IN/OUT (2007.2.4)

六本木ヒルズにある映画館に初めて行ってみましたが、週末だと、最終上映が0時を過ぎてから。無理にでも気分転換を、という今の時期に、中々良いかも。まぁ、翌日が辛いと言う問題はありますが。


in最近のIN

"Shooting Dogs" (07.2.2)

ルワンダの虐殺を描いた映画を観てきた。
間違いなく、ここ数年で、最も心を揺さぶられた映画だ。見終わってしばらく経ったが、まだ興奮が続いている。

同じ題材を扱った映画に「Hotel Rwanda」がある。これも、真摯に作られた良い作品だったが、ルワンダ人の主人公が(本人は望まなかったにせよ)ヒーロー的な活躍をする。私は、あくまでも第三者の視点で、その物語を観る。それに対し、本作品の主人公は白人青年。理想を持ったボランティアだった彼のナイーヴさが次々と打ち砕かれていく様子と、彼が直面する圧倒的な無力感が、やはり非アフリカ人である私の胸に突き刺さるのだ。

国連軍の駐屯地でもあった公立技術専門学校に、虐殺を逃れたツチ族が避難してくる。周囲をフツ族の暴徒に囲まれている状況なのにもかかわらず、国連軍は退去を決定。見捨てられた避難民2,500人が、国連軍退去から数時間後には、ほとんどが殺されたというストーリーは事実に基づいている。さらに、撮影は実際の現場で行われ、スタッフやエキストラ出演者の多くが、虐殺から生き延びた人達だと言う。画面に溢れるリアルさ、緊迫感は、そこから生じたものだろう。映画は、わずかな救いと深い苦悩に満ちたラストシーンを迎えるが、これが冒頭のシーンと繋がった巧みな演出で、リアルさの追求だけでなく、物語としての完成度も非常に高いと思う。

途中、BBCの女性ジャーナリストが自分の真情を吐露する場面から、私の涙腺決壊。これは、自分自身の偽善性への疑問を背景にした、苦く、辛い涙だ。

唯一、残念なのは「ルワンダの涙」という邦題。「犬を撃つ」というインパクトのある原題は、実は、強烈な皮肉に満ちたものであることが映画を観れば分かる。それなのに、こんなゴミみたいな邦題を付けるとは。配給会社には強く苦言を呈したい。



もう一つ、映画が終わって外に出ると、すっかりアルコールの入った六本木夜遊び派の集団に出くわすというのも、あまり面白くないか…