IN/OUT (2016.1.3) |
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正月の三が日が金・土・日に当たるという、カレンダー的には「外れ」の年の初めです。 最近のINクリスティーを褒める (15.12.31)中学生の頃、ほぼ全作読破していたアガサ・クリスティーの著作だが、その後はほとんど読み返していなかった。ふと、思い立って調べてみると、早川書房が全てKindle化してくれている。それならば、第一作から全部読み返してみようと思い立ったのが三年前(Amazonの注文履歴を確認したら、2012年11月23日に「スタイルズ荘の怪事件」を発注していた)。 処女作「スタイルズ荘の怪事件」から「スリーピング・マーダー」までのミステリ長編及び短編集、「ねずみとり」などの戯曲集、Mary Westmacott名義で発表された非ミステリ小説、自伝、さらに死後に編纂された短編集や、死後発見された中編「ポアロとグリーンショアの阿房宮」まで、早川書房で入手出来る全98作品、発表年順に、ようやく読了。 一応、9割方は読んでいたはずの作品群なのだが、内容は、かなり忘れている物が多かった。大技のトリックを駆使した初期の作品は、当然、覚えているのだが、中学生の頃は、あまり印象に残らなかった中期以降の作品の方が、今読むと面白かったりもする。また、Mary Westmacott名義の普通小説が、非常に読み応えがあることにも驚いた。 さらに、こうやって続けて読んでいくと、「実はよく知らないベルギー人を、なぜ主役の探偵にしてしまったのだろう」と、ぼやきながらも、読者の期待に応えてポアロ物を書き続けてきた(その分、後期になるにつれ、意地悪な扱いになっているような気もするが)彼女のサービス精神が良く分かる。 「スタイルズ荘の怪事件」の発表が、1920年。日本では、大正時代。志賀直哉や芥川龍之介が活躍していた頃だ。その当時の作品も、ほとんど古びれずに読み継がれている(翻訳なので、適宜、現代の日本語に直っていることも読みやすさの理由だろうが)のは、本当に凄い作家だと思う。どの作品も、外れ無し。そのストーリーテリングの才には、改めて感嘆した。 なお、つい最近、NHKで放送されていたBBC製作ドラマ「トミーとタペンス」は、原作からの改悪があまりにも酷いと思う。本国イギリスで、こんな罰当たりなドラマが製作・放映されたとは信じられないし、原作を読んだことの無い人が、あのドラマだけを観てクリスティーの評価をすることが無いように、切に願う。 IMAX with LASERでStar Warsを観る (15.12.31)大阪エキスポシティの109シネマズで、"Star Wars: The Force Awakens"を観てきた。前回観たのは、普通の3D版だったが、今回は、109シネマズ大阪エキスポシティのシアター11、日本唯一の「IMAX 次世代レーザー」による上映である。 大阪モノレールを万博記念公園駅で下車。懐かしの太陽の塔を横目に見ながら、11月にオープンしたばかりの「大阪エキスポシティ」へ。ショッピング・モール「ららぽーと」、海遊館がプロデュースした、感性に触れるをコンセプトにした新世代の「生きているミュージアム=ニフレル」、ポケモンのテーマパークなどが集結した、複合商業施設だ。本当は、「ニフレル」にも行ってみたかったのだが、入場一時間待ちの行列が出来ていたので断念。なんとか、人の少ない平日に行くチャンスを作りたいものだ。連邦軍風の制服に身を包んだ店員さんが開店の挨拶をしているガンダム・スクエア(ここも入場制限がかかる人気ぶり)を横目に、ららぽーと内のフードコートで食事を済ませ、いざ、映画館へ。 「IMAX 次世代レーザー」が装備されたシアター11のスクリーンは、高さ18m×幅26mという、超巨大なもの。ここに2台の4Kレーザープロジェクターで3D映像が投影される。従来のIMAXシアターのほとんどが、2K(2048x1080)プロジェクターだったのに対し、4K(4096x2160)。しかもレーザー光源を用いることで、明るさやコントラストが高まっているという。サウンドも12chの豪華仕様。現時点で、日本の映画館では最強の上映環境だ。因みに、世界初のIMAX方式の上映が披露されたのは、1970年の大阪万博、富士グループパビリオンだったという。45年ぶりの凱旋とも言えそうだ。 これほど、凄い上映施設なのに、劇場前のポスターを見ると、広告に起用されているのは浜村淳!さすが、関西である。あの名調子でスターウォーズ新作の映画評を聞いてみたくなった(浜村淳の映画評は、ラストのネタバレまで全て喋り倒すことで有名なので、鑑賞前には聞きたくは無いが…)。 実際に観てみると、確かに素晴らしい画質だ。IMAXならではの3D効果も凄い。完全に映画の中に没入できる。初めてIMAX 3D上映を観たときには、その圧倒的効果に度肝を抜かれたのだが、何回も鑑賞していると、そういう驚きをすっかり忘れていた。しかし、次世代IMAXは、初めての時以上の驚きという感じだ。さすがに画面が大きすぎて、目が疲れてしまうというのもあるが… 映画自体は二度目なので、伏線を確認したりしながら落ち着いて鑑賞。シリーズ物としては、手堅く作っているなぁと感心するところもあれば、やはり、科学考証的なところのいい加減さ(割り切りと言ってあげるべきか?)が目立つなぁ、という感じも。いずれにせよ、次回作も、こういう上映設備で鑑賞したいものだ。 エキスポシティは、太陽の塔グッズを売っているお土産屋さんがあったり、フードコートに大阪万博のコンパニオンの衣装が展示してあったりと、万博と言えばエキスポ'70世代には、中々感慨深い施設でもありました。ただ、太陽の塔関連のお土産というのが、かなり貧弱(外箱に太陽の塔のイラストが印刷されているだけで、中は普通のお菓子だったり)。せっかく、あれだけキャラが立った塔なのだから、もう少し工夫が欲しい。スカイツリー関連土産のアナーキーさを見習ってもらいたいと思った帰省でした。 |