IN/OUT (2008.6.15) |
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iPhone(公式の日本語表記は、商標の関係で「アイフォン」でも「アイホン」でもなく、「アイフォーン」なんですね)の日本発売が決まりました。今、愛用している音楽用のiPodと、NOKIAの携帯電話、さらにiPAQの機能の大半を一台で済ませられるという実用面のメリットには、実のところそれほど惹かれないので、予約は考えていません。が、事前に有力視されていたNTTドコモじゃなくて、自分が使っているソフトバンクモバイルから発売、というところで心が動きかけたりもする今日この頃です。 最近のIN"Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull" (08.6.14)インディ・ジョーンズ・シリーズの19年ぶりの新作を観てきた。邦題は「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」(カタカナでほんの二文字なのに、なんで、「インディアナ」にしなかったのだろう?) インディ・ジョーンズの第一作 "Raiders of the Lost Ark"は、娯楽映画の原点に回帰したような徹底した痛快冒険活劇で、その痛快ぶりがむしろ新鮮だった。二作目 "Indiana Jones and the Temple of Doom"は、その路線が頂点を極めたような勢いがあり、まるでスリル満点のジェット・コースターに乗ったような疲労感すら覚える映画だった。しかし、月日は流れ、より大がかりな特撮を駆使した娯楽映画が次々と作られ、Harrison Fordは歳を取った。果たして、この新作がどうなっているのか、不安と興味半々で、先行上映に臨んだ。 が、最近のハリウッドでは、"Die Hard"や"Rocky"など、過去のシリーズを蘇らせるノウハウがすっかり出来上がっているようだ。物語の背景説明を主人公のセリフに頼りすぎるのはテンポを削ぐ大きな欠点だと思うし、先週、と学会のイベントを見てきたばかりだったので、あのロズウェル事件が出てきたのには苦笑したが、シリーズのお約束と主人公の年齢をうまくバランスさせた冒険活劇に仕上がっていた。 何よりも、登場人物が魅力的だ。Harrison Fordは、相変わらずのワン・パターンの表情で、演技が旨いんだか下手なんだかよく分からないが、本当にはまり役だと思う。第一作のヒロインから返り咲いたKaren Allenとの掛け合いも楽しい。悪役のCate Blanchettの演技力は、いつもながら見事。さらに、若手、Shia LaBeoufには今後のシリーズ若返りが託されそうな雰囲気を感じた。かなりの確率で、彼がより前面に出た続編が作られるのではないだろうか? 製作陣も、このプロジェクトを楽しんでいるようだ。冒頭は、George Lucasの"American Graffiti"だし、クライマックスで蘇った「あれ」は、Steven Spielbergのあの作品で人類が遭遇する「あれ」とそっくりだ。そういう遊び心もまた、このシリーズの魅力だったなと、再認識。 「英国美術の現在史:ターナー賞の歩み展」 (08.6.14)映画上映時刻まで間があったので、近くの森美術館で開催中の展覧会を覗いてきた。 1984年から、英国の美術館、Tateが主催する、英国在住の現代美術作家に対する賞が「ターナー賞」。著名人がプレゼンターを務める授賞式が毎年TV中継され、英国では国民的行事とまで言われているそうだ。その受賞作を集め、英国現代美術のこの20年の変遷を俯瞰するというのが、この展覧会だ。 展示されている作品は、絵画、写真、彫刻、ビデオと多岐に渡る。受賞時に世界中で賛否両論、激しい論争を呼んだDamien Hirstの"Mother and Child Divided"(母子の牛が、縦に分断され、それぞれ四つの水槽にホルマリン漬けされている)のような、私でも知っている作品もある。幅広い現代美術の中には、私には退屈な物もあったが、興味深い物も多く、さすがに"Mother and Child Divided"が展示されている空間には独特の迫力があった。また、Martin Creedの"The light going on and off"は、何もない部屋で5秒おきに照明が明滅するだけというインスタレーションで、門外漢から言わせてもらうなら、単なる一発ネタのような気もする。それなのに、その部屋の中に身を置いていると、何となくアートな気分に浸れるのは、そのコンセプトに力があるのか、単なるプラシーボ効果か? 入り口で、オーディオ・ツアー用機材を無料で借りられ、展示品に付けられている番号を押せば、その解説を聞くことができる。一見しただけでは意味が分からない物も多い現代美術の展覧会では、とてもありがたかったのだが、肝心の解説が、いまいち中途半端だったのが残念。あるいは、知識として仕入れるのは最低限に止め、あとは自分の感性で作品と対峙せよ、ということだったのもしれないが… iPhoneって、結局は実用面じゃなく、所有すること自体が所有する目的、という魅力を放っているところが、散在を思いとどまる上では大きな障害に… |