IN/OUT (2011.5.15)

じわじわと気温が上がりだし、果たして夏の冷房事情がどうなるのかが真剣味を帯びてきた今日この頃です。


in最近のIN

"Black Swan"11.5.14

男泣き映画の最高傑作"The Wrestler"のDarren Aronofsky監督の新作を観てきた。

映画は、Natalie Portman演ずるバレエ−ダンサーが「白鳥の湖」のプリマに抜擢されるが、その重圧から狂気に冒されていく姿を描く。

冒頭の、極端なクローズアップ映像から、カメラ=この映画の視点が客観的な三人称ではなく、一人称であるという印象が伝わるが、ストーリーが進むにつれ、事実なのか主人公の妄想なのか、画面は加速度的に混沌としてくる。

完璧主義者だが精神的な脆さを持ち、自傷癖のある主人公が、プリマへの重圧に加え、過保護な母や、妬みの渦巻くバレエ団の同僚達との関係から、精神的に追い詰められていく姿が、壮絶。Natalie Portmanの演技は、陳腐な表現だが「鬼気迫る」という言葉がぴったりくる。その演技と、悪夢的な映像が合わさり、観ている側の神経もキリキリと締め付けられる。その緊張が高まりきった所で演じられる黒鳥の踊りのシーンは圧巻。終演後は、「大変なものを観てしまった」という疲労感すら覚える、凄まじい映像体験だった。

優等生タイプで完璧主義者の主人公は、どこかNatalie Portmanのパブリック・イメージと重なる。ちょうど、"The Wrestler"の主人公がMickey Rourkeその人と重なるように。主人公が、自分自身が抱える性(さが)のために破滅に向かうという構図も似ている。とても、Aronofsky監督らしい作品と言えるだろう。

果たして、ここで描かれている世界が本物のバレリーナの方々から見て、どの程度リアリティが有るのか分からないが、製作陣が目指したのは「リアルさ」ではなく、「ハリウッド・メジャー作品における狂気の演出の極北」だと感じた。そして、その目論見は、Natalie Portmanという希有な女優を得て、大成功しているようだ。



職場の居室は、組織変更やら人の異動やらで若干人口密度が低くなり、他のフロアに比べると涼し目という感じもありますが、真夏になったら、そんなことも関係なくなるでしょう。PCの使用を止めて、紙・電卓・電話で仕事を回すようにしたら、結構、居室内の温度が下がりそうだし、節電効果もありそうですが、さすがに無理だよなぁ。