IN/OUT (2016.4.3)

春の矢野顕子強化月間で、新大久保の東京グローブ座に通う日々。これまで、新大久保には縁が無かったのですが、いざ、駅を降りてみると、予想以上に混沌とした町なんですね。韓国系だけではなく、様々な人種の人々が行き交い、店の看板に書かれた文字も多種多様。


in最近のIN

"Absolutely Anything"16.4.2

Monty Pythonのメンバー、Terry Jonesの監督作を観てきた。主演はSimon Pegg。声の出演で、John Cleese、Terry Gilliam、Eric Idle、Michael Palinが参加しており、既に故人となったGraham Chapmanを除いて、Pythons勢揃いである。邦題は「ミラクル・ニール!」

Simon Pegg meets Monty Pythonという、好事家にとっては興味を惹かれまくる映画ではあるが、その内容は、TVシリーズ Monty Pythonよりも、さらに下らない(誉めてます)。宇宙人が、地球を滅ぼすか否かをジャッジするため、全能の力を、ランダムに選んだ一人の地球人に与え、10日間様子を見る。彼が、それを悪行に使えば地球滅亡、善行に使えば地球は救われる(宇宙人にとっての善悪の基準が、オチに効いてくる)。邦題のニールは、ロンドンに住む冴えない学校教師。Simon Pegg扮する彼が、その地球人代表に選ばれてしまうところから始まるドタバタ劇。で、この宇宙人の声が、Pythonsの面々。いきなり、全能の力を得たことに気づいた主人公は、とりあえず愛犬に喋る能力を授けてみる。この愛犬の声は、これが遺作となったRobin Williams。ヒロイン役はKate Beckinsale。安直な設定に対して、何とも豪華な出演者&声優陣である。

が、特撮もショボいし、展開も適当。客観的に映画として評価すると点は厳しくなりそうだが、それを全てチャラにしてしまうのが、Simon Peggの「良い人オーラ」と、Robin Williamsとの絶妙なやり取りだ。とりあえず、リラックスして笑えて、嫌な気分が残らない85分である。


「THE SAPEUR - コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン」@西武渋谷店16.4.2

西武百貨店渋谷店西武渋谷店の特設会場で開催されている、写真家 茶野邦雄氏の写真展を観てきた。

被写体となっているのは"Sapeur"と呼ばれる人達。コンゴ(今、国家としては「コンゴ共和国」と「コンゴ民主共和国」に別れている)に暮らす「ファッション命」の生き方をする集団だ。平均月収 3万円の状況で、彼らは徹底的にファッションに拘る。年収の大半をつぎ込んだ高級スーツを着こなし、ステッキやパイプなど小道具に凝り、独自のルールに則ったヴィヴィッドな色使いを極める。ちょっと前から、彼らを写した茶野氏の写真は話題になっていたが、今回、200点を超える写真とヴィデオが一堂に会する展覧会が開催されたのだ。

西武百貨店渋谷店アフリカの後進国という先入観をぶち壊す、ド派手な衣装でキメキメのポーズを取る男達。写真のインパクトは強烈だ。Sapeurとしてのスタイル・生き方に誇りを持つ彼らは、ファッションで人生を楽しみ、争いや暴力を否定する。起源は1920年代ということだが、その見た目で、不良集団と見なされた時期もあったようだ。それでも、その美意識は強固で、1970年代、コンゴを代表する歌手、Papa Wembaが世界的に有名になった頃から、このムーヴメントは定着したという。

近年、経済成長が期待されるアフリカ諸国だが、コンゴ民主共和国・コンゴ共和国は、まだまだ多くの困難を抱えているのが実情だ。それでも、派手なファッションで、平和を愛し、日々を楽しく彩って暮らしている彼らの存在が、周囲の人も明るくしているのだと思う。独自のルールを課したファッションを纏う集団というと、日本にも色々なパターンがあるが、その多くは、周囲とは壁を作り、自分たちの身内意識に酔っているだけという感じもする。それに比べると、Sapeurの人達の生き方のカッコ良さが輝いて見える。



本家、ロンドンのグローブ座と同様、シェークスピア劇の拠点かと思っていた東京グローブ座が、実はジャーニーズ事務所の所有で、所属タレントの舞台を中心に上演しているというのも驚きでした。韓流ファンとジャニーズ・ファンが行き交い、そこに多国籍の人々の生活も重なる、そりゃ、混沌とするな。