IN/OUT (2011.11.6) |
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今年も、解体したてのマグロで作る漬け丼を目当てに、東京海洋大学品川キャンパスの大学祭=海鷹祭に行ってきました。 最近のIN"Source Code" (11.11.3)Duncan Jones監督の新作を観てきた。邦題は「ミッション:8ミニッツ」。某スパイ映画シリーズのような邦題は、ちょっと違うと思うが、原題も、言葉の使い方が本来の意味からずれているようだ。独特の世界観の映画なので、適切なタイトルを付けるのは難しそうだが、とても良い映画だった。 死亡した人にも、最期の数分間の意識が残っている。それを利用して、その場を体験することが出来るプログラムが開発されたという設定。主人公は、列車爆破事故で亡くなった人の最期の8分間の意識にシンクロし、その事故を追体験することで犯人を捜し、次に起こるテロを未然に防ぐミッションを与えられている。死んだ人に残された意識から作られた仮想現実に送り込まれる訳だが、何度も最期の8分間を繰り返し体験する中で、あったかもしれない別の現実が次々と提示されていく構成が、とても面白い。一方で、何故、主人公がこのようなミッションを与えられているのかという「現実世界」での物語も展開し、ちょっと村上春樹の「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を思い出させる部分もある。 過去の事件の現場に繰り返し送り込まれるところから、一見、タイムトラベル物のようだが、そうじゃない。本当の過去ではなく、可能性としての過去を繰り返す。複雑になりそうなアイディアを、すんなり理解させる演出が見事だ。泣かせるポイントも押さえてあるし、ラストの余韻も良い感じ。このプログラムが量子力学に基づいているという設定が、ラストを解釈する上でのミソになるのだと思うが、別に論理付けなくても、観る人が色々な捉え方をして良い終わり方だと思う。 Duncan Jones監督は、これが長編二作目。一作目の"Moon"が渋いSF映画で、大いに気に入った作品だったが、この作品も大当たり。今後、監督の名前だけで無条件に新作を観に行かねば、というお気に入りの一人になった。クオリティが高いが故に、超メジャー1歩手前の通好みの作品になってしまうというのは、父君のDavid Bowie譲りなのかもしれない。 この春、大学祭実行委員会のメンバーが、飲酒が原因の死亡事故を起こしたため、開催が危ぶまれていた海鷹祭ですが、「活動発表および模擬店は飲酒・酒類の持ち込みおよび販売禁止。実習製造品等の即売会も規模縮小。さかなクンのトークショーおよびステージは無し」という制約付きですが、無事、実施されました。 おいしい海産物屋台と即売会目当てに地元住民が集まり、「大学祭」というより、「商店街」という雰囲気になる海鷹祭(もちろん、真面目な研究発表を行っている学生さんもいるのですが…)。お酒無しは寂しいかなと思っていましたが、これはこれで健全な雰囲気で良かったです。 |