IN/OUT (2008.9.28)

シンガポール時代の仕事関係の人達と、日比谷のコカレストランで食事をする機会がありました。

この店をチョイスした人曰く、「日本でシンガポール料理屋に行くと、どうしても期待が大きい分、ガッカリすることも多い」ので、タイスキ。

タレが少し上品だったり、すり身団子の鍋投入の仕方が違ったりと、微妙な差はあるものの、ほぼ現地の味に近く、皆、満足。それより驚いたのは、COCAが、必ずしもタイスキ専門店ではなく、鍋を食べていないお客さんも多い、という事でした。


in最近のIN

"A-Mei Special Live in Act Theater"08.9.23

台湾の人気歌手、張惠妹=愛称:A-Mei、のライヴを観に、赤坂ACTシアターに行ってきた。

彼女は、台湾の原住民、卑南族(プユマ族)の出身。1996年のデビュー以来、台湾だけでなく、シンガポールも含む中華圏で絶大な人気を誇るスーパースターだ。私は、2002年、シンガポールで彼女のコンサートを観たが、その歌唱力、パフォーマンス、さらに舞台構成に大いに感銘を受け、初の日本公演が実現したということで、大いに期待してチケットを取ったのである。

そう、中華圏では圧倒的なCD売り上げとコンサートでの観客動員を誇る彼女だが、単独での日本公演はこれが初めて。今年の3月、赤坂ACTシアターの柿落し公演「トゥーランドット(宮本亜門演出)」の主演に抜擢されたのだが、それまで日本での知名度は低く、台湾と中国の政治問題に翻弄された歌手(彼女自身が政治的発言を行ったことは無いはずだが、公式の場で中華民国国家を歌ったため、中華人民共和国での活動を制限されたことがある)として、新聞の社会面を飾ったことが目立ったぐらいだろうか。そのため、昨年から、新アルバム"STAR"に合わせた、"A*mei STAR Tour"を各国で展開中の彼女も、今回の公演はツアーの一環ではなく、あくまでも特別公演扱いなのである。ということで、ワールドツアーではスタジアム級の会場が当然の彼女が、キャパ1,324席という小さな会場で公演するという、ある意味貴重な機会とも言える。

ドラム、ベース、ギター二名、キーボード二名、コーラス二名の8人のバックバンドが先にステージに上がり、いよいよ、A-Mei登場。アップテンポのロック調の曲で会場総立ち。驚いたことに、日本でも、蛍光スティックを持ち込んで振っている観客多数。どうやら、台湾や中国出身の人も多数来場していたようで、A-MeiのマンダリンでのMCに対する反応を見ていると、会場の3割以上の人はマンダリンを理解しているみたいだ。MCの合間合間には片言の日本語を交えるのだが、それが可愛い。

ノリの良いロック有り、いかにも中華歌謡っぽいバラード有り、フォーク調の曲有り、さらに、日本公演を意識して、「ラブ・イズ・オーバー」、「時の流れに身をまかせ」、「愛燦燦」、「グッドバイ・マイ・ラブ」、「島唄」なども披露。耳に馴染んだ日本語の歌を聴くと、改めて彼女の歌唱力の素晴らしさを認識する。それでも私は、彼女のゴリゴリのロック・ナンバーが好きだと思って聴いていたのだが、最後の方で歌った現住民族の歌(終演後、張り出されていたセットリストによれば「原住民歌謡」)では、不覚にも涙が出てしまった。初めて聴くメロディー、理解できない歌詞、そして、きわめてシンプルな伴奏だったにも関わらず、その歌声に込められたパワーに涙腺を開かされた感じ。「楽しさ」だけを期待していたA-Meiのライヴで涙とは自分でも意外だったが、久しぶりに「歌の力」を実感した瞬間だった。「アジア No.1 歌姫」の肩書きは伊達じゃ無いのだ。

本編22曲、アンコール6曲、2時間半超のライヴは、最近観た様々なコンサートの中でも、出色の素晴らしさだった。ステージセットは小規模で、衣装替えがアンコールを含めて三回だけというのは物足りない所だが、片言の日本語で増幅された可愛らしさや、スタジアム公演では体感できないステージと観客席の近さなどは、他のアジア諸国では味わえない、この公演だけのお得なものだった(それでも、観客席から男性一名を選んでステージに上げ、両手を縛り、その前で妖艶に踊るというお約束の演出有り)。次は、あのど派手なスタジアム・ライヴを日本でも観たいと熱望するのである。


「ナマステ・インディア 2008」08.9.27-28

毎年恒例のインド・フェスティバルに行ってきた。ただ、代々木公園の本会場は混雑が激しく、手短に切り上げ、第二会場のタバコと塩の博物館で開かれた講演会を三本、聴いてきた。

まず、インドの旅行会社社長であり、日本でインド料理屋も経営、さらに落語立川流に入門し「立川談デリー」を名乗るインド人、マルカス氏による『私、インド人の眼からみた日本人』。さすが、日本語は流暢で、インド人の輪廻転生に基づく価値観など、なるほどと思わせる内容もあったが、全体的には散漫な印象で、あちこちに挿入される駄洒落の方が印象的だったような。

次に聴いたのは、アジア映画研究者、松岡 環氏による『最近のインド映画事情』。2007年から2008年9月までの、主なヒット作を、ビデオ上映を交えて解説。ヒンディー語映画は、インドにおける富裕層拡大の影響で、歌と踊り以外はすっかり欧米映画に近づいてきているようなのが、やや残念だが、東京国際映画祭で上映予定の「行け行け! インド(Chak De! India)」は、是非とも見たいものだ。また、久しぶりに、"SUPER ☆ STAR" Rajinikanth の新作の一部を観ることができたのも嬉しい。帰り際に、ボリウッド美人女優のポスト・カードをお土産にもらえたのも、とても嬉しい。

最後に、立教大学名誉教授 小西 正捷氏による『インド世界の嗜好品文化』。インドにおける、酒、茶、コーヒー、パーン(ビンロウの種子に、石灰、香辛料などを加え、キンマの葉で包んで噛む。台湾のビンロウなど、アジアの広い地域で嗜好品とされている)、タバコなどの嗜好品の歴史と現状の概説。広く浅く式の講義で、やや物足りない面もあったが、「不潔」と「不浄」の違いなど、なるほどと思わせる箇所も多かった。

会場は80人ほどのキャパで、マルカス氏、小西氏の講演は7割程度の人の入りだったが、松岡氏の時は立ち見の出る盛況ぶり。さすが、インド映画は人気なのである。



まもなく始まる、F1 シンガポール・グランプリのTV放映が楽しみだ。