IN/OUT (2010.5.2) |
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ゴールデンウィークは、久しぶりにまとまった国内旅行。矢野顕子のツアー鑑賞がメインなので、あまり余裕のあるスケジュールとは行きませんが。 最近のIN新屋島水族館 (10.4.30)香川県を訪れるのは久しぶりというか、以前来たのは子供の頃でほとんど記憶に無い。とはいえ、観光に充てる時間は短い。コンサートまでの空き時間に行くところとして、栗林公園や金刀比羅宮ではなく、屋島を選択した。 目当ては、新屋島水族館。海沿いにある高松市なのに、なぜか標高290mほどの屋島の頂上に建てられた水族館だ。電車で琴電屋島まで行き、そこからシャトルバスで10分。完璧に時刻を調べて行ったつもりが、バスが来ない。と、GW中とはいえ平日の今日、このシャトルバスは平日ダイヤで運行していることが判明。40分近い待ち時間ができてしまった。バス停の近くには、お遍路さん相手に営業をしているらしい小さな旅館兼食堂しかない。食堂内は、近所のおじさん二人がビールを飲みながら将棋を指している、「観光」からも「グルメ」からも、何光年も離れたような雰囲気だ。やむなく、そこでうどんを食べて時間を潰したが、讃岐うどんに対する既成概念を打ち砕くような、柔らか〜い、全く腰の無いうどんに脱力。 ということで到着した水族館。思ったよりも小規模な外観である。ゲートをくぐってすぐの屋外に、プールがいくつかあり、それぞれ、ウミガメ、銭形アザラシ、バンドウイルカ、カマイルカが飼育されている。これが、側面が透明アクリルなのを除けば、まさに、シーズンオフの学校プールのような雰囲気なのだ。緑色に濁った水の中、ぼんやりと見えるイルカやアシカが、良く言えば、「動物が飼育されている感」をリアルに覚えさせる。 館内の目玉は二頭のマナティ。とても貴重なものだと思うのだが、こちらも見せ方に工夫は無い。想像以上の巨体がゆっくり動く様は壮観なのだが、水は微妙に濁り、照明も暗い。マナティにとって快適な環境を作ってあげているにしても、なんだかもったいない見せ方だ。 他の水槽も、今時の水族館にしては小さく、展示されている魚もぱっとしない。瀬戸内の魚類のコーナーなど、気の利いた飲食店の生け簀の方が立派なような気がする。そんな中、クラゲを幻想的に展示するという流行に乗っかった展示もあったが、BGMに「戦メリ」のオルゴールアレンジが延々と流れているところが、微妙感を醸し出している… アシカショーも見学したが、小規模な水族館だけに、ステージもびっくりするほど小さく、アシカ&トレーナーと観客の距離が非常に近い。アットホーム感漂うショーである。アットホーム感と言えば、スタッフが気さくに観客に声をかけてくれるのも印象的だ。ということで、1200円の入場料の価値があるかと言うと、微妙な感じもあったが、マナティの、あのたっぷりとした肉感は、一見の価値がある。ここは、このまま派手な改装など考えず、今のレトロ感と手作り感、そして、スタッフのホスピタリティを大切にし続けてもらいたいと思わせる水族館だった。 広島市現代美術館 (10.5.1)絶好の行楽日和に恵まれ、高松から岡山経由で広島へ。高松駅で、ちゃんと腰のあるうどんを食べ、マリンライナーに乗車。車窓から見える四国の山々は、それぞれが独立した円錐形のような形状で、本州の連なった山とは趣が違う。そして、初めて渡る晴天の瀬戸大橋が気持ちよい(私が前に四国を訪れた時は、まだ宇高連絡船だった)。窓の真下に海が見えるのも、電車ならではの魅力だろう。 新幹線に乗り継ぎ到着した広島駅前は、デイゲーム開催の野球場に向かう人と、市内観光に向かおうとする観光客でごった返している。有名観光地に行くのは大変そうだが、一方、宮島水族館はリニューアルのため休館中。ということで、Hiroshima MOCAへ行くことにした。路面電車の駅から、比治山(山といっても、70mほどの小高い丘)を登ったところにある美術館。