yanokami in MOSAIC Music Festival, Singapore


2008年3月15日、シンガポールで開催されたMOSAIC Music Festivalに、yanokamiが出演。観に行くことができました。

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EsplanadeMOSAIC Music Festivalは、シンガポールで2005年から開催されている音楽祭。主催は、会場でもあるEsplanade。2005年には60,000人、2006年には80,000人、そして2007年は10日間の期間中に大小100以上の公演が行われ、90,000人の観客を集めた。

会場となるEsplanade Theatres on the Bayは、シンガポールの、Marina Bayに面して建つ文化施設で、金属とガラスを組み合わせた独特の外観は、ドリアンとも、Bug's Eyeとも呼ばれている(個人的には「風の谷のナウシカ」の王蟲を想起する)。

対岸の眺め施設内には
* theatre(1,942席
* concert hall(1,614席、聖歌隊席を含めると1,811席
* recital studio(245席
* theatre studio(220席
の四つのホールと、野外スペース、さらに、図書館、土産店、No Signboard SeafoodやHarry's Barなど多くの飲食店も入っている。各ホールの施設・音響は素晴らしく、さらに飲食店のクオリティも高い。Marina Bayの対岸に、マーライオンやFullerton Hotel、Raffles Placeの高層ビル群を臨むロケーションも合わせ、シンガポールを代表する文化施設と呼ぶにふさわしい規模と内容を誇っている。

2008年のMOSAIC Music Festivalは、Harry Connick, Jr、The Earth Wind & Fire Experience featuring The Al McKay Allstars、 Lee Ritenour & Friendsなどを迎え、3月7日〜16日、10万人の観客動員を目標に開催された。

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button メンバー

レイ・ハラカミ

髪をかき上げつつ、下を向いたままで謎のCalculator(じゃなくてHard Disk Recorder)を操作し続け、時折、ぼそっと英語ジョークを挟む姿は、初めて見たシンガポール人には、かなり不思議だったかも。

矢野顕子

初めてのアジアでの演奏。
英語と日本語の混在MCで、自分の言おうとしていることが英語と日本語、同時に頭の中に出てきてしまい口ごもる場面も。

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button セットリスト

  1. yanokamintro
  2. Big Love
  3. You Showed Me
  4. La La Means I Love You
  5. 矢野さんソロ
    1st Show:ごはんができたよ
    2nd Show:ひとつだけ
  6. ハラカミ氏ソロ
    1st Show:Cape
    2nd Show:grief & loss
  7. Montauk
  8. Night Train Home
  9. Full Bloom
  10. Sayonara
アンコール
  1. 恋は桃色

ハラカミ氏のソロ、オフィシャル・サイトで確認しました。

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会場のrecital studioは、Esplanadeの中では小さなホール。高くなった「舞台」はなく、フロアを取り囲むように扇形に椅子が並んでいる。階段状に後列が高くなるレイアウトで、演奏者と観客の一体感が出やすいと思う。また、音響も秀逸で、シンガポール駐在時、出前を呼ぶならここだと私も考えていた素晴らしいホールだ。

19時半からの1st Show、21時半からの2nd Showとも、自由席の場内は満員。日本人駐在員の多い土地柄、ほぼ半分、あるいはそれ以上が、日本人という感じだ。そのためか、開演前のアナウンスも英語と日本語で流された。

二人が登場し、そのまま、「yanokamintro」から「Big Love」へと演奏が続く。個人的に思い入れのあったホールに矢野さんの声が響くだけで、感無量だ。そして、改めて、このホールの響きの良さを認識した。私が観たyanokamiのライヴ史上、最も音の良いステージだと思う。電子音も、ピアノも、声も、クリアでかつ豊かに響いている。なお、若干の照明効果はあったものの、yanokamiのライヴで恒例となっているビデオの映写はなく、背景には"MOSAIC Music Festival"のロゴが投影されているだけだった。

2曲終わったところで、
矢野さんが、"I am Yano."
ハラカミ氏が、"I am Kami."
声を合わせて、"We are YANOKAMI, lah."
と、語尾に「ラー」を付けるシングリッシュでご挨拶。

3、4曲目は、海外公演を意識してか、カバー曲を続け、その後、ハラカミ氏が退場し、矢野さんのソロが一曲。ここは、駐在員(と、そのご家族)へのサービス曲という感じ。続いて、ハラカミ氏のソロ。それまで、たまに、"Yes"と合いの手を入れるぐらいしか喋らず、ずっとうつむいたままで機械を操作していたハラカミ氏だが、このソロ・パートで、その存在感を遺憾なく発揮したという感じだ。

一曲ずつソロを披露した後、再び二人での演奏。合間の矢野さんのMCは、英語と日本語のごっちゃまぜだが、観客に日本人が多いことに気づいたせいか、徐々に日本語比率が高まっていったような気がする。一方、ハラカミ氏は、1st Showでは、"Yes"の連発で笑いを取るのが精一杯という感じだったが、2nd Showでは「This machine is a calculator... It'a a lie.」とジョークを飛ばすほどの余裕が出てきたようだ。

矢野さんがスタンディング・マイクで「Sayonara」を歌い、本編終了。日本での公演と違い、アンコールの拍手が数十秒続いたところですぐに再登場し、アンコールを一曲。アンコールでの再登場までの時間が短いのは、シンガポールでのコンサートに共通する特徴だと思う。観客が飽きっぽいからか? 約1時間15分ほどで一回目のショーが終わった後、すぐに並び直して二回目のショーも鑑賞。周囲の様子を見ると、二回とも観ている日本人客が沢山いたようだ。

会場の音響が良かったせいもあるかもしれないが、二人の演奏も、とても気合いの入ったレベルの高いものに感じた。ただ、2セットある場合、2ndの方が圧倒的に演奏のクオリティが高いという過去の経験則は、今回は当てはまらなかったと思う。1stの演奏が既に高いレベルだったということもあるが、矢野さんの喉の調子が良くなかったようで、2ndの終盤では声がかすれてしまう事が何度かあった。ニューヨークから東京を経由しての長距離移動の疲れもあるだろうし、シンガポールのホテルに共通する邪悪なまでの冷房で喉を痛めたのかもしれない。これから続く日本での公演に向けて心配なところだ。

私にとっては、シンガポール、それもEsplanadeでの公演と言うことで、本当に感慨深いコンサート体験となった。MOSAICのスタッフ及びスポンサー各社にも、大感謝である。

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