IN/OUT (2010.10.3)

駅前に建築中だったオフィスビルがほぼ完成。建て替え前のビルが、老朽化してボロボロだった分、立派な外観は予想以上。現在、内装工事中らしく、明かりの点いたフロアを見て、あそこがカフェテリアで、あの辺の居室だと眺めも良いだろな、などと、自分が勤務する訳でもないのに妄想中。


in最近のIN

"BENDA BILILI!"10.10.2

アフリカはコンゴ。キンシャサのストリート・バンドを描いたドキュメンタリー映画を観てきた。邦題は「ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡」。1974年にモハメド・アリがジョージ・フォアマンを破ったボクシングの試合が「キンシャサの奇跡」だが、今時、そんなことを覚えている人も少ないだろうから、「もう一つの」と言っても通用しないのではないかと思うのだが…

"STAFF BENDA BILILI"がバンドの正式名称。"BENDA BILILI"は、「外側を剥ぎ取れ = 内面を見よ!」という意味だそうだ。8人のメンバー中、5人はポリオのため足が不自由で、4人が車椅子(それも、廃物利用で作ったような異形の!)、症状が軽くて済んだ1人が松葉杖を使っている。障害と貧困の中、キンシャサの路上や動物園(その荒れ果てた感じが凄い「動物園」なのだが)で寝起きしながら道ばたで演奏する彼らを、コンゴ取材に訪れていたフランス人ジャーナリストが「発見」し、映像に収めはじめる。そして、その映像を見たベルギーのレコード会社がアルバムを製作。ついにはヨーロッパツアーを成功させる。その奇跡のような過程が映し出されている。

長く続く内戦と、それによって壊滅状態となった経済活動。世界最貧国の一つに数えられるコンゴの荒んだ路上での生活は苛酷を極める。そこで音楽活動を続ける彼らのパワフルさが、半端じゃない。音楽以外でも、足の不自由な人達が集まってサッカーをするシーンがあるのだが、両腕をつかって地面を這いずり回りながらボールを追う姿は壮絶。「障害者だから」という言葉を寄せ付けない強靱さがそこにはある。結果、彼らはストリート・チルドレンからも慕われ、才能を見込まれメンバー入りする少年も出てくる。中でも、ロジェという少年が使う、自作の一弦ギター(ブリキ缶に木の棒を付けて弦を張っただけ)の音色が素晴らしく、彼の存在でこのバンドの音楽性は一気に高まっているようだ。

彼らが最初にフランスの音楽祭で演奏する場面が、一つのクライマックスだろう。演奏前、ステージ近くにはそれほど多くの人は集まっていなかったのに、演奏が始まるや、どんどん盛り上がっていく観客。コンゴ魂をヨーロッパ人に見せつけ圧倒する姿が痛快だ。ただ、映画としては、演奏シーンの演出があっさり目なのが、個人的にはちょっと残念だ。

まもなく東京でも来日公演がある。世界的に有名になってもなお、その心意気は道ばたで演奏しているときと変わらないような彼らの勇姿を、生で見られるのが楽しみである。



ここに住み始めて5年ちょっと経ちましたが、気がつけばかなりの数のビルが新築されており、歩道から見える空がすっかり小さくなったなと思う、今日のこの頃です。