IN/OUT (2014.6.15)

紫陽花 梅雨入りしました。最近の梅雨は、しっとり雨じゃ無くて、じめじめした暑さと突如襲ってくる豪雨という熱帯パターンが定着したようです。

梅雨の晴れ間はありがたいのですが、紫陽花は雨の中で見た方が綺麗に見えるというのは、先入観が刷り込まれているからなんでしょうかね?


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"Jodorowsky's Dune"14.6.14

Alejandro Jodorowskyと言えば、1970年代、"El topo"と"The Holy Mountain"という二大カルト映画の超絶傑作によって、サブカル系の人達から神格化されていた監督である(リアルタイムからは少し遅れたが、ご多分に漏れず、私もビデオで見て、分かったふりして語ってましたな…)。その彼が、1975年、実現に邁進しながら、結局、資金難などによって頓挫した企画が、Frank HerbertのSF大作「Dune / 砂の惑星」の映画化である。その幻の企画追ったドキュメンタリー映画を観てきた。

"Dune"の企画が頓挫したことは知っていたが、このドキュメンタリーで、Jodorowskyの手による脚本と、フランスの漫画家 Moebiusによる絵コンテが完成し、スタッフやキャストの人選もかなりのところまで進んでいたことを知り、映画が完成しなかったことを、つくづく勿体無いと思う。この映画のために、Jodorowskyが「魂の戦士」と呼んで集めたのが、フランスの漫画家 Moebius、SF画家のChris Foss("後に"Alien"の制作に参加)、特殊効果のためにDan O'Bannon("Alien"の脚本家)、デザイナーにH.R. Giger(彼もまた、後に"Alien"で大ブレーク)、音楽は Pink Floyd。さらにフランスのプログレ・バンド MAGMA、キャストに、Mick Jagger、Orson Welles、Salvador Dalíなどなど。これ、実現していたら、トンデモナイ作品になっていたはずだ(恐らく、商業的には成功しない、カルト大作になっていたとは思うが…)。

"El topo"など出演作のイメージから、もっと小汚い人(失礼)かと思っていた若き日のJodorowskyが、ビシッと決まった良い男だったのにもびっくり。そして、インタビューに応え、いかにして彼ら=魂の戦士達をこの企画に誘ったのかを語る84歳になったJodorowskyが、今も超熱いことに、さらに驚く。この熱気と、時代の雰囲気が、あれだけの人材を惹きつけたのだろう。

映画の終盤では、Moebiusによる絵コンテが、後のSF映画に与えた影響=そっくりの画面が登場する映画をたっぷり紹介したり(個人的には、Duneに登場するサンドワームと、ナウシカに出てくる王蟲との類似性の指摘があっても良かったかと)、Jodorowskyが、David Lynchによる"Dune"の映画作をこき下ろしたり(まあ、あの映画はLynch自身が失敗だったと認めているから…)と、笑えるシーンも多数。ドキュメンタリー映画としては、非常に取っつきやすい作りになっていることにも感心した。

失われた企画の詳細も興味深かったが、それ以上に、現在のJodorowskyのカッコ良さが凄かった。企画の挫折も含め、全てを"YES"と受け入れた上で、本気で世界を変えようとし続ける男。最近では、映画よりもコミックスの原作などの方に力をいれていたようだが、23年ぶりに撮影した新作映画が、まもなく公開。これは、観ねば。



山本現代白金台にあるギャラリー 山本現代で、「ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢」の関連企画、ニコラ・ビュフ「ポーリアの悪夢」を開催中と言うことで、観に行ってきました。こちらは、ポリフィーロではなく、女の子ポーリアの方の視点で描いた作品ということでしたが、ちょっと、展示の規模が小さくて、面白味に欠けたかな。非常に分かりづらい場所にあるギャラリーで、ここに辿り着くまでが小冒険でしたが。