IN/OUT (2001.7.1)


Intelの新しいCPUの開発コードネームになっていたせいで、「Tualatin」という単語を目にすることが多くなり、何だか嬉しい今日この頃です。

TualatinはOregon州Portland郊外の町の名前で、しばらく、そこで働いていたのです。Intelの工場がOregonにあるせいか、最近の開発コードネームには、かの地の地名が多く用いられています。それにしても、Tualatin。カタカナ表記が似合わない名前だと思う。


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「エンディミオン」 (01.7.1)

Dan Simmons作、「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」の続編。ハードカヴァー、二段組、594ページの大作SF。

前作「ハイペリオンの没落」から約300年後を舞台にした物語。発表されたのは前作から6年後の1996年。私のように、今頃になって、続けて読む分には問題ないのだが、リアル・タイムで読んでいた人には、この6年はさぞかし長かったことだろう。

「ハイペリオン」「ハイペリオンの没落」が、かなり複雑な構成だったのに比べると、本作は実に分かりやすい。大宇宙を舞台にした壮大な追っかけっこである。味方も敵も、魅力的な登場人物ばかりで、ぐいぐい読ませてしまう。ただし、SFという体裁を取っているものの、ファンタジー的な要素が強いような気もする。その象徴たる「ホーキング絨毯(空飛ぶ絨毯)」、本作でも大活躍だ。



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「エンディミオンの覚醒」 (01.7.1)

ダン・シモンズ作、「ハイペリオン」シリーズの完結編。ハードカヴァー、二段組、808ページの大大作SF。

過去三作で提示されてきた謎が、快刀乱麻を断つように解決されていくのは実に快感である。最初から、全てを計算し尽くしていたのだろうか? この超大河物語を破綻無く終結させた作者の力量は、全く驚くばかりだ。

読後感も決して悪くないし、長く印象に残るに違いない物語である。最後の一ページまで、手に汗しつつ堪能したというのに、OUT に記述するのも申し訳ないが、ここに示された世界観に感情移入できるかと言うと、ちょっと辛いのである。「愛」こそが、この宇宙の根元的な力(観念的なものではなく、引力と同じように実体を持った力)、という結論は、ひねくれ者の自分には、諸手をあげて賛成、と言いかねる。「共感」だとか「三位一体」だとか、そのあたりのキリスト教的概念に慣れ親しんでいる人には得心がいくであろう終盤の展開も、やや、ご都合主義っぽく感じてしまう。SFではなく、ファンタジー小説と割り切れば、文句無しの大傑作と言うべきか。



一方、シンガポールの町は、官民あげてのバーゲン・セール「Great Singapore Sale」の真っ最中です。近隣諸国からの買い物客誘致が最大の目的らしいのだけど、年がら年中、安売りはやっているし、季節の変わり目に商品の入れ替えをする、というバーゲンに対する理由付けも無いので、いまいち、ピンと来ない感じがあります。