IN/OUT (2001.3.18)
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自宅と駅の途中、小学校の前に住み着いている黒猫がいる。

最初に出会った頃はまだ子猫で、ミャアミャア鳴きながら、行き交う人の足にすり寄っては餌をねだっていた。自力で餌を探すよりも、人間に甘えて生きていくことを選んでいるらしい。確かにルックスの良い猫ではある。しかし、子猫の時分からそういう態度で良いのか、と憤りつつも、やはり、自分の足下に寄ってこられると、ポケットに竹輪でも入ってればなぁ、と思ったりしていた。

今では、すっかり大きくなり、誰彼なしに餌をねだる、ということは無くなった。自立の道へ更正したわけではなく、毎朝、餌を運んでくれるおばちゃんが現れたのだ。朝の通勤時が、ちょうどおばちゃんの給餌タイムと重なっていて、キャットフードをビニール袋に入れて持ってくるマレー系おばちゃんと、激しく尻尾を振りつつ彼女を迎える黒猫の姿を、ほとんど毎日目にしている。微笑ましくもあるのだが、ルックスと愛想だけで世の中を渡っている黒猫に、一度説教してやりたい、とも思う。猫をひがむのも大人げないのだが。


in最近のIN

"Almost Famous"  (01.3.17)

1973年、Rolling Stone誌のライターとして、ロックバンドのツアーに同行することになった15才の少年を描く映画。日本でもちょうど同時期に「あの頃ペニー・レインと」なる邦題で封切られているはず。この日本語、意図は分かるんだけど、ちょっと感傷的過ぎて、原題の深さが生きてないと思う。

70年代初頭のロックシーンを背景にした青春物語ということで、"Velvet Goldmine"のような映画かと、嫌な予感を抱いていたのだが、全く違う方向性の快作だった。良質のロード・ムービーで、真摯なロック映画で、痛快なサクセス譚で、切ないラヴ・ストーリーだ。

基本線は少年の成長物語で、家族の再生の物語も織り込まれるなど、演出によっては、ただただ感傷的なだけの映画にも、シリアスな映画にもなりうる話だと思う。しかし、要所要所で、すっ、と笑いを入れることで、過剰なセンチメンタリズムを排した軽やかな語り口が通されている。この辺の緩急の付け方が絶妙だし、笑いのセンスも私好み。見終わった後に残る甘酸っぱい感触は、この軽やかさがあってこそだろう。登場人物全てが善人で、綺麗事に終始している、という見方もできそうだが、私には、制作者が現実の諸々を十分理解した上の計算で、ダーク・サイドを切り捨てたように思われ、薄っぺらな感じを受けることは無かった。

主演のPatrick Fugit君は、いかにもまっすぐな少年の雰囲気で、頑張っているし、Penny Lane役のKate Hudson嬢(Goldie Hawn様の娘さん!)の存在感も秀逸。1973年かぁ。わたしゃ、日本の片田舎で小学校に通っていたよなぁ。


鳩など、野鳥に餌を与えるのは、罰金の対象と聞いたことがあるので、恐らく、野良猫に餌をあげているおばちゃんも、見つかれば罰せられるのだと思います。例によって、細かいことまで口うるさい国家ではあるけど、日本の都会の鳩事情を考えれば、悪法とも言えないという気がします。

Bukit Timahの自然保護区には野生の猿が住んでいるのですが、そこの遊歩道には「猿に餌を与えるのは罰金の対象」という旨の立て看板があるそうです。そこに書かれた罰金の額、10,000ドル(1シンガポール・ドル=65〜70円)。うーん、そこまで重罪か?