』されたものも有ったと言うではないか。その場に居合わせることが出来ず、残念至極。

次の機会があれば、文字通り、万障繰り合わせて参戦したいところだ。出来れば、週末にやっていただけると、有り難いのだが…


"Independence Day: Resurgence"16.7.16

"Independence Day"の続編を観てきた。

監督は、引き続きRoland Emmerich。この人、やたらと壮大な構想で、人類が危機に瀕するという映画を撮り続けている。中学生男子なら大好きそうなテーマだし、出来上がった作品がB級馬鹿映画なら私も飛びつきそうな題材ばかりなのだが、それを、最先端の特撮・豊富な資金力でA級大作として撮影し、結果、ちっとも面白くない駄作に仕立て上げてしまうというのが、私の評価だ。Independence Dayの前作も、その駄目っぷりに呆れたのだが、ついつい、時間が合ってしまったので鑑賞してしまった。

結果、前作を超える駄作としか言えない映画だった。もう、設定が間抜け。巨大な宇宙船で地球に攻めてくるだけの技術力がある種族とは思えない敵キャラの設定も、彼らの目的も、ツッコミどころ多すぎ。さらに、相当の数の人類が死んだと思われる大規模な侵略が行われているのに、描かれるのは、家族・友人・恋人達の狭い範囲だけ。それが、なんたる偶然か、都合良く、戦場で出会ったりする超ご都合主義の連続。せめて、特撮で驚きがあるかと期待したが、めぼしいところはTV CMですっかり露出済み。

「宇宙人を素手でやっつける」とか、「犬は絶対に助ける」という、ある種のお約束シーンを入れてきたのは、監督のユーモア・センスだと思うのだが、その描き方がイマイチで笑えないところも困った。

一箇所も誉めるところが見つからない困った映画体験になってしまったが、Emmerichが監督続投で三作目の製作も予定されているらしい。こういう映画の需要がどこにあるんだ?



まあ、体力を考えれば、平日にオールスタンディングのライヴハウスに行くという、年甲斐も無い行いを慎んだことは正解だったかもしれませんが…