IN/OUT (2003.10.19)

今年のシンガポール日本人社会、最大の話題(?)「NHKのど自慢シンガポール大会」が近づいて来ました。この番組自体は好きじゃないけど、ゲストが藤あや子と氷川きよしと聞けば、行くしかあるまい。予選に参加する知り合いも、現時点で分かっているだけで二名いるし…。と、観覧希望に応募したものの、さすがはビッグ・イベント。抽選は一説では4倍という狭き門となり、あえなく撃沈。残念。


in最近のIN

"Amy Wadge -Live-" (03.10.18)

英国(Wales)出身のシンガーソングライター、Ame Wadgeの公演を観に、Esplanade Recital Studioに行ってきた。

実のところ、彼女について詳しいことは何も知らずに出かけたコンサートだった("Wadge"が、「ウェッジ」ではなく「ウォッジ」に近い発音ということも、この公演中のMCで知ったぐらいだ)。一人だけの、アコースティック・ギターとピアノの弾き語りで、サウンドはフォーク・ロック調。歌唱力、声量、ギターとピアノの腕前、いずれも過不足無しという感じだし、曲のクオリティも高いと思う。もう一つインパクトに欠けるきらいはあるが、予期していた以上に良いパフォーマンスだった。もっとも、この手のミュージシャンに対し、歌詞を完璧には聴き取れてないのに、あれこれ言うのも失礼になりそうだが。

会場は、Esplanade Theatres on the BayにあるRecital Studio。キャパ 220人の、Esplanadeの中では小規模なホールだ。今回、初めて入ったのだが、中央のフロアを、階段状になった客席が半円状にぐるっと取り囲む形式になっている。私が座った最前列は、フロアに椅子が置かれているので、パフォーマーと同じ高さだし、後ろの席は、少し高い位置からフロアを見下ろすことになる。小さな会場だと、一段高いところにステージを設置するより、この形式の方が観客とパフォーマーの親密感が増して、良い感じだと思う。小規模なホールといっても、そこはシンガポールが威信をかけた文化施設、Esplanade。立派な照明装置が設置されているし、音響も非常に良かった。それにしても、こういう小規模な良いホールを見つけると、無理とは分かっていても「出前コンサート」のことを考えてしまうなぁ。


"Kazumasa Oda Asia Tour 2003 『Kira Kira』" (03.10.19)

小田和正のシンガポール公演を観に、Singapore Indoor Stadiumに行ってきた。

会場のキャパは一万人超。シンガポールに在住する日本人は2万数千人。果たして、ちゃんと席が埋まるのか、心配しながら会場に向かったが、アリーナと一階席はほぼ満席、その上が6〜7割の入りというところだろうか。やはり、ほとんどが日本人。これだけ集まると壮観であるが、拍手の音量が小さかったり、アンコールを求める際の騒ぎ方がおとなしいのが、日頃行っているローカル観客中心のコンサートとは、全く雰囲気が異なっていた。

さて、コンサートの中身だが、楽曲云々以前に、PAが酷すぎる。全体に歪んだ、濁った音で、音量は大きいがダイナミック・レンジは狭く、時折、楽器間のバランスが滅茶苦茶になる。これじゃ、コンサート会場の音響と言うよりは、街頭イベントの客寄せ用BGMのPAという感じだ。6名のバックバンドは、それなりの技量を持った人達だと思うのだが、この音では、全く実力も魅力も伝わってこない。

肝心の演奏曲の方も、小田さんの作品で、わたし的なスイート・スポットにヒットするのは、限られた時期のオフコースの曲が中心で、それ以外は、実のところ、あまりぐっと来ない。それよりも、
「たとえ、お客さんの95%が日本人だとしても、今日は英語でMCをやります」
という姿勢が男前だと思った。さらに、前日シンガポールで録画されたビデオが途中に上映されたのだが、その中で、シンガポールの名所として最初に紹介したのが「Duck Tours」。その選択と、きっちり水しぶきを浴びる小田さんに親近感。インド人街では
「さすがインド人が多いです。みんな、ビックリしてますねぇ。」
という、これまた親近感の湧くギャグ…。良い人だ。

中には、日本からやってきた熱心なファンもいたのかもしれない。一部の小田さん熱烈支持派女子の盛り上がりに、ちょっとついて行けない感があったのだが、意表を突くダブル・アンコールで、きっちり盛り上げる手腕は、さすが、第一線で活躍し続ける人気ミュージシャンだ。私も、なんやかんや言っても、「YES-NO」が聴けたので満足である。



80年代初頭、軟弱ニューミュージックの代表として馬鹿にしていたオフコースを見直すきっかけになったのが、矢野さんがコンサートでカバーした「YES-NO」でした。これが今でも忘れられない素晴らしい名唱だったのです。それから改めて聴いてみると、メロディーやアレンジがとても洗練されているし、軟弱と言わる歌詞だって、(全ての曲とは言えないが)こっちが弱まっているときに聞くと、実に染みる言葉で…

今回、公演前に予習がてらオフコースのベスト盤を聴いていて、思わず落涙。ライヴでも「YES-NO」など一部の曲は涙腺を…。弱まってるな、俺。