IN/OUT (2014.2.2)

風邪に気をつけねばと先週は言っていたのに、急に、生暖かくなったりして、相変わらずよく分からない気候の今日この頃。早くも、杉花粉が飛び始めましたな。


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"Room 237"14.2.1

私が最も敬愛する映画監督、Stanley Kubrickの超絶傑作ホラー"The Shining"を題材にしたドキュメンタリーを観てきた。

"The Shining"は、 1980年の作品。雪に埋もれる冬の期間、閉鎖されるホテルの管理人として住み込むことになった家族を襲う、ホテルに巣くう「悪意」と、その悪意に取り込まれ破滅していく父親を描くというもので、Jack NicholsonとShelley Duvallの「顔芸」と言っても良いような過剰な演技と、Kubrickらしい完璧な構図の画面が創り出す、凡百のホラー映画とは一線を画する傑作だ。私も大好きな映画である。しかし、原作者のStephen Kingは、この映画の出来に激怒したというのも、伝説化している。確かにKingの原作からは大幅に改変されているのだが、私の場合は、この発言を聞いて、Stephen Kingに見切りを付け、さらにKubrick熱が高まったものだ。

で、このドキュメンタリーは、その"The Shinging"に隠されたKubrickの「意図」を、熱狂的なファンが読み解くというもの。DVDを仔細にコマ送りし、時には逆回転もさせ、微に入り細に入り分析を行ったファン達が断言するのは、Kubrickが巧みに映画の中に隠したメッセージ。曰く、「この映画のテーマは、白人によるアメリカ先住民虐殺の告発だ」、「ナチスによるホロコーストが隠しテーマになっている」、「NASAの依頼で、アポロ11号の月着陸映像を捏造したKubrickの告白だ」などなど、もう、彼らの妄想爆発なのである。

陰謀論に満ちた解釈が多く、と学会の人達のネタになりそうな香ばしいドキュメンタリーではあるが、ファン達の偏愛っぷりは憎めない。むしろ、これだけの深読みをさせるだけの情報量を画面に詰め込んだKubrickの凄さに改めて驚かされる。タイトルの"Room 237"は、劇中で重要な場所となるホテルの部屋番号だが、原作では「217号室」。それを、Kubrickが「237号室」に変えたのだ。その理由も色々と考察されているが、これまた、思わずニヤニヤしてしまう珍説(もちろん、語っている人達は大真面目だが)。Kubrickファンと陰謀論マニアには、堪らないドキュメンタリーである。


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"Attack of the 50ft Cheerleader"14.2.1

「B級映画の帝王」Roger Corman製作のSF(?)コメディ映画を観てきた。

冴えない女子大生が、研究中の新薬を自分に注射し、美貌と素晴らしいボディ、さらに卓越した身体能力を手にし、チアリーダーとして一気に脚光を浴びるが、やがて副作用で体が巨大化。タイトル通り、身長15mに!。一方、彼女に人気をさらわれた先輩チアリーダーも、その薬を手にし、やはり巨大化!!

「巨大女」というのは、ハリウッドのB級映画では伝統ある題材だ。日本でも、ウルトラマンのエピソードの中に「巨大フジ隊員」というのがあった。世界中に、かなりのファンを持つ「巨大女」。私も、ヒューマントラストシネマ渋谷が主催する企画「未体験ゾーンの映画たち 2014」の上映作の中に、このタイトルを見つけ、早速出かけてきた。

ある意味、期待通りの、いかにもRoger Corman印の低予算映画。冒頭の「エー・ティー・ティー! エー・シー・ケー! アタック! アタック!」と、妙に耳に付くチープなテーマ曲から脱力。その後も、とにかく、巨乳のお姉ちゃんを巨大化させて、キャットファイトをさせればOKという、何の捻りも無いシナリオと演出が続く。ちなみに、Corman翁は、過去にも"Attack of the 60 Foot Centerfolds"なる作品を世に送り出しているが、主役がグラビアアイドルか、チアリーダーかというだけで、中身は本作と大して変わらない…。

良いところを見つけるのが難しいほどの駄作なんだけど、たまには、こういうのを観たくなる、ジャンクフードのような映画なのだ。



過去、花粉シーズンに先駆けて、乳酸菌などの体質改善効果のあるサプリメントを試したりしたこともありましたが、結局、効果がよく分からず、今年は自然体で望む所存。飛散量が少ないらしいという情報に期待。