IN/OUT (2016.6.12)

先週も嘆いた、最寄り駅近くのスーパーマーケット閉店情報。同じビルに入っている飲食店の店員さんから仕入れた情報によれば、数ヶ月後に新規開店するのは、スーパーでは無く、洒落おつセレクトショップ系になるとのこと。そういうのを求めているんじゃ無いんだよぉと、魂の叫び…


in最近のIN

"Deadpool"16.6.11

Marvelの新しいヒーロー映画を観てきた。一応、X-Menのスピンアウト作にあたる(有名どころは出演しないが、Xavier's School for Gifted Youngstersに所属する二人のミュータントが登場)。ただし、主人公は自分のことを「スーパーだが、ヒーローでは無い」と言い切る、変化球作だ。

Ryan Reynoldsが演じる主人公は、末期癌に冒された元特殊工作員。秘密組織に人体改造を受け、不死身の身体を得る。しかし、その結果、肉体は醜く変わり果て、恋人の元にも帰れなくなってしまう。ということで、彼は、組織への復讐を果たすべく、赤いコスチュームに身を包んだDeadpoolとして行動を開始。あくまでも私怨を晴らすのが目的で、そこに正義感もモラルも無い、というのがミソ。

さらに、彼は、とにかく饒舌でジョークを飛ばしまくる。過去にも、ピンチになっても軽口を叩きながら切り抜けていくヒーローは多数いたが、Deadpoolの場合、時に観客に向かって話しかけ、そのジョークの内容が、メタ・レベルというのが新しい。雑誌「People」で「最もセクシーな男」に選ばれたRyan Reynoldsのことを自分自身でおちょくるとか、X-MenのProfessor Charlesのことを、演じる役者名で語るとか。ショービズ系のネタについて行けるほど、面白さが増すようになっていて、いかにも米国人が好きそうだ。

オープニング・クレジットからしても、徹底的にふざけたもので、ここまで徹底すると気持ちよい。当然、エンディングにもお楽しみのメタ・ジョークが仕込まれている。どぎつい暴力シーンでR指定になっているが、描写の必然性よりも、むしろ、話題作りのためにR指定になるようにしたのではと勘ぐってしまう。が、それぐらい、製作者側が知恵を絞ったという感じが伝わってくる。


"Irrational Man"16.6.11

Woody Allenの新作を観てきた。原題はシンプル過ぎるような気もするが(Woodyの作品は、こんな感じのものが多いが…)、それにしても、邦題の「教授のおかしな妄想殺人」は、ちょっと違うだろう…

Joanquin Phoenixが演じるのは、大学の哲学教授。元々は優秀かつ、行動を伴う学者だったが、様々な人生体験を経て、今では、虚無感に囚われ、衝動的にロシアン・ルーレットを行うほどの情緒不安定に陥り、シングル・モルトが入ったスキットルが手放せない。そんな彼に惹かれてしまう女子学生を演じるのが、Emma Stone。物語は、二人の独白によって進んでいく。

食堂でたまたま聞こえてきた、卑劣な判事の話。彼を殺すことを考え始めたときから、教授の日常は輝きを取り戻していく。おそらく、以前であれば、教授の役はWoody Allen自身が演じていたかもしれない。前半の神経症的なところは、Woodyにピッタリだ。ただ、後半、殺人計画が具体化していくにつれ、ギラギラしてくるところは、Joaquin Phoenixの存在感が半端ない。実生活で変人との評判が高いJoaquinが演じることで、説得力が増しているようだ。一方、常識的な良家の子女のようだが、ある種、女性の身勝手さを体現したようなEmma Stoneの描き方も巧みだ

皮肉で、軽妙で、オフビートな物語。淡い水彩画のような画面。バックに流れる音楽は、ピアノ・トリオなどジャズのライヴ盤。決して、爽快感があるとか、サスペンスが盛り上がるというタイプの映画では無いが、今のWoody Allenらしさが詰まった映画で、彼の作品が好きな人なら、皆、気に入ると思う。私は気に入った。

特に、自身がジャズ・ミュージシャンとしての顔を持つWoodyだけに、音楽のセンスが素敵。BGMにスタジオ録音では無く、ライヴ盤を用いているため、拍手や歓声が入っている。本来なら画面の邪魔になりそうな、これらの「ノイズ」が、音楽・画面と一体化して、良い効果を上げているのだ。

Woody Allen、御年80歳。ほぼ年一作のペースを守り続けており、まだまだ楽しませてくれそうだ。



どうも、この駅、JRが勘違いしているようで、無駄にお洒落寄りに偏った店が多い。駅ナカの飲食店にしても、コレジャナイ感強し。それとも、そう思っている利用者は、私だけなのかしらん…