建物は黒川紀章の設計。開催中の特別展は「ウィリアム・ケントリッジ―歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……」。予備知識無しの飛び込みで訪れた展覧会だったが、南アフリカの現代美術家William Kentridgeの作品展で、今年の1月から東京国立近代美術館で行われていたものが、場所を移して開催ということらしい。 タイトル通り、ドローイング有り、音楽と組み合わされたアニメーション有り、インスタレーション有りの大規模な展示だ。南アフリカらしさを感じさせる作品もあり、その力強さは印象的だが、私の好みからは少し外れている感じではある。 特別展の隣で開催中の「収蔵庫開帳!広島ゆかりの作家たち 選・都築響一」も鑑賞。たべけんぞうの、「REBIRTH FIELD 96 E-1」の、廃墟からの再生を思わせる造形が印象深い。 屋外にも多くの彫刻が展示されているが、気持ちよい晴天のため、好感度大幅アップという感じ。ただ、エントランスに飾られている「おもしろその年まんが大賞入賞作品展 〜まんがで世相をふり返る〜」は、大減点。私は、この手の、素人が訳知り顔で世相を風刺した作品という奴が(漫画であれ、川柳であれ)大嫌いなのである。まぁ、こういった市民感覚もまた、地方の美術館の持ち味か。 ここでも、館員のホスピタリティがよい案配で、良い気分の中四国地方訪問である。街の喧騒から離れ、のんびり過ごすことができた。 マリンワールド海の中道「夜の水族館 '10」 (10.5.2)広島から新幹線で博多に移動。とりあえず、翌日のライヴ会場の場所を確認しに行く。近くが西鉄の駅だったので、そのまま太宰府天満宮まで足を伸ばしてみたが、もの凄い人出で、参道を往復しただけで撤退。大昔、修学旅行で訪れているはずなのだが、ほとんど記憶にない。静かな時にゆっくり見たら良さそうなところなのだが。 夕方から、福岡で楽しみにしていた水族館、マリンワールド海の中道へ。以前にも訪れたことがあるが、ゴールデンウィーク中、通常17時30分までの営業時間を、21時30分まで延長しているということで興味津々なのである。、 17時過ぎに水族館に到着。屋島の水族館に比べると、圧倒的に巨大だ。見せ方も洗練されている。何よりも、水が緑に濁っておらず、アクリル水槽の透明度が非常に高いところが、実に見やすい。まぁ、今時の水族館としたら、これが当たり前なのだが…。とにかく、屋島とは、対極にある水族館という感じ。 18時頃、館内の照明が弱められ、水槽内の明かりも、ぐっと暗くなる。「夜の水族館」の始まりだ。単に、照明を暗くするだけでなく、暗い大水槽にダイバーが照明と水中カメラを持って潜り、その様子を大スクリーンに映す「夜のアクアライブショー」、「ウミホタルの発光実験」、「夜のアシカショー」、「夜のイルカショー」、「ラッコのパフォーマンス」と、特別イベントが沢山用意されている。なお、「夜のイルカショー」と言っても、決してアダルト向けの内容では無い。単に「夜間」に行うイルカの曲芸ということだが、舞台の後ろが、博多湾。その向こうに福岡の夜景が広がるという素敵な雰囲気の中、イルカが宙を舞うというのがミソなのである。 あまり芸をさせることがないラッコにもパフォーマンスをさせる(トレーナー自身が、「内容じゃなく、可愛さだけで勝負」と言っていた程度の「芸」だが)など、ややエンターテインメント寄りに力を入れ過ぎているような印象もあるが、展示品種も、見せ方のアイディアも豊富で、良くできた水族館だと思う。 ただ、晴天に恵まれたGW。すごい人出で、イベント会場は超満員。当たり前だとは思うが、お子様も多数。いっそのこと、よい子達が参加できないような深夜まで営業してもらいたいような気もしたが、さすがに無理か。 ここまで、京急、ANA、ことでんバス、琴電、JR四国、JR西日本、広電、福岡市地下鉄、西鉄、にしてつバスと、かなりの種類の公共交通機関を利用。これもまた、楽しい。 |