IN/OUT (2012.3.18) |
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都内の人混み、特に駅の構内で感心するのが、東京の人の人混み馴れです。これだけ沢山の人が狭い空間で、それぞれの目的地に向かって歩いていても、ちゃんと、そこに秩序が存在する。実は凄いことなんじゃないかと思います。 もうすぐ、新人サラリーマンや学生が増えて、この秩序が乱れる季節ですね。 最近のIN"Shame" (12.3.17)イギリスの新鋭、Steve McQueen監督の新作を観てきた。なお、ハリウッドの有名俳優と同姓同名だが、監督は1969年、ロンドン生まれのアフリカ系英国人。元々はアート系の人で、1999年、権威あるターナー賞をビデオ・インスタレーションで獲得。その作品「無表情」は、2008年に森美術館で開催された「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」に出展され、私も観た記憶がある(というか、記憶が甦ってきた)。今作は、長編映画二作目である。 ニューヨークの高層マンションに暮らす主人公は、成功したビジネスマンではあるが、その裏では、セックス依存症で、他人との真のコミュニケーションに問題を抱える男。一人暮らしの彼の元に妹が転がり込んでくるところから、物語は動き出す。しかし、語り口はあくまでも淡々としたもので、主人公を巡る具体的な背景などが明示されることは無い。観客は、徹底した傍観者として主人公の行動を眺めるだけだが、そのうち、彼の異常性を嫌悪するよりも、共感を覚えてしまう(もちろん最後まで受け付けない人も多いとは思うが…)。 アート寄りの映画で、退屈と紙一重のところにありそうだが、不思議なほど、鑑賞中睡魔に襲われることは無かった。場面毎に、色彩設計が徹底した絵作りがなされているところが、さすが、現代美術畑出身者だと思わせる。薦めるには、人を選びそうだが、深層心理に長く残りそうな作品だ。 最近のOUT"The People vs. George Lucas" (12.3.17)George Lucasを巡るドキュメンタリーを観てきた。 言ってしまえば、Star Warsの熱心なファンが、George Lucasへの愛憎を吐露するだけの映画だが、予告編の出来が良く、何か新しい発見があるかも?と、ちょっとは期待していた。しかし、全て予想の範囲内で、がっかり。 新しい技術を用いて、過去の作品を再編集。それも、単にCGの出来を良くする程度では無く、キャラクターの設定にまで影響する改変がなされ、激怒するファン。商業主義に走り、かつては権威への反抗者だったのが、いつのまにか権威側に回ってしまったLucasへの失望を露わにするファン。言っていることは、一々、ごもっともだが、今更、"The Phantom Menace"が駄作だったとか、Jar Jar Binksには我慢がならないと声高に叫ぶ方が、大人げないような… この程度の、Lucasの商業主義への批判と、それでも彼の作品世界を愛してしまう屈折した感情だったら、既に1987年、Mel Brooksが、"Spaceballs"で見事に映像化しているではないか。と、失望が大きかったのだが、前の"Shame"と続けて同じ映画館で観たので(シネ・クイント。"Shame"が通常興業で"Lucas"の方がレイトショー)、半券割引を利用し、この映画は1,000円で鑑賞。まあ、この金額なら許そうか。 これだけ、人混みの中でも秩序を持って歩く人が多いのに、不思議に思い、かつ、腹が立つのが、長い傘を持った手を大きく振りながら=傘を斜め後方に突き出しながら歩く人が結構いること。あれって、迷惑だし、先端恐怖症気味の人には、恐ろしい行為だと思うのですが、やってる本人は気づかないのかしらん? |