IN/OUT (2012.1.29)

冬ってこんなに寒かったっけ?と思うような日々が続いています(北国の人には笑われそうですが)。空気が乾燥している分、空の青さが際立っているのは気持ち良いのですが。


in最近のIN

"J. Edgar"12.1.28

Clint Eastwood監督の新作を観てきた。

FBI初代長官、John Edgar Hooverの生涯を描いた作品。彼は、FBIを自らの手で築き上げた功績の一方で、有力者のプライバシーを独自に調査(盗聴などの手段も含む)・ファイリングし、それを交渉(脅し)のために用いたことで非難もされた人物だ。賭博好きで人種差別主義者で同性愛者であり服装倒錯者だったと言われる複雑な人間像が、時間軸を何度も往復する手法で描かれていく。

アメリカでは、非常に有名な人物のようだが、Gメンと言えば、FBI捜査官ではなく丹波哲郎のことを思い出す私には、あまり馴染み深い人物とは言えない。劇中で重要な部分を占めるリンドバーグ誘拐事件も、米国では世紀の大事件ということらしいが、私は、クリスティの「オリエント急行の殺人」の背景に使われたことで知っていた程度。伝記映画の題材として、興味を惹く人物では無かった。が、Edgarに扮したLeonardo DiCaprioが、特殊メイクの力も借りて、正義感に突き動かされているような若者時代から、大統領ですら恐れる権力を手にした老年期までを熱演。これで、ぐいぐい引き込まれる映画になった。共演のNaomi Wattsも、見事に老けていく演技を見せてくれる。それにしても、彼女が扮したHelen Gandy(Edgarの秘書)。どのような私生活を送っていた人なのか、とても気になる…。

やや掘り下げ方が足りないかと感じるところもあるが、ラスト近く、まさか、おじいちゃん同士のあんなシーンで感動させられるとは。まあ、私としては、題材がなんであろうが、あの画面の色調、自ら手がける音楽、外連味の無い演出。Eastwoodらしさの詰まった新作を、毎年観ることができるだけで、とても嬉しい。今年で82歳になるEastwoodだが、来年には、久々に役者として出演する新作が公開されるらしい。このまま、あと20年でも30年でも現役映画人を続けてもらいたいと思う。



原美術館原美術館で開催中の「My Way」展。写真撮影可、ということもあってか、相変わらずの盛況ぶりです。ここのカフェで昼食&読書でもと目論むも、行列を前にして撤退。

のんびりしたければ、もう少し早起きして、早めの昼食ぐらいの時間帯に来なけりゃ駄目みたいです。