IN/OUT (2016.6.19)

梅雨入りしても、それほど雨は降らず。ただ、蒸し暑さだけが一気に高まる、今日この頃です。


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"10 Cloverfield Lane"16.6.18

J.J. Abramsが製作した映画を観てきた。タイトルは、彼が2008年に製作した"Cloverfield"を思い出させるが、直接の続編という訳では無い。

主人公の女性は、車で事故に遭い、気がつくと「シェルター」内に担ぎ込まれている。シェルターの持ち主は、「何者かの襲撃で、外の世界は壊滅。空気も汚染され、シェルターから出るのは危険」だという。しかし、窓の無い地下シェルターでは、彼の言うことが真実なのか確かめる術は無い。果たして、彼は命の恩人なのか、狂人なのか?

"Coverfield"は、偽ドキュメンタリーの手法で描いた怪獣映画だった。今回の作品は、そこまでのギミックでは無いが、常に主人公に寄ったカメラワークで、観客にも、周囲の客観的情報は入ってこない。主人公と同じく、一体何が起こっているのか、惑わされ続けるのだ。全く先が読めない展開の中、極めて高い緊張が続く。監督のDan Trachtenbergは、これが長編デビュー作ということだが。中々の力量だ。

主人公の女性と、シェルターの持ち主、そしてもう一人、シェルターに逃げ込んで来ていた青年。三人だけの密室劇が続く。外の世界で起きている「何者かによる侵略」という設定は一旦後退し、シェルターの持ち主を演じるJohn Goodmanが実はサイコパスなのでは?というサスペンスが強まってくる。それが極限に達したところで、一転、謎の侵略者がその姿を(ちらっと)現す。密室サスペンスと侵略SFを組み合わせた変化球的作品で、J.J. Abramsの面目躍如という感じだ。どちらの要素もレベルが高く、飽きさせないのだが、あまりにも緊張感が張り詰めすぎていて疲れるのも事実。もう少し、緊張を緩和するようなシーンを挟んでも良かったんじゃ無いかなぁ。

善人のようにも狂人のようにも見えるJohn Gooodmanが、まさにハマり役。しかし、Mary Elizabeth Winsteadが演じる主人公の女性には、いまいち感情移入が出来なかった。機転と手先の器用さでサバイバルしていく逞しさはあるのだが、どこか、イラッとするものを感じるのは、何故だろう? 私の感性が捻くれているのか?

Cloverfieldは、元々、J.J. Abramsの事務所があった通りの名前ということだ。前作はドキュメンタリー・タッチの怪獣映画。今作は怪獣要素は有りながらの密室サスペンス。今後も、この固有名詞を使いながら、微妙に似通った要素(あの、怪しげな飲み物も含め)を持つヘンテコな映画シリーズとして展開していくと楽しそうだな。



この分だと、梅雨の後半には、また、亜熱帯のようなスコールに見舞われる日が続きそうな気がします。そのうち、「昔は、東京って温帯だったんだよ」と若い人に言う時代が来そうです。