IN/OUT (2015.12.20)

上原ひろみ THE TRIO PROJECTの公演を観にブルーノート東京へ行ってきた。ドラムスのSimon Phillips、コントラベース・ギターのAnthony Jacksonとの超人気のトリオ、一週間のブルーノート公演は、全て抽選制だったのだが、私は見事に撃沈。今年は、このトリオの公演は、あきらめるしかないかと思っていたところに、同じく抽選に外れた友人から、敗者復活、キャンセルが出た席をタイミング良くゲットできたとの連絡有り。有り難く、同席させてもらうことができたのである。

超満員の店内。我々の席は、ステージ向かって右手側の前の方。ほとんど、Simon Phillipsの背後という位置。ひろみ嬢の姿は遠く、前の人達の頭の角度次第で見えたり見えなかったり。Anthony Jacksonにいたっては、ドラム・セットの影に隠れて、全く視界の外。ある意味、新鮮な角度からの鑑賞となった。

今回は、来年、2月3日に発売される新アルバム"SPARK"からの曲が中心という「新曲祭」。1曲目から、三人とも全開のプレイが炸裂。これまで、このトリオの公演を観るときは、視線はひろみ嬢に釘付けだったのだが、今日は、座席の関係でSimonのドラム・プレイをたっぷり堪能。スティック、マレット、ブラシを自在に使いこなしながらのスピード感溢れる演奏に、ただただ驚嘆。

新アルバムの曲は、どれも、このトリオの魅力を存分に引き出すようなノリの良いもの。小柄なひろみ嬢が、グランドピアノを制圧するかの勢いで怒濤のプレイをしながら、二人のメンバーにアイ・コンタクトを取る姿のカッコ良いこと。ソロで"Green Tea Farm"を演った以外は、ほとんどが新アルバムからの曲だったと思うが、よくぞ、ここまで息の合った演奏を繰り広げられるものだ。

恐らく、来年は、このアルバムの発売に合わせたホール・ツアーが世界中で行われると思うが、一足早く、雰囲気が抜群の小さめのクラブで聴くことが出来て、つくづく有り難い。

Star Warsの新作を観てきた。公開前から、社会現象とも言える盛り上がりだが、1977年の"Episode IV A New Hope"からリアルタイムで観ている者からすれば、その頃には生まれていなかった若い人達まで騒いでいる様子には、ちょっと違和感も覚える。まあ、この盛り上がりの本質は、Mel Brooksが"Spaceballs"で喝破したとおり、"Merchandise!"なのだろうけど。

公開直前まで極秘にされていたストーリーは、意外なほどオーソドックス。というか"Episode IV A New Hope"をなぞったような展開で、サプライズ要素は皆無。リブートの第一作、「入門編」ということなのかもしれないが、ちょっと手抜きのストーリーじゃないかなぁ。相変わらずの銀河を巻き込んだ親子喧嘩、というところも新鮮味が無いし…。次回作で、もっと新しい展開に進むことを期待したい。一応、今回の新三部作で主人公となりそうな、Reyを演じるDaisy Ridleyは、はまり役で楽しみだ。敵役のKylo Renの方は、ちょっと、迫力に欠けるかなぁ。

一方で、同窓会的楽しさは存分に味わえる。Mark HamillとCarrie Fisherが、やや残念な老け方をしているのに対し、カッコ良さを保っているHarrison Fordの存在感が光る。もちろん、老けない外観のChewbaccaも良い味を出している。そして、Millennium Falconが大活躍するところが嬉しい。ただ、TIE FighterやX-Wingが、相変わらず主戦力というのは、この世界では、数十年の時が経っても兵器の進化は無いのだろうか？

SF映画と呼ばれる作品ではあるが、科学考証的な部分のいい加減さは、シリーズの中でも突出しているような気もする。まあ、それも含めてのお祭り映画なのだろう。