IN/OUT (2004.10.17) |
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シンガポールの二大マス・メディア、SPHとMedia Corp。元々、新聞がSPH、放送がMedia Corpという棲み分けだったのが、2000年、競争原理導入を謳い、SPHも放送局を設立、Media Corpも新聞発行と、相互乗り入れして今に到った訳です。しかし、この方針に見直しがかけられました。理由は、総人口400万人の小市場を巡る消耗戦に両社とも耐えきれなくなったこと。年内にも、テレビ局は統合され、毎朝、街頭で配られている無料新聞も一紙に統合されるようです。どちらも政府の息がかかった御用メディアなので、受け手側からすれば特に影響は無さそうですが、市場に競争を導入してみたり、引っ込めてみたり、実験感覚でできてしまう小回りの良さは、さすが小国。 国家によるメディア支配とか、色々と根深い問題はありますが、確かに400万人のマーケット相手では、健全な競争を維持するのが難しいのも確かでしょう。 最近のIN「新警察故事」 (04.10.17)成龍=Jackie Chan の新作映画を観てきた。英語タイトルは"New Police Story" 米国に進出し、最近ではハリウッド映画づいているJackieだが、CGまみれのアクション・シーンと、(童顔と訛った英語が災いしているのか)限定された役柄に、いまいち納得のいかない人は多いだろう。本人にも不満が溜まっていたのかもしれない。久しぶりの純香港映画主演、それも自らのプロダクションによるものだけに、ハリウッドでの鬱憤を晴らすかのような勢いのある作品だった。 格闘シーンでのアクションのキレは、全盛期と比べると衰えが目立つが、CGに頼らない生身のスタントへのこだわりが嬉しい。様々な道具のアイディア溢れる使い方も、いつもながら見事だ。相棒役の謝霆鋒=Nicholas Tseが、見せ場をさらわず、Jackieの引き立て役に徹しているのも偉い。あ、TWINSの片割れも出演している。 Jackieの映画にしてはハードなストーリー展開で、笑いの要素は少ない。ただし、物語の整合性よりも、その場の格好良さや盛り上がりを重視する香港映画らしく、ストーリーは穴だらけ。後から考えると、絶対にあり得ない展開=超ご都合主義の連続だ。 しかし、観ている最中にそんなことを考えさせないのがJackieの映画である。ラスト、Jackieのプロポーズ・シーンなど、あまりにも非現実的なシチュエーションだと分かっていても、つい涙腺を刺激されてしまうのは、もはや成龍的世界に引き込まれてしまっているからだ。我ながら、単純だが… ただ。前半の警察官達が虐殺される部分が残酷過ぎたのが残念だ。あれだけやられてしまうと、どんなハッピーエンドを持ってきても、良かったねで終われないように思う。 そのMedia Corpが力を入れる番組が、米国の人気番組をフランチャイズした"Singapore Idol"。日本で言えば、かつての「スター誕生」のような素人オーディション番組を、アメリカン・エンターテインメント的に強力にショーアップさせた番組です。 本家"American Idol"は、米国のみならずシンガポールでも人気番組。一皮むけば素人カラオケ自慢大会と大差ない内容を、ゴージャスに見せてしまう演出と、出演する素人達のエンターテイナーぶりは、良くも悪くも、さすがアメリカという感じです。 その人気に乗じて始まった我らが"Singapore Idle"。本家から正式にノウハウを導入しているだけに、番組のスタイル、演出、Dick Leeら審査員のキャラクターなど、枠組み自体は本家をきちんと踏襲しています。が、肝腎の出場者のレベルが…。これから番組が進むにつれ洗練されてくるのかもしれませんが、人材の層の薄さも、人口400万人国家の大きな弱点のようです。 |