IN/OUT (2016.7.24) |
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NHKまでがトップニュースで報道する「ポケモンGO」。元々、ゲームには、ほとんど興味が無いので手を出すことは無い(と言うか、常用しているのがWindows Phoneなので使えない)のですが、同じ開発元のIngressの話題度との差に、任天堂のブランド力を思い知らされます。 最近のIN"The Shallows" (16.7.23)サメ映画を観てきた。邦題は「ロスト・バケーション」。原題とは全然違うカタカナ・タイトルを付けるという、私の最も嫌悪するタイプの馬鹿邦題だ。 邦題は間抜けだが、映画自体はテンションの高い快作だ。舞台は、観光客の訪れることの無いメキシコの静かなビーチ。サーフィン中にサメに襲われたヒロインは、波の上に頭を出している岩礁の上に避難する。岸までは200mほどだが、サメは岩礁の周りを泳ぎ続け、彼女は岸に戻れない。助けを呼ぼうにも、静かな「秘密の」ビーチなので、通りかかる人もいない。やがて、満潮になれば、岩礁は水没し、その時点でサメに攻撃されるのは目に見えているという絶望的な状況。この、一発アイディアの設定で86分の映画を描き切った監督の手腕が冴えている。 まず、目立つのは、カメラワークの良さだ。冒頭からしばらくは、出来の良いサーフィン映画を観ているような画面構成。極端なクローズアップと水中からの撮影を組み合わせた爽快なサーフィンの映像は、やがて、サメ映画のお約束、観客にサメ目線と思わせる不気味な水中ショットになる。さらに、スマホの画面や、アクション・カムの映像など、新しいテクノロジーの見せ方が巧く処理されているのにも感心した。 サバイバル劇の主人公が、若い女性というのも、サメ映画としては新機軸だろう。ビキニ姿のサービス・ショットもあるが、単にキャーキャー騒ぐのでは無く、知恵(医学生なのだ)を駆使して難局に立ち向かう、いかにも現代的なヒロインを、Blake Livelyが見事に演じている。全編の8割ぐらいは彼女の一人芝居だが、観客にもリアルな痛みが伝わってくるような、かなり痛いシーンも含め、大した演技だ。 彼女が何故、この「秘密」のビーチを知っていて訪れたのか等、物語の背景を、過剰に語ること無く観客に伝えるテクニックも巧いし、岩礁の上で友達になるカモメ("Sully 'Steven' Seagall"として、ちゃんと出演者にクレジットされている)の描き方も気が利いている。宣伝文句通り、"Jaws"以来の本格サメ映画の傑作として記憶すべき作品だ。 「AlphaGo」に「ポケモンGO」(どちらにもGoogleの存在が…)。年末には、どこぞの住職さんが、「GO」を、2016年を象徴する語として書くかもしれませんな。 |