IN/OUT1999/11/28


HMVの新店舗オープンにあたり、HMVの代表者と、新しく建設されている地下街のデベロッパーの代表者とが契約を交わしたというニュースが報道されていました。HMV側の代表者は、犬のNipper君。前足で拇印?をスタンプしている写真も掲載されています(Nipper君のアシスタントとして、人間もサインしてましたが)。かわいいっす。

店内の雰囲気などは共通だけど、こちらのHMVが日本のHMVと異なるのは、店のトレードマークにNipper君が起用されているところです。日本だと、ビクターのトレードマークになっている、蓄音機に耳を傾けている犬ですね。日本国内のみ、ビクターが権利を持っているため、HMVは日本国内ではこのマークが使えない。一方、JVC(ビクターの海外ブランド)もNipper君を使えない、という事になっているんだそうです。海外でHMVに行って、「あら、ビクターの系列店だったのか」と勘違いした日本人は多いに違いない。いや、私もですが。

因みに、Nipper君のマークの正式名称が、HMV = "His Master's Voice"。彼は、蓄音機から聞こえてくる亡くなったご主人の声に耳を傾けているんですね。このマークを巡っては、英国のGramophone、EMI、ドイツのGramophone、米国のVictor、RCAなどなど、沢山のレーベルの栄枯盛衰が絡んでいるようですが、とりあえず、レコード屋のHMVは、元々、英国Graophone社(現 EMI)系列の店、というのが正解だそうです。

にしても、蘊蓄仕入れるのに、ウェブってのは便利なもんだ。


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タイ再訪  (99.11.26)
一泊だけだったが、久しぶりのタイ出張。10年近く前には、ほぼ二ヶ月に一度の割で通っていた一年間があったのだが、そのプロジェクトが終了した後は、とんとご無沙汰していた。

バンコクの喧噪は相変わらずで、シンガポールなんかよりよっぽど活き活きしていて、良い感じである。10年前と一番変わったのは、道を行く車がきれいになっていること。昔は、屑鉄ばかり走っていたのに、今じゃ、シンガポールを走っている車と大差ない("屑鉄"というのは、比喩的な言い回しじゃなくて、本当に屑鉄だったのである。日本の中古市場で相手にしてもらえなくなったようなおんぼろの車を、車体とエンジンに分解して、それぞれを屑鉄として輸入し、タイ国内で再度組み立てた、という車が多く走っていたのだ。これは、自動車の輸入にかかる高率の関税を回避する知恵)。紆余曲折はあったにせよ、着実に経済は発展していたようだ。

10年前は、ほとんど一人で出張し、勝手に街を歩き回っていた。乗っていたタクシーが追突されて病院にかつぎ込まれたり、財布をすられて警察署にいったり、と、トラブルも多かったのに、悪い印象は無かった。タイ人の特徴である人当たりの良さもあって、居心地の良い国、という印象の方が強いのだ。しかし、今回は、同行者あり。自分の事を棚に上げるようだが、東南アジアのジャパニーズ・サラリーマンと夜を過ごすっていうのは、何だかなぁ、という感じである。お決まりのように、パッポンだのタニヤだのに繰り出すのだが、ああいう雰囲気はどうも好きになれない。夜のタニヤ、パッポンについては、一方的な道徳論だけで善悪を語れるほど単純な問題じゃ無いと思うし、別に、自分自身を謹厳居士だと称するつもりも無いが、これに関しては、タイ人、日本人、双方に対して、悪い印象ばかり感じてしまう。(このページ、社内の人も読むことがあるらしいので、控えめな表現っす

と、夜はすっかり荒んだ気持ちになっていたのだが、翌日訪れた現地オフィスで、久しぶりに会った現地スタッフが、ちゃんと自分のことを覚えていて、暖かくもてなしてくれたことに、すっかり上機嫌。日頃、とにかく気が強くて我も強い中国系シンガポール人と格闘しているだけに、タイ人の、愛想の良さ、情の深さ、笑顔の素敵さが、本当に心に染みるのである。やっぱり、良い国だよねぇ。



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馬脚を現したのか?  (99.11.25)
シンガポール航空は、世界的に評価が高い航空会社である。常に新しい機材を揃えており、安全性が高い。エコノミークラスの全座席に液晶モニターが付いていて、映画、音楽に加えて任天堂のテレビ・ゲームもプレーできる。スチュワーデスの制服のスカートに入っているスリットがとても深い。などなど、多くの点で好評を博している。

このところの海外出張では、随分とお世話になっているのだが、今回のタイ行きの便で出た、"High Tea"メニューのスパゲティには驚かされた。

特徴を一言で言うなら、「柔らかい」。フォークで巻き取ろうとすると、もうその負荷に耐えられず、ブチブチちぎれてしまう柔らかさなのだ。後から聞けば、この便に限らず、シンガポール航空で出されるスパゲティはいつもこの調子であるとのこと。アルデンテなんて言葉は、シンガポール航空の機内には存在しないのである。シンガポール内での発券では、思いっきり強気の価格設定だし、エコノミー席のマイレージの溜まり具合も吝い、お高くとまった航空会社なのだが、何か、一流を気取るには詰めが甘いよなぁ、という感じである。文句があるなら、ビジネスクラスかファーストに乗れ、と言われると、ぐうの音も出ないのだが。


8 1/2 Women  (99.11.28)
Peter Greenaway監督の新作。彼の作品の評価の高さは知っていたものの、何となく食わず嫌いで、今回が、監督の作品、初見である。

Greenaway監督=芸術派、という先入観があったが、こと、この映画に関しては、見せ方はひねくれているけど、結局は艶笑喜劇なんだと思う。登場人物(台湾のアイドル、伊能静ちゃんや、スネークマン・小林克也も出てる)が饒舌に語りまくるセリフから諧謔を感じ取る、というのが正しい見方のような気がしただけに、自分の英語力では、辛い映画だった。

ただ、たとえセリフを全てキャッチできたとしても、設定も、ストーリーも、のめり込めるタイプのものじゃ無かったと思う。評判の映像にしても、確かに、絵画的な構図、色使いではあるのだけど、個人的には、あまり刺激を受けるタイプの絵では無い。

パチンコ、相撲、女形、そして地震、といった、日本の風物が重要な要素になっているのだが、やはり西洋人監督が撮った日本、というのは、日本人から見ると、きついものがある。さらに困ったことに、二人並んで真っ裸になる父と息子、というシーンが何度も出てくるのには閉口。シンガポールって、出版物に対する規制はとんでもなく厳しいけど、こういうのは、ぼかし無しで上映してくれるのである。



来週は、休暇を取ってさとがえるコンサート真っ最中の日本へ。毎年恒例の矢野顕子さんのコンサート・ツアーです。贔屓目じゃなくて、彼女のライブ・パフォーマンスのクオリティの高さは、世界的に超一流のレベルだと思う。楽しみ楽しみ。このまま、無事に週の前半を乗り切って、予定通り休みを取れる事を祈るのみ。


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