IN/OUT (2014.9.7) |
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一年の2/3が終了。ちょっと、ねじを巻き直さないといけないと思う今日この頃です。 最近のIN"13th TOKYO JAZZ FESTIVAL" (14.9.6-7)今年で第13回となる東京ジャズ。私は、土曜日昼間の"The Jazz Power"と、日曜夜の"Discover"の二本に参戦。会場は、東京国際フォーラム。 まず、土曜の昼間。"The Jazz Power"と銘打たれた公演。出演は三組。 一組目、JAGA JAZZISTは、ノルウェーの9人組。私は初見だったが、トロンボーン、サックス、フルート、チューバなどの管楽器も取り入れながら、ロックやエレクトロの雰囲気も感じさせる音だ。ちょっと、プログレっぽい感じもして、悪くは無いのだが、このようなお上品な大ホールではなく、野外イベントで聴くと、盛り上がりそうな感じだったかな。 二組目が、私のお目当て。Michel Camilo × Hiromi。私が、大好きなジャズ・ピアニストの組み合わせだ。舞台上、向かい合わせに置かれたグランド・ピアノの、向かって左に上原ひろみ。右にMichel Camilo。まずは、お互いに小声で会話をし始めたかのようなピアノの応酬。そこから、どんどん盛り上がっていく演奏。気がつけば、超絶速弾きの二人が、テクニックを出し切るような熱演が繰り広げられている。全力で自分のプレイに集中しているようで、要所要所では、お互い、笑顔でアイコンタクトを交わし、完璧なタイミングで、ここ一番のフレーズを合わせてくる。もう、楽しいったらありゃしない。会場の盛り上がりも最高で、複数のミュージシャンが登場するイベントでは珍しく、アンコールも披露してくれた。それぞれの公演は何度も観ていて、そのたびに、そのテクニックには圧倒されてきたが、その二人が共演してくれるとは。本当に良いものを観ることができた。なお、マイクを持って会場に話しかけたのは、Michel Camiloの方。上原ひろみは、日本語が喋れるけど、口べただからなぁ…。賢明な選択だったか。 三組目は、Randy Brecker、Mike Sternに、小曽根真を加えたバンド。RandyとMikeは、6月にブルーノート東京で観たが、今回のバンドは、ベースとドラムが、あの時ほどのビッグネームでは無くなっていた。もちろん、演奏力は十分に高く、広い会場でトランペットを響かせるRandy Breckerは、とても冴えていたと思う。また、ピアノだけで無くハモンドも弾く小曽根真も、バンドにフィットしていて、好演。ただ、大ホールでの演奏なので、ブルーノートの時のような「遊び」が無かったかな。もちろん、これだけ観れば、非常に満足感を得られた演奏だったと思うのだが、いかんせん、その前の上原ひろみとMichel Camiloの破壊力が凄すぎた。会場の盛り上がりも、ちょっと控えめで、アンコールに突入することは無く、終了。 そして、日曜の夜。"Discover"と銘打たれた公演。こちらも三組。 まずは、アメリカの大ベテラン・ピアニスト、Ahmad Jamal。上原ひろみのデビューアルバムをプロデュースした人でもある。パーカッション、ベース、ドラムスを従えての演奏。ピアノを舞台向かって右に置くことで、ピアノの胴体に邪魔されず、他の演奏者とコンタクトを取りながらのプレイ。御年84歳。余裕たっぷり、貫禄の演奏だ。全体に漂う大人感が、なんともお洒落。終演後の挨拶では、花束を持って上原ひろみが登場。こういうのも、フェスティバルっぽくて楽しい。 続いて、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールに、スペシャルゲスト UAというプロジェクト。ペペ・トルメント・アスカラールは、サックス奏者 菊地成孔が結成しているスモール・オーケストラだ。メンバーは、ピアノ、ハープ、バンドネオン、ベース、パーカッション2名、弦楽四重奏。これに菊地成孔のサックスが絡み、尖ったサウンドをラテンっぽいムードで包んでいるという感じ。中々、面白い音楽だったが、やはり、中盤に登場したUAの存在感が圧巻だった。日本人離れした声量と声質で、このオーケストラのサウンドとの相性ばっちり。この日の、新旧のジャズ・ピアニストの演奏の間に、スパイスを効かせた感じだ。 そして、トリは、Hiromi The Trio Project。二日連続の上原ひろみ。今日は、自らのトリオ・プロジェクトでの演奏。のっけから、期待以上のド迫力。昨日のMichel Camiloとの共演は、一緒にプレイすることを楽しんでいるという感じだったが、今日の相手は、ずっと一緒にやっている Anthony JacksonとSimon Phillips。もう、最初から飛ばす飛ばす。ご本人も、恩師、Ahmad Jamalと同じ舞台に立てたという感慨があったのかもしれない。これまで観たこのトリオの演奏でも、屈指の迫力だったと思う。もちろん、超高速の圧巻のピアノ・プレイを、しっかり受け止めるAnthonyのコントラベース・ギターと、Simonのドラムスの強靱さも凄まじい。会場も、スタンディング・オベーションの大盛り上がりだ。 上原ひろみ目当てで二日間のチケットを取ったのだがが、彼女のパフォーマンスが素晴らしかったのは言うまでも無く、他にも、知らなかったミュージシャンの演奏に触れることが出来、やはり、音楽フェスは楽しいな。 とりあえず、上原ひろみ祭で鋭気を養うことができた週末でした。 |