IN/OUT (2012.1.22)

レイトショーの映画館に向かうエレベーター。乗っているのは私一人。ボタンを押してドアが閉まろうとしたところで女性が駆け込んできて、私が押した一つ下のボタンを押し、エレベーターが上昇開始。

ここで、気がつきました。彼女が押したのが映画館のあるフロア。私が押していたのは、一つ上のフィットネスクラブがある階。これは格好悪い。しかし、映画館のフロアで、その女性と一緒に降りてしまうと不審者と思われそうで、それも困る。大いに焦った今日この頃です。


in最近のIN

"Rubber"12.1.14

突然、命が宿り、超能力で殺人を繰り返す「タイヤ」を描いた映画を観てきた。監督・脚本・音楽・編集・撮影を手がけたQuentin Dupieuxは、「Mr. Oizo」名義で活躍するフランスのエレクトロ・ミュージシャン。

「殺人タイヤ」の映画と聞いて、「Attack of the Killer Tomatoes!」のようなベタなB級映画と思いきや、中々どうして、奇妙に捻くれた、むしろアートっぽい作品だった。砂漠にうち捨てられたタイヤに命が宿った理由は不明。タイヤが人を殺すと言っても、轢き殺すのではなく超能力を使う、その理由も不明。この映画は"No Reason"へのオマージュなのだ。CGでは無くラジコンで動かしていたというタイヤ(Robertという名前も付いている)のとぼけた動きと、その超能力によるバイオレンスぶりのギャップは、ホラーというよりコメディだ。

さらに捻くれたことに、映画の構成自体がメタ・フィクション的なものになっている。映画の中に、「殺人タイヤ」の映画撮影を見守る人達が登場する。しかし、その「観客」もリアルな存在では無い。映画が描く物語なんて"No Reason"。ただ「観客」の存在だけが、それを正当化する。ということを言いたいのかと思いきや、ラストでその枠すら破壊される。

良く言えば作家性の強い、悪く言えば低予算で独り善がりの映画という感じだが、センスの良い映像と音楽で、妙に印象に残ってしまう作品だった。



ヒューマントラストシネマ渋谷で開催中の「未体験ゾーンの映画たち 2012」。今後も面白そうなラインナップです。