IN/OUT (2008.3.23)

週末、狛江市に行ってきました。この時期の多摩地区はやばそうだと思っていましたが、駅を降りた途端、その予想は確信に。目も鼻も喉も一気に苦しくなり、この地域に住んでたいら、この時期、人として機能しなくなるなと実感。


IN最近のIN

"TOTO / BOZ SCAGGS JCBホール公演"08.3.20

TOTOとBoz Scaggsのジョイント・コンサートを観に、JCBホールへ行ってきた。最近は集客目当てのカップリング公演が色々と行われているが、Boz Scaggsの1976年のアルバム"Silk Degrees"のレコーディングに集まったメンバーを母体に結成されたのがTOTOの始まりなだけに、これは納得の組み合わせだ。

JCBホールは、この日がこけら落とし。東京ドームシティに新たにできた、キャパ3,000人超のホールだ。開場前には、冷たい雨の中列を作る入場者の前で、東京ドームやJCBの偉いさん達のオープニング・セレモニーが行われていた。

奥行きよりも高さのある客席配置にすることで、大きなキャパにも関わらず、観客とステージの距離が最大で25mというのが特徴になっている。確かに、どの席からもステージが近く感じられそうだ。音響も良いらしいのだが、私の席がPAスピーカーの真ん前だったので、そちらはあまり実感できなかった。いずれにせよ、内側はなかなか素晴らしいのだが、外側に、コンサート用ホールとしてはお粗末な部分が目立つ。まず、手洗いの数が少ない。途中の休憩時間、男子トイレの前にあんなに長い行列ができるホールは少ないだろう。また、飲食物の売店やロビーの設備も貧弱。ホールというより、野球場のようなデザインで、魅力のないこと甚だしい。

肝心のコンサートは、まず、第一部、Boz Scaggsからスタート。1944年生まれだが、ジャケットを粋に着こなし、加湿器装備のマイクで渋く歌う姿は、さすがAORの代表選手。途中から、TOTOのメンバーにして彼の盟友ともいうべき、David Paichがバックバンドに参加。最近は家族の病気を理由にTOTOのツアーにも参加していなかった彼が、今回の(TOTO最後の)ツアーに出演するだけでも大ニュースだったのだが、まさかBozの部にも出演するとは嬉しい驚きだ。アンコールには、Steve Lukatherも登場。Boz Scaggsを熱心に聴いたことはなく、TOTO目当てで見に来たコンサートだったが、それでも第一部だけでお腹いっぱいという感じ。

休憩の間にセットを変え、第二部、TOTOの演奏がスタート。第一部は座ってBozの歌声に浸っていた観客が一斉に立ち上がる。熱すぎるLukatherのパフォーマンスを筆頭に、全員が腕利きミュージシャンの集合体だけに、演奏のクオリティは高いが、唯一、Bobby Kimballのヴォーカルが衰えた感じがする。また、Bozの伊達男っぷりに対して、こちらはメタボ軍団という感じ。かつては、女の子の黄色い声援を受けたこともあるバンドだが、ルックス的には悲惨なことに…

目立つのが、Steve Lukatherの俺様っぷり。これでもかと速弾きを繰り出し、ステージを駆け回り、メンバーに指示を出しまくる。演奏曲も、Lukatherが主導するハードなロック・ナンバーが中心で、初期のフュージョンやプログレ風味を取り込んだサウンドはあまり聴かれなかった。私は、どちらかと言えば、初期のアルバムが好きなのだが。それでも、一枚目のアルバムからも何曲か演ってくれたし、アンコールでは、David Paichが復帰したラインナップでの"Africa"も聴けた。あの辺の曲を、会場一体となって大合唱できるのは、爽快だ。

最後に、Bozとコーラスの女性二人を呼び込み、Beatlesナンバー"With a Little Help from My Friends"(ただし、Beatlesというより、Joe Cockerバージョンという感じ)。ここでも、控えめなBozに対し、Lukatherが仕切りまくる。

個人的には、昔からTOTOに対して抱いている、演奏テクニックも曲作りもレベルが高いのに、何かが足りない感を新たにしたような気もするが、とにかく、中身がたっぷり詰まった3時間半だった。


「"upepo"上映会 & Anyango with Nyatiti Warembo!! ミニライブ」08.3.16

向山恵理子氏とテンパ・テラー氏を取り上げたドキュメンタリー"upepo"の上映と、向山恵理子氏率いるAnyango with Nyatiti Warembo!!のミニライブというイベントに行ってきた。

"upepo"は、「pamoja 地球を球くするつながり」というサークルを主催する飯島俊輔氏が製作した映画で、ケニアのルオー族の村に住み込んで伝統楽器「ニャティティ」の演奏を学び、伝統的に男性にしか許されていなかったニャティティの演奏を初めて許された女性となった向山恵理子氏と、ケニアのスラムで生まれ育ち、犯罪に走る若者の更生活動や子どもたちに教育の機会を与える活動を続けている詩人テンパ・テラー氏の二人を追ったドキュメンタリーだ。

もっとも、監督した飯島氏自身が認めているように、彼は映画製作は素人で、「upepo(スワヒリ語で 風 の意味)」も映画としての評価は厳しい。撮影対象となっている二人自身が輝いているので、何とか作品としてまとまっているが、字幕でメッセージをあからさまに語る所などは、あまりにも素人っぽい。ただ、この辺は、大学生など若者にメッセージを伝えようとする飯島氏が、分かった上で説教くさく作ったということでもあるようだが。

なお、今回の上映会の収益は、飯島氏が支援しているケニアの孤児院とテンパ・テラー氏の活動に充てられる。チャリティの使い道をきちんと伝える誠実さは、とても良いことだ。元々は、色々なところで上映会を開催するつもりだったそうだが、飯島氏が請われてこの4月から小学校の教師になることになってしまい、今後の上映会の開催は難しいらしい(チャリティのお金集めをすることは公務員法により不可能)。

映画の上映の後、Anyango with Nyatiti Warembo!!のミニライブが15分ほど。Anyangoというのは、向山氏がケニアで授けられたニックネーム。彼女がニャティティを演奏し、もう一人がパーカッションとコーラス。後二人が、ダンサーという構成。ニャティティは8本の弦を持つ楽器で、座って演奏する。披露されたルオー族の伝統音楽は、たとえばセネガルなどの、欧米のロックミュージシャンにも影響を与えたような「洗練された」アフリカ音楽ではなく、もっとプリミティブな感じ。無条件に身体が動くタイプの音で、日本人が演奏しているとは思えないノリの良さだ。Anyangoは、ケニアのTV、ラジオ、新聞などで大きく取り上げられ、その実力は折り紙付き。現地では相当な有名人らしい。最後には、舞台に上がって踊り出す観客も多数。どうやら、このイベントには、飯島氏もしくは向山氏と関わりのある人が沢山きていたようで、アフリカン・ダンス教室に行ったことのある人も多かったようだ。

最後に飯島氏と向山氏のトークショー、および観客との質疑応答があって、イベント終了。

ケニア音楽のライヴということだけで興味を持って予備知識なしに出かけたイベントだったが、向山さんの底抜けにポジティブなパワーに、すっかり魅了されてしまった。Anyango with Nyatiti Warembo!!、今後も要チェックである。



今週は他にも矢野顕子の公演にも行きましたが、やはり杉花粉が存在しなかった先週が良かった…