IN/OUT (2009.1.18)

現状で何も問題ないと十分認識しているのに、新版が出るとついついアップデートしてしまうATOK。結局、今年も申し込み。これじゃ年会費と変わらないとは思っているのですが…


in最近のIN

「THE SWELL SEASON 来日公演 2009」09.1.14

The Swell Seasonの公演を観に、渋谷のライヴハウス、duo music exchangeに行ってきた。

The Swell Seasonは、アイルランドのバンド、The FramesのGlen Hansard(ギター & ヴォーカル)と、チェコ出身のMarkéta Irglová(ピアノ & ヴォーカル)の二名による男女ユニット。2006年の映画「Once(邦題:ONCE ダブリンの街角で)」で主演を努め、その楽曲が使われたことで注目された。今回は、The Framesのメンバー Joe Doyle(ベース)、Colm Mac Con Iomaire(ヴァイオリン)、Rob Bochnik(ギター)、さらに、The Framesのサポート・ドラマーのGraham Hopkinsを従えての来日である。

duo music exchangeには初めて行ったのだが、客席の真ん中に邪魔な柱が三本もある。客席に柱があるライヴハウスは多いが、ど真ん中に太いのが三本というのは、かなり酷い。到着したときにはすでに空席がほとんどなく、残念ながら、私が座ったのは、ピアノを弾くMarkéta嬢の姿が柱の陰でまったく見えない場所だった。

まずは、Glen Hansardが独りで、PAも通さない生ギターと生声で一曲披露するところから演奏スタート。彼らの音楽は、Glenのギターとヴォーカルを中心にしたアコースティックだが力強いサウンドに、Markéta嬢のピアノとコーラスが寄り添うという感じ。曲によって、私のストライク・ゾーンに入るもの/外れるものが分かれてしまうのと、Markéta嬢の存在感がもう一つ希薄な感じがするのが、少し残念だ(私の位置から姿が見えなかったせいか?)。

しかし、曲を始める前に、一々、朴訥な口調で内容説明をするGlenの佇まいに人柄がにじみ出ていたり、Graham Hopkinsの叩くドラムが、矢野顕子と共演したJay Belleroseを思わせるスタイルだったり、Colm Mac Con Iomaireによるヴァイオリン・ソロが、ループを駆使してその場で一人多重演奏をやってしまうという器用なものだったりと、見所・聴き所も多かった。会場全体がなんとも和やかな雰囲気に包まれていたのは、ミュージシャンだけでなく、客層にも恵まれていたのだろう。2009年一発目のライヴとして、とても楽しめた。


"Quantum of Solace"09.1.17

007シリーズの最新作を観てきた。邦題は「慰めの報酬」。先に苦言を書いてしまうが、この邦題、それなりに内容を考慮した意訳なのだろうが、分かりにくい日本語だと思う。また、劇中の字幕も、いまいち、こなれていないように感じた。

映画自体は、素晴らしい出来だ。106分の上映時間のほとんど全てがアクション・シーンと言ってもよいぐらいアクションに次ぐアクションなのだが、それぞれのシーンに工夫が凝らされていて、飽きることが無い。その演出は、スピード感を重視しすぎという感じもあるが、活劇の連続の中でストーリーを動かし、中だるみを感じさせることも、スピード感を切らせることもなく、最後まで語りきる手腕は、本当に見事だ。

007シリーズに、これで二作続けて主演したDaniel Craigは、冷酷さの陰に人間味を隠した、タフでスパルタンな新しいJames Bond像を確立。原作に出てくる通りのレシピでヴェスパー・マティーニを飲むシーンがあるのは、これこそ原点に立ち戻った007という意気込みか。その分、これまでの007映画に溢れていた荒唐無稽さや笑いの要素が影を潜めてしまったのは残念な気もするが、さすがに両立は難しいだろう。

なお、"Goldfinger"にオマージュを捧げたと思しきシーンで重要な役を演じることになる女性情報部員、Fields嬢。劇中では本名を訊かれても、「ただのFields」と、ラストネームしか名乗っていないのだが、クレジットには"Strawberry Fields"というフルネームが! こういう気の利かせ方も、さすが 007。



先週はもう一本、"Disaster Movie(ディザスター・ムービー! おバカは地球を救う)"という映画も観たのですが、OUTに書く気も起きないほどの超駄作。IMDbで史上最低の映画のトップ争いをしていることも納得の、想像を絶する酷いものでした。映画館内にいた4人だけの客は、見終わった後、なんだかお互いの顔を見るのも気まずいような雰囲気に…。