IN/OUT (2016.6.26) |
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職場に新人が配属され(自分の職場に学校を出たての新人が来ることは稀だ)、ジェネレーション・ギャップに戸惑う今日この頃。今の新人って、村上春樹年表だと「国境の南、太陽の西」が出版された時には、まだ生まれていなかったことになります。びっくりだ。 最近のIN「村上春樹とイラストレーター - 佐々木マキ、大橋歩、和田誠、安西水丸 -」@ちひろ美術館・東京 (16.6.25)村上春樹と、装丁・挿絵・共作でコンビを組んできた四人のイラストレーターをテーマにした展覧会を観に、ちひろ美術館・東京に行ってきた。西武新宿線 上井草駅から閑静な住宅街を歩いて10分弱。いわさきちひろの自宅兼アトリエ跡に作られた、いわさきちひろの作品と世界の絵本画家の作品を収集・公開している美術館だ。 イラストと、関連する村上作品から抜粋された文章が並ぶ展示は、予想以上に楽しい物だった。中でも、初期の佐々木マキとのコラボレーションは、リアルタイムで、どっぷりハマった経験があるだけに、ずっと見ていても飽きない。実際の単行本も自由に手に取れるようになっているので、座り込んで「羊男のクリスマス」を、久しぶりに熟読。208と209の双子に再会できて嬉しい。Kindleでの読書が増え、イラスト入りの書籍を手にすることが減っているが、やはり、こういうのは良いな。 実際の所、熱心な村上春樹ファン以外にはアピールするところは少ない展覧会だとは思う。が、単に、イラストと文章を並べました。で終わっていない展示方法に、キュレーターのセンスの良さを感じる好企画だった。本の装丁に関して拘りを持つ(「ノルウェイの森」の装丁は自分自身で手掛けている)村上春樹だけに、この4人以外にも範囲を拡げた展覧会も観てみたいものだ。 初めて訪れた、ちひろ美術館・東京。いわさきちひろの作品自体は、個人的には苦手なので、これまでは興味を持つことも無かったのだが、小規模ながら良心的に運営されている雰囲気だ。今回、初めて原画に接すると、そのメルヘン調の作品世界の奥に、荒々しいまでの力強さが秘められているようにも感じ、やはり、実物は観ておくものだと思った。 "Money Monster" (16.6.25)Jodie Fosterが監督に専念した新作を観てきた。主演は、George ClooneyとJulia Roberts。 George Clooneyは、財テク番組「Money Monster」の司会者。番組ディレクターがJulia Roberts。その生放送中に銃を持った男が乱入。George Clooneyに爆弾付きのベストを着用させる。男は、この番組の情報を信じて手にした株で、大損を被ったのだ。 一見、単純な人質救出劇かと思いきや、株暴落の裏に潜む陰謀を暴くミステリ要素、さらに、トラブルに巻き込まれながら放送を続ける局員たちのプロフェッショナル劇としての要素が絡まる脚本の巧みさに驚いた。そこに、二大スターの共演が色を付ける。冒頭、軽薄で情けない一面を見せながら、徐々にカッコ良さを取り戻すGeorge Clooneyの鉄板演技と、Julia Robertsのプロフェッショナル演技。見せ場たっぷりだ。 そして、これらの要素を見事にまとめ上げたJodie Fosterの監督としての力量に刮目。テンポの良い展開。ちょっとした謎画面の挿入という小技。劇中のTVカメラと映画の視点としてのカメラの使い分け。見事だ。私にとって不動のThe Most Favorite ActressであるJodie Foster様だが、これまで、彼女の監督作には(巧いとは認めても)あまり心を動かされなかった。しかし、今作は大当たり。変にテーマ性を追わず、エンターテインメントに割り切ったのが良かったと思う。子役時代から活躍し続けるハリウッド女優だけに、エンターテインメントを知り尽くしているのだろう。 "Money Monster"を見たのは、英国のEU離脱で市場が大荒れになった翌日。タイムリーと言えばタイムリー。歴史的な日に立ち会ったと思うと同時に、現実的な影響を考えると頭が痛くなる今日この頃です。 |