IN/OUT (2012.4.8)

週末に合わせたかのように、桜が満開。爆弾低気圧も、この週末は避けてくれた結果になり、良かった。


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「杉本博司 ハダカから被服へ」〜「はじまりの記憶 杉本博司」12.4.7

原美術館で始まった展覧会、「杉本博司 ハダカから被服へ」を観てきた。展示のほとんどは、モノクロ写真。服をまとう前の原人時代のジオラマから、シャネル、ディオール、ガリアーノ、三宅一生、川久保玲らのファッションを撮影したものなどが並ぶ。どの写真も、緻密な構図と計算され尽くした照明で、服と言うより彫刻を撮影したような印象だ。杉本氏自身が書いたというキャプションも、皮肉が効いていて面白い。

ただ、初めて観る杉本氏の作品がモノクロばかりで地味な印象で、いまいち響いてこない感じがあった。そこで、同じタイミングで公開されている、杉本氏への密着ドキュメンタリー映画「はじまりの記憶 杉本博司」を観に、シアター・イメージフォーラムに出かけてきた。

上映前に、美術史家 山下裕二教授と美術ジャーナリスト 鈴木芳雄氏のトークショーが行われた。杉本氏と親交のある二人による楽屋裏話的なトークで映画への期待が高まる。

そして上映開始。いきなり、下ネタを話しながら作品製作する杉本氏が映し出される。写真に止まらず、文楽や建築など多方面に才能を発揮する姿は、事前のトークショーで言われていた通り、まさに「やりたい放題」。一方で、アートも商品として消費し尽くす現代美術業界をたくましく生き抜くビジネスマン的な姿も見える。

元々がTVドキュメンタリーだった作品を映画化したということで、映画らしさは希薄だと思うが、杉本氏のパワー溢れるスタイルは良く伝わってきた。今回の展覧会の趣旨からは外れる作品群になるが、映画で紹介されていた高圧放電を直接フィルムに焼き付けた作品は、是非、実物を見てみたい。



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"Corman's World: Exploits of a Hollywood Rebel"12.4.7

B級映画の帝王、Roger Cormanに関するドキュメンタリーを観てきた。

Roger Cormanは、1926年生まれの86歳。IMDbに登録されているこれまでのプロデュース作品は401タイトル。監督作品は56タイトル。今も現役で作品を送り出し続けているが、そのほとんどは、低予算のB級映画。米国では、主にドライブイン・シアターで上映されるような作品(日本だと、TV東京の平日の昼間に放映しているようなイメージが…)。たとえば、「恐怖の獣人」、「金星人地球を征服」、「原子怪獣と裸女」などなど。

そんな彼が、作品以上に評価されているのが、若手の映画人を発掘・育成してきた功績だ。このドキュメンタリーでも、彼の門下生達、Robert De Niro、Peter Fonda、Jack Nicholson、Martin Scorseseなどなど錚々たる映画人達がインタビューに答えている。Jack Nicholsonなんか、インタビューの最後の方では、Cormanの素晴らしさを称えているうちに感極まって泣き出すほど。

映画のクライマックスは、2009年、長年の映画界への功績がついに認められ、アカデミー名誉賞を受賞した際の模様。受賞スピーチの "Keep gambling. Keep taking chances."が、カッコ良い。

ただ、このドキュメンタリー自体は、監督のRoger Cormanに向けた愛情が溢れすぎていて、Corman Love! な人以外に、その素晴らしさが伝わりきらない内容になっていると懸念してしまう。まあ、Corman Love!じゃない人が「コーマン帝国」なんて邦題の映画は観に来ないか…



猫 猫 ゆりかもめ 桜とはいえ、スギ花粉と人混みの中、桜名所に花見にでかけるほどの気力はなく。

それでも近所で、写真を撮って良いよ、と出迎えてくれたかのような猫に会ったりして、まあまあの桜日和でした。