Ryan Gosling主演のクライム・サスペンスを観てきた。監督は、デンマーク出身のNicolas Winding Refn。
主人公は、自動車整備工場で働き、合間にスタントマンのバイトをしながら、時に、強盗犯の逃走を請け負うプロ・ドライバーとしての裏の顔も持つ男。無口で、本名も過去も明かされない。そんな彼が、隣に住む女性に好意を抱いたところから、事件に巻き込まれていく。ハードボイルドな雰囲気と、80年代MTVを思わせる音楽と映像。これだけだと、ありふれた犯罪映画になってしまいそうなところだが、中々どうして、捻りの効いた快作だ。
その好例が、冒頭のカーチェイス。いかに警察の追跡を逃れるか、緻密な駆け引きの頭脳戦とも言えるもので、最近流行の、猛スピードでド派手な、だけど実は退屈なカーチェイスとは全く違う。
俳優陣も好演。Ryan Goslingは、普段は控えめな好青年という風情で有りながら、ここぞと言うときには激しい暴力性を爆発させる主人公の二面性を巧みに演じている。また、彼が惹かれる女性にはCarey Mulligan。先々週に観た"Shame"でも存在感を見せていたが、今作でも、役柄に説得力を持たせる演技だと思う。良い女優さんだ。
唯一、万人には勧められないなと思ってしまうのが、暴力描写の過激さ。ほとんど、スプラッター映画のようなシーンもある。この作品の語り口として、必然性のあるシーンではあるが、観る人を選んでしまうかもしれない。これまでも、Nicolas Winding Refn監督は、過激な暴力描写で賛否を呼んできたらしいが、この"Drive"公開を契機に、これまで日本未公開だった旧作の上映も予定されているらしい。スプラッターは苦手だが、独特の映像感覚を持った監督なので興味有るところだ。
因みに、監督自身は運転免許を持っていないらしい…