シンガポール人、特に中華系住民は、プライドが高いというのか、いわゆる3K仕事を嫌っていて、そういった肉体労働を外国人労働者に依存する傾向が強く、出稼外国人の数はかなり多い。彼らは、日曜日になると、休息と情報交換のため、同郷の者達で繁華街に集まっている。出身国毎に集結ポイントが決まっているようで、たとえば、日本人観光客のショッピング・ポイントであるOrchardも、日曜日だけはフィリピン人のメイドさん達が、どの国の観光客よりも沢山いるし、Little Indiaのあたりは、インド人のおじさん達でごった返している。
さて、この日曜は、Golden Mile Complexというショッピング・ビルに行ってみた。以前、平日に屋台のタイ風カレーを食べに来たことがあったのだが、周囲にタイからの出稼ぎ者が大勢住んでいるせいか、タイの食材を売るスーパーや、タイのCD、雑誌、ビデオなどを扱う店が軒を並べていて、一度ゆっくり見てみようと思っていたのだ。が、行ってみてびっくり。想像を絶する数のタイ人が集まっていた。日本だと、タイからの出稼ぎというと女性の方が多いような気がするが、こちらでは、肉体労働系のお兄ちゃん、おじさんばかりだ。それがまた、ほんとにもう、大変な人数なんである。すんごい暑苦しさだ。
とりあえず日曜日だから集まってみたものの、特にやることも無いのだろう。みな、地べたに新聞紙を敷いて、そこでビールを飲んだりお菓子を食べたり。その光景が、ビルの外にも続き、近くのKalang Riverの河岸の公園まで続いている。お花見の時期の上野公園から、桜を引いて気温を足したような状況である。公園の標識も、英語とタイ語で表記してある。
何度も行きたいか、と言われれば、勘弁願いたい所ではあるが、このディープさは、なかなか味わい深くはあった。
おまけ
Kalan Riverでは、スーパーマーケットで買った来たらしい生きた食用蟹(こちらのスーパーではお馴染みの食材。結構でかい)を、川に投げ込んでいる中華系家族に遭遇。おそらく、生き物を自然に帰すことで功徳を積んでいるのだろう。そういう習慣が中国人にはあって、わざわざ放すためだけに籠に入れた小鳥を売っている、というのを聞いたことがある。しかし、蟹かぁ。立ち止まって見ていたら、周りのタイ人達も続々と集まってきた。
「それ、チリ・クラブにしたら美味いのに、放してる場合か? 」
という意識で、無言のうちにもタイ人達と私の間に連帯感が生まれたような気がした。