IN/OUT (2015.9.27)

キンモクセイ結局、シルバーウィークには、どこにも遠出せず。せっかく、天候にも恵まれたのだけど…
大したイベント無しだと、五連休なんて、あっという間ですな。


in最近のIN

"The Voices"15.9.19

イラン出身の漫画家で、映画監督第一作のアニメ "Persepolis"で名を馳せた、Marjane Satrapiの新作映画を観てきた。今作は、実写。邦題は「ハッピーボイス・キラー」。

Ryan Reynoldsが演じる主人公は、ペットの犬と猫と一緒に暮らし、バスタブ工場で働く地味な若者。精神科医の下に定期的にセラピーの通っているのだが、その理由は映画の冒頭では分からない。職場の女性に恋した彼は、彼女をデートに誘うがすっぽかされ…。まあ、邦題に「キラー」という言葉も入っているし、映画ポスターでも示唆されているからネタバレにならないと思うが、彼は彼女を殺してしまうのだ。

タイトルにもある通り、彼には「声」が聞こえるのだ。そして、彼に語りかけ、殺人をそそのかすのは、ペットの猫。一方、犬の方は、常識的な善を説く。この猫の邪悪さ(というか、殺戮を純粋に楽しむ性質)と、犬の善人ぶりとの対比が、この映画にオフビートな笑いを加えている。

映画の大半は、主人公の一人称的な視点から描かれる。そこでは、彼の一人暮らしの住まいはCMのセットのようにピカピカ。生首だってピカピカ。工場の制服やフォークリフトも派手なピンク。もちろん、犬も猫も鹿も、普通に人間の言葉を喋る。しかし、精神科医に服用を指示されている薬を飲んだ後のシーンや、第三者の視点で描写される画面になると、リアルな猟奇殺人現場が映し出される。この画面の使い分けに監督の卓越した映像センスが凝縮されていると思う。

題材的には変テコな映画だが、出演者は豪華。Ryan Reynolds、Anna Kendrick、Gemma Arterton、皆、ハマり役。特にGemma Artertonの生首演技が楽しい。

映倫区分は「PG12」になっているが、映画の内容は反社会的で、精神的な病歴を持った人に対する不適切な偏見を煽るような危険性も持っていて、「R18+」にしても良いんじゃないかと思えるほどだ。恐らく、観ていて、本当に不快に感じる人もいるだろう。なので、万人には全く勧められない映画だが、シリアル・キラー物に耐性があって、ひねくれた猫好きの人には楽しめる作品だと思う。


"Pixels"15.9.26

Chris Columbus監督の新作を観てきた。

1982年、アーケード・ゲームの全盛期。NASAは、当時のゲーム大会の様子を収めた映像を宇宙に向けて発信。それを、友好のメッセージではなく挑戦状だと勘違いした異星人が、2015年、地球を侵略にやってくる。それも、メッセージにあったゲームキャラの姿で、ゲームのルールそのままに対戦を挑んでくるのだ。迎え撃つは、1982年のゲーム大会で優勝を争うも、今では残念な中年になってしまっているオタク達、というお話。傑作 "Galaxy Quest"に代表されるように、オタクが地球を救うというのは、ハリウッド映画の定番ネタである。

パックマン、ギャラガ、ドンキーコングといった往年の人気ゲームを大スクリーンで実写化という一発ネタの映画かと高をくくっていたが、予想の斜め上を行く怪作だった。とにかく、ストーリーは有って無いようなもの。設定もいい加減で、ご都合主義に目くじらを立てるのも馬鹿馬鹿しいほどだ。

よく考えたら、「アーケード・ゲーム」という言葉自体、今では耳にすることが減っている。パックマンを実際にプレーしたことがある若者も少ないだろう。では、このアホらしい設定の映画は、一体、誰に向けたものなのかと言えば、1982年当時をリアルで知っている人向けなのだ。

そういう人達(もちろん、私もだ)にとっては、繰り出されるネタが一々面白い。登場するゲームはもちろんのこと、異星人が、1980年代のMadonnaやHall & Oatesの映像を通してメッセージを送ってきたり、Max Headroomが登場したり、Queen、Cheap Trick、Spandau Ballet、Loverboy、Tears for Fearsの音楽が使われたりと、若い人達にはピンと来ない(と言うより、意味不明だろう)ネタのオンパレード。

さらに、本人役で登場するSerena WilliamsとMartha Stewartの使い方(二人とも、良く出演をOKしたものだ)、ゲーム大会の司会者がDan Aykroydという所など、ニヤリとさせてくれる配役も楽しい。主役は、日本では人気が出ないが米国では大スターのAdam Sandler。ハマり役だ。

映画としての完成度は、名匠 Chris Columbus監督作品とは思えないほどの低さだと言わざるをえないが、世代が合う人には、お気楽に楽しめる作品だ。



矢野顕子の新作アルバムを聞きながら、PC用の音楽再生ソフトに、新たにFoobar2000を導入したのが、連休中の成果。評判が良いのは知っていたけど、どうも食わず嫌いで今まで触ってなかったのですが、音質や基本的な使い勝手は、さすがに優れていますね。深く使いこなそうとすると、何ともマニアックなソフトですが。