IN/OUT (2002.6.16)

先週は、友人が遊びに来たのに合わせて休暇を取得。


in最近のIN

シンガポール観光地巡り (02.6.8 - 11)

第一日 / Sentosa → Night Safari (02.6.8)

まずは、有名観光地Sentosaへ。MRTでTiong Bahruまで行き、そこからタクシーでMount Faber。ケーブルカーに乗って、入島。ここは、シンガポール政府が、島を丸ごと観光地として開発した所で、島内に様々なアトラクション施設、ゴルフ場、宿泊施設などが設営されている。

最初に見たのが、Images of Singapore。シンガポールの歴史や各民族の文化を、人形などを使って再現した展示が並ぶ。日本による占領時代の扱いが非常に大きく、少々居心地が悪い。以前、Changi Prison Chapel & Museumで感じたのと同様の感触だ。日本人による蛮行には何も言い返すことはできないし、それをバネに国民の誇りや団結心を刺激するという意図は分からなくもないが、英国に対する無邪気な感謝には首を傾げざるを得ない。

Sijori Resortで昼食後、Merlion Towerへ。高さ37mの巨大マーライオンだ。頭の上と口の中が展望台になっている。登ってしまえば単に「高い所」で、マーライオンである有難味が実感できないのは致し方ないだろう。

Sentosaの施設では、一番人気なのが、水族館、Under Water World。確かに、大きな魚や珍しい魚もいるし、展示方法にも工夫が見られるが、いまいち狭い。あっと言う間に見終わってしまうという感じ。ここから島内を走る無料バスで、Under Water Worldの姉妹施設 Dolphin Lagoonへ。Pink Dolphinのショーが見られるということだが、時間が合わず、到着したのはショー終了の直後。それでも、飼育係から餌をもらうPink Dolphinを見ることはできた。ピンクというよりは、灰色が強い色合いだが、顔つきはなかなか可愛らしい。

最後に、ケーブルカー乗り場の近くにあるButterfly Park & Insect Kingdom Museum。昆虫館だ。全体としては地味目な施設だが、体の左が雄、右が雌になっている蝶の標本や人面カメムシなど、渋い展示も多く、意外に面白い。ただし、人によって、好き嫌いが大きく分かれそうな施設ではある。

Sentosaは、それなりに見るところは多いのだが、どれも「必見!」というほどのインパクトが無く、島内を走る無料バスの本数の少なさや飲食施設の充実度の低さなど、随所にいまいち感が強い。地元小学生の遠足には良いところかも知れないが、海外からの観光客には、あまりお勧めできないというのが正直なところだ。シンガポール政府としては、かなりの投資をしたことと思うが、いっそ、米国のテーマパークを招致した方が良かったのではないだろうか。隣国マレーシアに、噂通りUniversal Studioが建設されたら、いよいよお客さんが来なくなるだろうな。

伊勢丹Scotts内のとん吉で夕食後、Night Safariへ。

夜間だけオープンする動物園。シンガポールの観光地としては、最も有名なところの一つだろう。トラムに乗って園内を一回りし、動物ショーを見て、さらに徒歩で散策、という王道の見学ルートを辿る。大コウモリや、スローロリス、カワウソなど、動き回っているものは面白いし、トラムの間近に寄ってくるマレーバクも嬉しい。観光施設としてのポイントが高いのは事実である。しかし、当たり前だが、暗いので動物が見やすいとは言えない。動物自体を楽しむよりは、夜中に動物を見ながら散策するという行為そのものを楽しむべき所、という印象である。芸の実態が、飼育係に慣れているということだけ、という動物ショーも、そういう意味では、Night Safariらしい見かけ倒し、と言えるかもしれない。

第二日 / Singapore Zoo (02.6.9)

駅前モールにある栄寿司で昼食。シンガポール人には大人気の回転寿司チェーンだが、日本人客は我々以外皆無。回ってくるのが、エビフライ巻きや中華クラゲ稲荷など、日本人的にはキワモノ系ばかりなのだ。これはこれで、話の種、ということで…。

そこから、MRTとバスを乗り継いで、Singapore Zoological Gardensへ。動物自体を見るのなら、やはり昼間オープンしている動物園である。笑っちゃうほど大きいワニ。観客をしっかり意識しているチンパンジー。いくら見ていても見飽きないオランウータン。愛らしいPygmy Hippo(和名はコビトカバ。どちらにしてもPolitically Correctな表記ができない…)の親子。動物の種類も数も展示方法も優れた動物園だと思う。アシカ・ショーも見たが、前日のNight Safariでの動物ショーと同様、飼育係のお姉さんの奮闘ばかりが目立つというのが、ある意味、味わい深い。人間の子供というのは、とりあえず知能が高そうな動物にはことごとく"Hello!"と声をかける習性を持っているというのも面白かった。

タクシーで町中まで戻り、ChijmesにあるGrappa's Ristoranteで夕食。イタリア料理店としては、可もなく不可もなくといった感じ。Chijmesの雰囲気をどう採点するかで、コスト・パフォーマンスの評価が大きく変わるだろう。

食事後、中庭の大スクリーンに映されていたFIFAワールドカップ、日本xロシア戦を観戦。居合わせた人の大半が日本の方を応援してくれていた。勝利の瞬間に立ち会い、帰路へ。

