IN/OUT (2016.2.28) |
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毎年この時期、防災設備やらガスやら配水管やら、住んでいる集合住宅のメンテナンスが重なるのですが、どれも微妙に日付がずれて、毎週末のように待機する羽目になってしまいます。それぞれ、管轄会社が別とはいえ、一度に済ませてもらえないかとイライラする今日この頃です。 最近のIN"The Hateful Eight" (16.2.28)Quentin Tarantino監督の新作を観てきた。 舞台は、南北戦争から数年後のアメリカ、ワイオミング。吹雪のため山中のロッジに閉じ込められた一癖も二癖もありそうな男女8人。そして起こる殺人事件。 雪に閉ざされた密室での殺人というと、「オリエント急行殺人事件」のようではあるが、そこはTarantino。一筋縄ではいかない。謎解きはあるのだが、純粋なミステリーとしてみれば、かなりいい加減。むしろ、密室状況の中、誰が殺人者か分からないという疑心暗鬼に囚われた集団を描いている点では、「The Thing(遊星からの物体X)」に近い雰囲気の作品だ。実際、「The Thing」の主演俳優 Kurt Russellが本作でも重要な役柄を演じているし、音楽を手掛けたのがEnnio Morriconeというのも共通している。ラストの味わいも、「The Thing」に非常に近いと思う。 饒舌すぎる登場人物が、いつ終わるとも分からない台詞の応酬を延々と繰り広げるところ。唐突かつ過剰に描かれる暴力。主要な登場人物も容赦なく殺されていく展開。時間軸をずらした語り口。「密室ミステリー」の体裁を取っても、結局、Tarantino印が溢れかえった作品だ。バイオレンス描写をもう少し穏やかにすれば、R18+指定にならずに済みそうなものだし、台詞をもう少し削れば、普通の人は観るのを躊躇する3時間越えなんて上映時間にならなかったと思うのだが…。でも、好きな人には堪らない。これで良いのだ。 演じる役者陣も、Tarantinoの毒気にすっかり感化されたようだ。Samuel L. Jacksonの怪演はいつもの如くだが、Jennifer Jason Leighのぶっ飛んだビッチぶりが素晴らしい。そして、ちょい役ではあるが、"Death Proof"のZoë Bell嬢が、実に「らしい」役で出演しているのが嬉しい。 さらに、映画オタクTarantinoの面目躍如たるところが、最近では珍しく、全編、70mmフィルムで撮影したという事。駅馬車が雪道を行くシーンなど、70mmの、通常より横長の画面を巧みに使った構図になっている。多分、コスト的には割が合わなかったと思うのだが、こういう拘りもまた、彼らしい。 ということで、Tarantino作品を見終わっていつも感じる満腹感を、この作品でも、たっぷり味わうことができた。個人的には大満足。でも、万人には勧めがたい、人を選ぶ映画ではあるよなぁ… まあ、定期的に他人が家に上がってくるということで、ある程度、室内の片付けを意識せざるを得ないというのは良いことだと、ポジティブ・シンキング。 |