IN/OUT (2009.1.11)

正月休みが終わって、またすぐに成人の日で三連休になるというカレンダーには、例年はどうも否定的なのですが、今年のように、年明け早々大きな仕事の山があると、まあ、ありがたいような気もします。


in最近のIN

"Hellboy II: The Golden Army"09.1.10

Guillermo del Toro監督の新作を観てきた。

最近のコミック原作のハリウッド映画化の鉄則に基づき、この作品でも、ヒーローが単純に敵と戦うだけではなく、自身の存在意義について悩んだりするのだが、あまり奥深い描写ではない。傑作"El Laberinto del fauno(パンズ・ラビリンス)"を監督したGuillermo del Toroなら、その辺を突き詰めることもできたと思うが、この映画では、敢えてエンターテインメント側に重心を振ったように感じる。また、続編ということもあって、登場人物の背景説明も大胆に省略しているようで、結果、スピード感のある娯楽作になっている。

見所は、やはり、ビジュアル面だ。登場するクリーチャーは、いかにもGuillermo del Toroらしい造形のクリーチャーで、彼の異形の物に対する愛が感じられる。そして、機械仕掛けのGolden Armyや、巨大歯車で繰り広げられる最後の戦いは、宮崎アニメの影響下にあるようだ。スタッフの談話では、歯車のシーンについては、チャップリンのモダン・タイムスやジャッキー・チェンの映画の影響を挙げていたが、監督の日本サブ・カルに関するオタクぶりから見て、宮崎駿の「ルパン三世・カリオストロの城」も参考にしていることは、ほぼ間違いないと思う。

Hellboyは、もう一作製作して三部作とする構想になっているようで、より重い題材を扱いそうな三作目への伏線が何カ所か出てきて、これも楽しみであるが、私としては、噂にあがった後、立ち消えになったみたいな、大友克洋の「童夢」の映画化を是非とも実現していただきたいところである。


"Jim Lambie: Unkonwn Pleasures"09.1.11

原美術館で開催中のオプ・アートの展覧会を観てきた。

「オプ・アート(op art)」とは、いわゆる「錯覚」の原理を使って、特殊な視覚効果を与えるよう計算された絵画作品のことらしい。この展覧会で、英国出身の作家、Jim Lambieは、床一面にモノクロのテープを曲線状に敷き詰め、原美術館=築70年の古い邸宅の内部を、異空間に変容させている。

その空間の中に配置された立方体のオブジェ、現実には機能しない扉と、その向こうにも拡がっていることが暗示されている異空間、鏡、花に隠された人物画などが、独特のリズム感を持って迫ってくる。Jim Lambieは、バンド活動やDJとしての活動も行っているそうなので、このリズム感は、まさにミュージシャンならではのものだろう。

美術館自体が小さいので、やや量的には物足りなさを感じるところもあったが、冷たく澄んだ冬の空気が満ちた中庭を眺めながら、カフェで飲むコーヒーも美味しく、やはり良い美術館だと再認識。

なお、毎週日曜日、ブルームバーグL.P.の協賛により、品川駅前から無料のシャトルバス「ブルンバッ!」が運行されている。今のところ、一年間の期間限定らしいが、是非とも継続してもらいたいサービスだ。ただし、バス到着直後、一気に狭い館内に人が増えてしまい、入場窓口に列が出来てしまうのが、難点ではあるが。



定期的に訪れる熱病、通販買いたい病の再発により、清掃関連のものを発注したのは良いとして、果たして、ちゃんと使うのか、自分でも心配な今日この頃です。