第三日 / Little India → Chinatown (02.6.10)

Bugisの西友地下のフードコートで昼食。ここのたこ焼き屋のレシピは、日によって違うようだ。今日は、はずれの日だったようで、あまり美味しくなく、がっかり。

徒歩でLittle Indiaへ。観光地化しているようでいて、地元インド系住民密着の店も多く、楽しいところではある。本物のインドに行くのはちょっと、という人には(それは私だ)、手頃なインド体験ができる。

タクシーで、Chinatownへ移動。こちらは、都市再開発が進み、昔ながらの佇まいが消える一方で、観光客を意識したショップ・ハウスが建てられていて、ちょっと人工的な臭いが強いように思う。何軒か店を冷やかしたころ、雨が降り始め、天仁茗茶に入る。冷房の利いた店内で、お茶の試飲をしつつ時間を潰そうという目論見である。これが正解で、愛想の良い店員の話を聞きながら、何杯もお茶を啜る。さすがに試飲だけでは申し訳ないので、凍頂烏龍茶を購入。そのうち、茶器セットも揃えたいものである。

ヒンドゥー寺院を少し覗いた後、土砂降りの中、タクシーで、大丸へ。地下のスーパーマーケットで買い物後、紀伊国屋Popular Bookstoreの本屋巡り。

ここまで来て、ようやく、シンガポールのシンボル、オリジナルのMerlionを見るべく、One Fullertonへ。4月に移設されたばかりのMerlionは、まだ檻の中。公園が整備されるのは9月頃らしい。そのまま、Haruで夕食。真っ当な和食屋だと評価していたのだが、久しぶりに来てみると、メニューにSpider Rollなど怪しい物が増えている。こうして、ローカライズが進んでいくのだろうか…

第四日 / Jurong BirdPark (02.6.11)

朝からJurong BirdParkへ。800種以上の鳥が集められているそうだ。猛禽ショーを見学したが、これまた、ワシや鷹は大した芸を持っておらず、もっぱらトレーナーのお兄さんの喋りで盛り上げるというパターンである。しかし、その後に見たAll-Star Bird Showは、オウムなどによるレベルの高い芸が披露されて感心。園内で昼食後、雨の中、Hornbill(犀鳥)とToucan(オオハシ)が異なる種だ、などとお勉強しつつ散策。鳥ばかりの施設だが、あまり大きな期待をせずに行けば、意外に楽しめる所だ。


これで全行程終了。
小さな国とは言え、沢山見るところがあって何日いても飽きないと思うか、いずれも中途半端にしょぼい観光地ばかりで面白味が無いと捉えるか、人によって評価が二分されるだろうな(面白味の無いと捉える人の方が多いかも)と思いつつの案内であった。


Singapore Arts Festival 2002 presetns "THE CHIEFTAINS" (02.6.14)

Singapore Arts Festivalの一環として開催された、アイルランドのトラッド・ミュージック界の重鎮バンド「The Chieftains」の公演を見に、Kallang Theatreに行って来た。矢野さんがゲスト出演したこともあり、彼らの来日公演は何度か見に行っていたが、シンガポールでも、彼らのパフォーマンスを見ることができるのは、望外の喜びである。

会場には、やや年輩気味の白人多し。フィドルとギターのゲスト・プレイヤーを招いての演奏は、例によって文句なしに楽しい。盛り上がる曲では、ダンサーによる踊りが披露されるのも恒例だが、今回は、これまでの公演で見たアイリッシュ・ダンスではなく、男性二人のタップ・ダンスだった。これまた、かなりの超絶技巧で大盛り上がり。

さらに盛り上がったのが、途中、ゲストとして登場した古謝美佐子さんと佐原一哉さん。元ネーネーズである。堂々たる歌いっぷりで披露された沖縄の旋律とアイリッシュ・ミュージックの相性の良さには驚かされた。日本語で歌われたアイルランドの古歌「ポメロイの山」には涙。観客の大拍手に、私も嬉しくなる。

アイリッシュ・ミュージックの伝統を守りつつ、他国の音楽とも軽やかに交流してみせる懐の深さには、つくづく、グローバルな活動をしている人達だ、と感心する。一歩間違えれば、横山ホットブラザーズ並にベタなお約束ギャグを人柄で笑わせてしまうところもご愛敬。「楽しい」ということにかけては、唯一無二のパフォーマンスを見せてくれるバンドである。



シンガポールを訪れる人の多くが誤解していることに、「シンガポール人は非常に清潔好き」というのがあります。ゴミを捨てたり唾を吐くことを厳しく取り締まっているということから、そのようなイメージを持つのでしょうが、逆に言えば、規制をしないとゴミを捨てたり唾を吐く人が多い、ということなのです。欧米からの投資を招くためにクリーンな都市国家を作ろうという政府方針が、やたらとうるさい規制になっている訳です。

ということで、他人が見ていない場所でのゴミのポイ捨てぐらいは、やっちゃう人も多いし、政府の言うことに100%従う人ばっかりじゃ、気味が悪いかもしれない。しかし、タクシー運転手が客を乗せていても平気でげっぷを連発するのは、他国からのゲストの手前、フォローに困る…